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 フィンランドNokia(ノキア)は、韓国SKテレコム、NTT、NTTドコモと連携して開発した6G(第6世代移動通信システム)用のAI(人工知能)ネーティブ無線インターフェース(AI air interface:AI-AI)について、モバイル関連で最大級のイベント「MWC Barcelona 2024」(2024年2月26~29日、スペイン・バルセロナ)にて、動画による概念実証実験デモを行うと発表した。これまでNokiaとNTT、NTTドコモが進めてきたプロジェクトにSKテレコムが合流する形で進めている。エネルギー効率とネットワーク性能の両方を向上させる技術になるとしている。

(出所:Nokia)
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 NTTドコモの関連プレスリリースでは、この技術を含め、NTTドコモとNTTが6Gに向けて進める各種実証実験についても紹介している。

Nokiaの関連プレスリリース1: Nokia, SKT, NTT and DOCOMO team up to implement AI in the 6G air interface SKテレコムの関連プレスリリース: SKT, DOCOMO, NTT and Nokia Team Up to Implement AI in the 6G Air Interface NTTドコモの関連プレスリリース: 6G実現に向け新たにSKテレコム、ローデ&シュワルツと実証実験の協力に合意-Nokia、富士通、キーサイト・テクノロジーと取り組みを進める実証実験成果も確認-

 Nokiaはこのほか米Intel(インテル)と、Nokiaのクラウドネイティブ5G基幹ネットワークソリューションの大幅な省電力化を行った。Intelのインフラ向け電力管理(Infrastructure Power Manager、IPM)ソフトウエアと第4世代のXeonスケーラブル・プロセッサ―を採用し、主要なネットワーク性能指標を維持しながら、約40%の電力量削減を実現した。2024年下半期より、Cloud Packet Core対応版を皮切りに市場への提供を開始する。

Nokiaの関連プレスリリース2: Nokia utilizes Intel technology to drive greater 5G network energy savings through software innovations and new chips

 また両社は、中小企業に向けた、よりコンパクトでコスト効果の高いプライベート5Gネットワークも開発した。Intelの第4世代のXeon Scalableプロセッサ―にvRAN Boost、FlexRANソフトウエアを搭載したNokiaのエッジオンプレミスMX Industrial Edge(MXIE)上で無線ベースバンド機能を実行させ、小型のDigital Automation Cloud(DAC)Private Wireless(PW)ソリューションとして提供する。MWC 2024では、これら技術のデモをIntelブースにて披露する。

Nokiaの関連プレスリリース3: Nokia collaborates with Intel to deliver high-performance, cost-efficient private 5G networks

 加えてNokiaは、Nokia Bell Labs(ベル研究所)と米Qualcomm(クアルコム)によるAIを使った相互運用時の課題解決に向けた研究成果も発表する。AIや機械学習を使うことで、無線性能を著しく改善することができる一方、ネットワークや機器内のAIシステムが連携して動作することで、別の目的に使われる可能性もある。

(出所:Nokia)
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 両社はSequential Learning(逐次学習)と呼ばれる手法を使って、AIモデル自体は共有せず、ネットワークや機器類が関係のあるデータのみを共有する相互運用方法を開発した。訓練に使うデータをそれぞれのAIが独自にエンコード/デコードして独自にトレーニングを行うことで、安全に活用できるようになる。トレーニング時間が短縮され、拡張性が高まるという利点もあるという。MWC 2024では、Bell Labの試験ネットワークとQualcommの「Snapdragon 5Gモデム-RFシステム」を用いた概念実証実験デモを実施する。

Nokiaの関連プレスリリース4: Nokia and Qualcomm jointly research AI-interoperability technology that boosts wireless capacity and performance

 Nokiaは、4G/5Gにて複数の用途を同時に利用できる「Multi-Access Edge Slicing」も開発した。4G/5Gのスマートフォンにて、ビジネス上の機密情報を安全で高性能なネットワークスライスで送信しながら、同時に別のスライスで動画通話を行うことができる。マルチスライス対応のFA(固定アクセス)やFWA(固定無線アクセス)を活用することで、家族で高画質な動画ストリーミングやクラウドゲームをしながら、もう1つのスライスで在宅勤務できるようになる。どちらのスライスも速度、遅延、セキュリティーなど特定の要件に合わせたカスタマイズが可能となっている。

 パソコンやタブレット端末、IoT(Internet of Things)デバイス、URSP(UE Route Selection Policy)対応4G/5Gスマートフォンで使用できるものとなっている。この技術はアラブ首長国連邦(UAE)に本社を置くe& UAEと連携する形で、MWC 2024にて披露する。

(出所:Nokia)
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Nokiaの関連プレスリリース5: Nokia unveils industry’s first Multi-Access Edge Slicing innovation with e& UAE at Mobile World Congress