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パソコンの症状
ストレージの空きが少ない

 HDDやSSDは、空き領域が少なくなると速度は低下しやすい。

 HDDは高速に回転する磁気ディスクに、データを読み書きする仕組み。磁気ディスクの外周と内周で、データの読み書き速度が異なり、内周よりも外周の方が高速にデータを読み書きできる。そのため、データが何も書き込まれていないHDDであれば、高速な外周から使う仕組みだが、空き領域が少なくなるにつれ、外周よりも低速な内周を使うしかなく速度が低下する。

 SSDが搭載するフラッシュメモリーは、大きなブロック単位でしかデータの削除や上書きができない。エクスプローラー上でファイルを削除しても、実際にはフラッシュメモリー上に削除したデータがそのまま残り、使用不可の領域に切り替える。

 長期間利用して使用不可の領域が増えると、SSDはデータを再配置し、ブロック単位で使用不可の領域を削除して空き領域を確保する。その動作が発生すると、データを読み書きする速度が低下する。

 空き領域が少ないとこの作業の効率がかなり悪くなるため、SSDのパフォーマンスが大幅に下がる。全体の半分以上の空きを確保して利用することを推奨するメーカーもある。

 これらの理由から、HDDやSSDともに、なるべく空き領域が多い状態を保持して使いたい。

まずは利用状況を把握

 Windows 10や11では、「設定」アプリの「システム」にある「記憶域」で空きや利用領域を把握できる(図1)。アプリや、「ピクチャ」「ビデオ」などユーザーフォルダーごとにストレージの使用状況を表示する。

図1 「設定」の「システム」にある「記憶域」では、ファイルタイプやフォルダー別にストレージの利用状況が分かる。各項目を選択すると、その設定やフォルダーの中身を表示する。「表示するカテゴリを増やす」をクリックすると、確認できる項目が増える
図1 「設定」の「システム」にある「記憶域」では、ファイルタイプやフォルダー別にストレージの利用状況が分かる。各項目を選択すると、その設定やフォルダーの中身を表示する。「表示するカテゴリを増やす」をクリックすると、確認できる項目が増える
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 また、一覧から各項目を選ぶと、そのフォルダーを開いたり、関係ある設定画面が開いたりするので、空き領域を確保しやすい。一覧で「その他」の項目を選ぶと、記憶域で表示される項目以外でサイズが大きいフォルダーを順番に表示する。この情報を基にサイズの大きいファイルやフォルダーを特定しよう。

 また、Windows 10や11には「ストレージセンサー」という機能がある(図2)。ストレージセンサーは、各アプリや「Windows Update」などが利用したまま放置している一時ファイルや、削除済みでごみ箱の中にたまっているファイルなどを、特定の条件で自動削除する機能だ。

ストレージセンサーを活用して空き容量を増やす
ストレージセンサーを活用して空き容量を増やす
図2 図1で「ストレージセンサー」をオンにすると、WindowsやWebブラウザーの一時ファイル、「ごみ箱」「ダウンロード」フォルダーなどのファイルを自動で削除する。初期設定ではディスクの空きが不足したときに実行するが、「毎日」「毎週」「毎月」など定期的に実行も可能。「ごみ箱」や「ダウンロード」については、削除の可否や期間を個別に設定できる
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 初期設定では、空き領域が不足したときのみ実行するが、実行するタイミングは変更できる。また、手動での実行も可能だ(図3)。

図3 ストレージセンサーは自動実行されるが、手動でも可能だ。図2の画面下部にある「今すぐ空き領域を増やす」の「今すぐクリーンアップ」を実行する
図3 ストレージセンサーは自動実行されるが、手動でも可能だ。図2の画面下部にある「今すぐ空き領域を増やす」の「今すぐクリーンアップ」を実行する
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