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 SSDはコントローラーでフラッシュメモリーを読み書きするオール電子回路製品。そのため、磁気ディスクや磁気ヘッドなどの機械駆動部品で構成されたHDDと違って、衝撃などで壊れることはめったにない。半面、フラッシュメモリーという電子素子ならではの短所がある(図1)。「書き込み回数の上限がある」ことと「使い込むと遅くなる」ことだ。ここからはSSDの技術的な問題についてわかりやすく解説していこう。

SSDの長所、短所と運用のポイント
SSDの長所、短所と運用のポイント
図1 SSDはフラッシュメモリーをコントローラーで読み書きするオール電子回路製品だ。そのため、磁気ディスクや磁気ヘッドなどの機械駆動部品で構成されるHDDと異なり物理的故障は起こりにくい。半面、フラッシュメモリーの特性として「書き込み回数の上限がある」「使い込むと遅くなる」といったデメリットがある。SSDを有効的に利用するにはその特性を理解して運用することが肝要だ
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書き込める総容量が製品によって決まっている

 SSDの大まかな寿命は、書き込み可能なデータ総容量を示すTBW(ティービーダブリュー)という値で判断できる(図2)。これはSSDの容量そのものではなく、書き直し(消去&再書き込み)を含めて書き込めるトータルの容量。SSDのスペック表にはこのTBWが記載されている(図3)。

SSDは書き込める総容量が決まっている
SSDは書き込める総容量が決まっている
図2 SSDは書き込めるデータの総容量が決まっており、それは「TBW(Tera Bytes WrittenもしくはTotal Bytes Written)」という値で示される。上は産業用SSDメーカーのソルナックが公開しているTBWを導き出す計算式。SSDの大まかな寿命はこのTBWで判断できる。TBWの数値が大きいほど書き換え可能なデータ総容量が多く、長寿命かつ高耐久であると判断できる
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[注]https://www.slideshare.net/InsightTechnology/dbts-osaka-2014-b11-hardware-hironobuasano
図3 マイクロンのSSD「Crucial P5 Plus」のスペック表の一部を抜粋。このようにTBWはスペック表に記載されているので、カタログやウェブページで確認できる
図3 マイクロンのSSD「Crucial P5 Plus」のスペック表の一部を抜粋。このようにTBWはスペック表に記載されているので、カタログやウェブページで確認できる
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 一般的には容量が大きい製品ほどTBWの値も大きく寿命も長い。ただし、同じ容量のSSDでもメーカーやモデルによってTBWが大きく違うこともあるので注意が必要(図4)。これはコントローラーやフラッシュメモリーなどの品質が大きく影響するからだ。

1TB製品のTBWを比べてみると…
1TB製品のTBWを比べてみると…
図4 容量1TBのM.2 SSD(PCIe 4.0x4対応)のTBWを比較した。TBWは製品によって大きく異なり、高価で高速なものほど数値が大きいわけではない。同じ1TBでも600TBのものもあればその3倍の1800TBのものもある
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 総書き込み容量に上限があるのは、フラッシュメモリーを構成する「セル」という素子に書き込み回数の上限、すなわち寿命があることによる。