まずスケジュールに関する失敗プロジェクトの実態を探ってみよう。1745件のプロジェクトのうち「計画よりも遅延」が発生した513件(29.4%)を対象とした。
スケジュールの遅延が発生した理由を複数回答で尋ねたところ、最も多かったのは「システムの仕様変更が相次いだ」(37.4%)。その次に要件定義やシステム設計といった「各フェーズの見積もりが甘かった」(28.7%)、「システムの不具合など想定外の問題が発生した」(27.7%)、「当初の稼働スケジュールにそもそも無理があった」(26.7%)と続く。
遅延が生じた際の対策を見ると「稼働開始時期を延期した」がトップ(73.7%)。続く「システム規模の縮小や、一部開発の先送りを実施した」(29.2%)を40ポイント以上引き離している。
この結果から「失敗の要因は相変わらず上流にあり、安直ともいえる策で場当たり的に対応している」という戦略なき実態が見えてくる。システム開発における「失われた10年」と言えるほど、何も進化していない。