#6:IceWM

 IceWMの開発者らはこの軽量ウィンドウマネージャが他のウィンドウマネージャからのコードを一切使用していないという事実に誇りを持っている(すべてC++言語を使用して記述されている)。IceWMはGNOMEに準拠させることができ,グラフィックスのサポートにlmlibを使用することもできる。IceWMは飾り気のほとんどない極めてストレートなウィンドウマネージャである。このデスクトップはパネルとスタートメニュー,システムトレイ,ページャだけで成り立っている。IceWMは標準的なウィンドウマネージャと同程度の設定が可能となっているものの,その見た目はEnlightenmentやAfterStepほど魅力的なものとはなっていない。とは言うもののEnlightenment DR16とは異なり,IceWMでは設定をGUIでまとめて行うことができるようになっている。IceWMはコマンド(例えばFedoraでは「yum install icewm」)などを使用することで容易にインストールすることができる。

#7:Window Maker

 もう1つのNeXTベースのウィンドウマネージャであるWindow Makerは,NeXTの優れた点を受け継ぎ,FVWMの轍を踏まないようにしたものである。Window Makerはもう1つの軽量,超高速,高安定性を誇るLinuxのウィンドウマネージャである。これはミニマリズムに則るアプローチを採っているものの,ほとんどの画像形式をサポートし,ドラッグして画面上に固定できるスライド式のアプリケーションメニューを備えている(サブメニューを切り離してデスクトップに固定し,明示的に閉じるまでそのままにしておくこともできる)。設定変更はすべて即座に反映される。Window Makerはアプリケーションをローンチできるドックを備えているものの,Mac OS Xのように影がついていたり,アイコンが飛び跳ねたりするということはない。Window Makerはコマンド行からインストール(Mandrivaでは「urpmi windowmaker」)したり,Synapticのようなパッケージ管理ツール内で見つけることができる。

#8:Metacity

 Metacityは一時期,GNOMEデスクトップのウィンドウマネージャとして使われていたこともあったが,最終的に独立したかたちで歩むことになった。Havoc Pennington氏(Red Hat)によって生み出されたMetacityはGTK+2ツールキットを使用している。Pennington氏はMetacityをロゴも含めて「意図的に退屈なものにしている」と述べている。Metacityは数多くの機能を搭載しているわけではない。むしろ「よくできたデフォルト」を売りにしている。人によってはMetacityを保守的でUNIXライクなウィンドウマネージャと表現するかもしれない。実際,必要なもの以外は何もないというところまで機能がそぎ落とされている。とは言うものの,メリットが全然ないというわけではない。

 Metacityは軽量で高速である。またほとんどすべての*NIX系OSでインストールが可能となっているという点で,*NIXのウィンドウマネージャと非常によく似ていると言える。多くのディストリビューション(Mandrivaなど)ではデフォルトでMetacityがインストールされている。Metacityがインストールされていない場合,コマンド(「yum install metacity」など)によってインストールしたり,パッケージ管理ツール内で見つけることができる。

#9:FVWM

 FVWMは一時期,Linuxオペレーティングシステムにおいて絶大なシェアを誇るウィンドウマネージャであった。実際,私がLinuxで最初に接したウィンドウマネージャはFVWMであり,それがWindows 98とよく似ていた(とは言うもののそれほど「すっきり」はしていなかった)ことを覚えている。FVWMには興味深い歴史がある。これは1993年にRobert Nation氏が開発したものである。彼は米国国防総省で働いていた時,UNIXで唯一のウィンドウマネージャであったTWMの限界に辟易としていたのだ。Nation氏はrxvtというターミナルエミュレータをすでに開発していたため,rxvtのリリース時にFVWMをバンドルしようと決めたのだ。彼はFVWMをリリースした1年後に,それを他の開発者に引き継いでいる。

 FVWMの現在のバージョンは2.4.20であるものの,興味深いことにNation氏が最後にリリースした1.24rも未だに最新のLinuxディストリビューション上でコンパイル,実行することができる。FVWMはAfterStep,Enlightenment,Window Makerを含む数多くの派生物を生み出している。FVWMをインストールするには,「apt-get install fvwm」を実行し,依存関係を受け入れるだけだ。