米マイクロソフト(Microsoft)による「Windows 10 Mobile」のサポートが2019年12月10日に終了した。この日を境に「セキュリティ更新プログラム」「セキュリティ以外の修正プログラム」、無料のサポートオプションなどが提供されなくなっている。
Windows 10 Mobileを搭載したスマートフォンは引き続き利用可能だが、セキュリティー面でリスクがある。OSのアップデートも打ち切られてしまったため、事実上の終了といえるだろう。本稿では、長年愛用してきた者として、モバイル端末向けWindowsの歴史を振り返ってみたい。
歴史はWindows CEから始まった
日本でモバイル端末向けのWindows OSを搭載した端末が登場したのは1997年だった。前年の1996年に組み込み向けOSとして登場した「Windows CE 1.0」ベースの「Handheld PC 1.0」を搭載したPDA(携帯情報端末)が発売され始めたのがこの年だ。
本格的なモバイル端末の歴史は、それより早い1990年代初頭から始まっている。米アップル(Apple)が発表した「Newton」により、PDAというコンセプトが発表されたのが最初といえるだろう。それまでのコンピューターとは違い、よりユーザーに近いデータを扱う「電子的な秘書」の役割を担う端末として期待された。
1990年代前半の日本のPDAには、シャープの「ザウルス(Zaurus)」を中心とする日本独自の電子手帳端末と、米ヒューレット・パッカード(HP、当時)の「HP200LX」や米パーム(Palm)の「Palm」シリーズなどの海外端末を日本語対応にしたもの、という2つの大きな流れがあった。その市場に突如参入したのがWindows CEだったのだ。
Windows CE端末のコンセプトは「PCコンパニオン」。パソコンの補助的な端末であり、パソコンとケーブルで接続して同期して利用する前提だった。その上で、出先でデータの参照や修正ができる端末だった。
日本では1997年に最初のWindows CE端末として、カシオ計算機の「カシオペア」とNECの「モバイルギア」が発売された。その後、他のメーカーからもWindows CE端末が続々と発売され、PDAブームが到来する。