先日、大切なファイルを保存していた外付けHDDが故障してアクセスできなくなってしまった。どうしても救いたいファイルがあったので、久しぶりにファイル復元ツールを使ってみたところ、無事に取り出すことができた。結果的にはうまくいってよかったのだが、突然のトラブルに気が動転して、ほとんど吟味せずに復元ツールを選択してしまった。
最近は制限付きではあるものの、無料で提供される復元ツールがいくつか存在する。使わずに済めばよい種類のアプリではあるが、また同じようなトラブルに見舞われたときのために、3つの無料復元ツールの機能や使い勝手、無料版での制限などを比較してみた。ぜひ参考にしてほしい。
2GBまで無料の「EaseUS Data Recovery Wizard Free」
筆者がトラブル発生時に利用したのはEaseUSの「Data Recovery Wizard」(以下、EaseUSと表記)。過去10年分の仕事のデータを保存していたドライブにアクセスできなくなって、頭が真っ白になっていたこともあり、早々に制限のないPro版のライセンスを購入した。
無料版の主な制限は、復元できるファイルの容量が合計で2GBまでといったもの。「1度に2GB」ではなく「合計で2GB」だ。つまり1回目のスキャンで2GB分のファイルを復元したら、2回目以降はスキャンできるが復元はできなくなる。
障害が発生したドライブはもう手元にはないので、代わりに約3400個、合計約65GBのファイルを128GBのSSDに保存したものを用意。その中から約1600個、合計約5GBのファイルを削除。ごみ箱も空にした。このドライブから削除済みファイルの復元を試みる。
ごみ箱から削除しただけのファイルや、ドライブを単純に初期化しただけの場合は、実データのほとんどがドライブに記録されたままになっている場合が多いといわれる。そのため、復元はたやすいと思われるが、今回はファイル復元の手順と無料版でどこまでできるかに重点を置き、このやり方で進めた。
EaseUSの初期状態では復元可能なファイルが500MBまでに制限されている。右上の共有メニューからTwitterかFacebookに投稿するとさらに1.5GBが利用できるようになり、合わせて2GBとなる。500MBではあまり実用にはならないと思われるので、無料版を最大に活用するには必須の作業だ。
次にホーム画面で復元したいファイルの入っているドライブの「スキャン」をクリック。クイックスキャン→ディープスキャンと進行する。ごみ箱から削除したファイルはクイックスキャンの段階で検出され、ディープスキャンでそれ以外の失われたファイルが検出されるようだ。検出されたファイルはスキャンが完全に終了する前でも復元できる。
今回の検証用に作成したドライブでは、スキャン完了までに約35分、スキャン後のファイルの整理で約10分と合わせて約45分で終了した。ちなみに実際に体験したトラブルの際は、前述のようにPro版を使い、6TBのHDDの80%ほど使っていた状態でスキャンにほぼ2日要した。
制限されたファイルサイズに収まるように選択して、スキャン終了後に検出されたファイルが復元をした。だが実際には制限を超えて選択していても復元作業に進み、制限に達した時点で停止する。
ごみ箱のファイルをうっかり削除したり、ごみ箱を経由せずに削除したりした場合には無料版でもカバーできそうだが、ドライブ全体のファイルを復元したいときなど、対象範囲が広い場合はPro版が必要だろう。
Pro版の価格は1カ月間ライセンスが税込み9790円(1台分、以下同じ)。1年間ライセンスが1万3090円。永久ライセンスが1万9690円となっている。