HDDに大容量のフラッシュ・メモリを搭載し,通常品に比べて消費電力や読み込み/書き込み時間の短縮を図る技術を,Windows関連のハードウエア開発者向け会議「WinHEC 2006(Windows Hardware Engineering Conference 2006)」の併設展示会で米Microsoft Corp.などが実演している。次期OS「Windows Vista」を動作させたノート・パソコンにHDDの試作品を接続し,読み込み/書き込み時間が実際に短くなる様子を披露した。Microsoft社は同技術を「ReadyDrive Technology」と呼ぶ。実演では,韓国Samsung Electronics Co., Ltd.製と米Seagate Technology LLC製の試作機を利用していた。Microsoft社このほか,米Hitachi Global Storage Technologies社ともReadyDrive Technologyの開発で協業していることを明らかにした。
フラッシュ容量は256Mバイト
ReadyDrive対応HDDの試作品が備えるNANDフラッシュ・メモリの容量は,Samsung Electronics社製が256Mバイトと128Mバイト,米Seagate Technology社製が128Mバイトである。HDDはいずれも2.5インチ型で,記録容量はそれぞれ120Gバイトと100Gバイトである。Microsoft社によると,Windows Vistaの仕様では最大2Tバイトのフラッシュ・メモリが搭載可能になるという。実際に搭載するメモリ容量は,HDDメーカーが決めることになる。
Samsung Electronics社は試作品に,「OneNAND」と呼ぶ自社製のフラッシュ・メモリを搭載した。OneNANDは既存のフラッシュ・メモリに比べて高速の読み込み/書き込みが可能とする。Windows Vistaが動作するノート・パソコンにこの試作品を組み込むと,ブートや休止状態からの復帰時間が約半分の約8~25秒に短縮したという。バッテリの駆動時間は,少なくとも20~30分延びるとする。
Samsung Electronics社は,ReadyDrive対応HDDの量産出荷を2007年初期としており,「Windows Vistaの出荷には間に合わせる」(Samsung Electronics社)という。Microsoft社は今回,複数のパソコン関連企業がReadyDrive対応製品開発を進めていることを明らかにした。米Alienware社,米AMD社,台湾ASUSTeK Computer Inc.,米Hewlett-Packard Co.,中国Lenovo社,台湾Medion社などである。
オール・フラッシュの開発も進む
Samsung Electronics社は今回のWinHECに,フラッシュ・メモリだけで構成したHDD型記録媒体も出展している。SSD(solid state disc)と呼び,最大32GバイトのNANDフラッシュ・メモリを搭載する。このほかソニーは,HDDの代わりにフラッシュ・メモリを記録媒体として搭載した小型パソコンを製品化する方針を明らかにしている(Tech-On!関連記事)。