携帯機器に向けたハード・ディスク装置(HDD)のインタフェース仕様。主に0.85インチ型~1.8インチ型の小型HDDでの利用を想定する。仕様の策定を主導しているのは,米Apple Computer, Inc.,米Hitachi Global Storage Technologies,Inc.(HGST社),米Intel Corp.,米Marvell Semiconductor, Inc.,フィンランドNokia Corp.,米Seagate Technology LLC,米Toshiba America Information Systems,Inc.,である。

 現行のHDDのインタフェース仕様には,パラレル方式のATAやシリアル方式のSerial ATAがある。いずれもパソコンやサーバなどの据え置き機器向けを想定している。だが,HDDの用途がiPodなどの携帯音楽プレーヤやビデオ・カメラ,携帯電話機などに広がる中で,従来の据え置き機器向けの仕様では,HDDの消費電力やコストを下げにくい点が問題となった。このためCE-ATAは,インタフェースICの低消費電力化やコスト削減,コネクタ部の実装面積の縮減など,携帯機器に最適化した仕様となっている。

 CE-ATAでは,ATAコマンドのサブセットをMMC(multi media card)インタフェースにマッピングして利用する。電気的な仕様はMMCに準拠しており,5つのMMCコマンドを通じて,インタフェースICにATAコマンドを実行させる。使用できるATAコマンドの数は,従来のATAの1/10以下に絞っている。電源電圧を+3.3Vとすることで,+5Vを利用する従来のATAインタフェースに比較して消費電力を低減した。データ転送に使うピンの数は,転送速度に応じて6ピンまたは10ピンを選択できる。最大データ転送速度は50Mバイト/秒である。