米クアルコム(Qualcomm)は、AIスピーカー(スマートスピーカー)やサウンドバーなどに向けたSoC「QCS400シリーズ」を発表した(ニュースリリース1)。既存製品の改良でなく、一から設計し直したという新製品は、大幅な高性能化や低電力化を図れたという。例えば、ボイスコマンドの待ち受け可能時間は従来比で25倍に延びたとする。
QCS400シリーズは4製品からなり、2つまたは4つのCPUコア(型番は未公開)を備える。4製品すべてが2種類のDSPコアを集積する。1つはオーディオ処理用。もう1つがベクトル拡張した演算用DSPコアである。さらに上位2製品は、ディスプレー付きのAIスピーカーやサウンドバーなどに向けてGPUコアの「Adreno 306」を集積している。AI機能として「Qualcomm AI Engine」を備えており、これらのプロセッサーコアを使って音声認識などの推論処理を迅速に実行できるとする。
無線通信は、WiFi(IEEE 802.11 a/b/g/n/ac対応、802.11axレディー)、Bluetooth 5.1、ZigBeeをサポートしている。4つのマイクロフォンを利用しての遠方音声の認識や、ノイズキャンセル、エコーキャンセルが可能という。オーディオの高音質化などのために、Dolby AtmosやDTS:X、DDFA(Direct Digital Feedback Amplifier)、aptXといった技術に対応する。DMIC, SPDIF, ARC対応のオーディオインターフェースは最上位製品は32チャネル、その他の製品は16チャネルである。
新製品のQCS400シリーズの開発向けに、全体のカスタマイズ用の「Audio Development Kit(ADK)」や、AI Engine用の「Snapdragon Neural Processing Engine(SNPE)Software Development Kit(SDK)」、さらにスマートスピーカーの開発キット・設計例として「Qualcomm Smart Audio Platform 400」などを用意する。