1月に創業者の大江匡氏が急逝したプランテックグループ。コロナ禍でホテル運営のファーストキャビンが破産申請するなど、経営に陰りが見える。グループの立て直しを担う新社長の小山直行氏に今後の戦略を聞いた。
小山 直行氏
プランテックグループはこれまで、設計事務所から派生してコンサルティング会社、建設会社、ホテル運営会社などを幅広く展開してきた。
2月に持株会社であるプランテックアソシエイツの代表取締役社長に就任した小山直行氏は、複数の事業会社をプランテック総合計画事務所に集約するなど、改革に取り組んでいる。
本来の目的に回帰
グループ会社の集約は、いつごろから考え始めたのですか。
私は2018年3月にプランテックコンサルティングの役員に就任し、さらに同年6月には他3社の役員に就きました。そのころから、「1つの会社にまとめた方がいいのではないか」と大江さんに指摘していました。
各社の方向性がバラバラになっていて、プランテックが本来目指している「クライアントに総合的な価値を届ける」という使命から離れていると感じたからです。
当初は私の指摘を聞き入れなかった大江さんでしたが、4カ月ほど経つと「相談がある」と電話をかけてきてくれました。それから議論が活発化し、不採算事業は縮小していこうと動き始めたのです。大江さんの思いと私の考えを調整しながら、一歩ずつ進んでいました。
大江さんは私を「建築と経営とコンサルティングを全て分かっている珍しい人材だ」と評価してくれていました。一級建築士資格を持っていて、コンサルティングファームでの勤務経験があり、一部上場企業の取締役を務めたことがあるという私のキャリアは、大江さんが描いていた新たな設計事務所像にマッチしていたのでしょうね。
我々は、設計を中心とした事業に回帰し、ファーストキャビンのように本業からかけ離れたホテル事業は他社へ譲渡しようと動いていました。しかし、コロナ禍で休業や稼働率の低下が続き、先が読めないなか、交渉を進めることができず、やむなく破産を申請しました。
今後、どのような組織を目指していきますか。
最終的には設計事務所のプランテック総合計画事務所と、建設会社であるプランテックファシリティーズの2社に集約する予定です。
大江さんが亡くなった後、社員全員で、これからどうしていくか考えました。そこで新しい理念として掲げたのが大江さんの言葉「当たり前のことを当たり前にする。当たり前でないことも当たり前にする」です。
その実現のために、組織間の壁をなくし、情報を一元化しました。良いものをつくるために社員同士で協力しやすくなってきたはずです。