キヤノンの複合機「PIXUS MP600」。秋冬商戦の主力となる
キヤノンの複合機「PIXUS MP600」。秋冬商戦の主力となる
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キヤノンの最上位機種は「PIXUS MP960」
キヤノンの最上位機種は「PIXUS MP960」
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一方セイコーエプソンの主力は複合機の「PM-A820」
一方セイコーエプソンの主力は複合機の「PM-A820」
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エプソンは新機軸の製品「PM-T990」を投入。デジタル放送対応のテレビの画面を印刷できる製品だ
エプソンは新機軸の製品「PM-T990」を投入。デジタル放送対応のテレビの画面を印刷できる製品だ
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キヤノンはCMキャラクターを一新。写真左から、山田優、蒼井優、夏帆の3名を採用した
キヤノンはCMキャラクターを一新。写真左から、山田優、蒼井優、夏帆の3名を採用した
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 2006年秋冬の商戦をにらんだインクジェットプリンターの新製品が、いよいよ出そろった。メーカー各社は毎年10月ごろ、年賀状印刷の需要を見越して、ラインアップを一新するのが慣例。今年も「2強」と言われるキヤノンとセイコーエプソンが2006年9月26日、新製品を発表した。

 A4判以下の印刷に対応した製品として、キヤノンは全14モデル(うち3モデルは昨年からの継続販売)、セイコーエプソンは全12モデル(うち2モデルは昨年からの継続販売)を投入する。海外系メーカーである日本ヒューレット・パッカードとレックスマーク インターナショナルも、10月早々に秋冬モデルの詳細を明らかにする見込み。量販店のプリンター売り場に並ぶ製品は10月以降、一斉に新モデルへと切り替わることになる。10月5日以降、順次出荷される予定だ。

 キヤノンとエプソン、いずれも新製品のラインアップは、半数近くを「複合機」が占める。複合機は、プリンターにスキャナー機能を合体させたタイプの製品で、単体でカラーコピーが取れるなどの機能がある。ここ数年、従来の単機能プリンターから複合機へと買い換えるユーザー急増している。06年モデルの複合機の特徴は、パネルの操作性を向上させるなど、使い勝手を改善したこと。従来機にあった、使いやすさの点での詰めの甘さを払拭したといえる。

 具体的には、キヤノン製品では、6機種中4機種に「イージースクロールホイール」を採用した。くるくると回るホイール式のボタンで、携帯音楽プレーヤーのiPodに近い操作感で機能を選んだり設定を変更できる。一方、エプソン製品では、5機種中4機種に印刷枚数ボタンを追加。2枚以上印刷する際に、簡単に枚数を指定できるようにした。

 プリンターの基本性能である印刷速度と画質は、03年ごろ以降の製品であれば、下位機種でも必要十分なレベルとされている。しかしながら新モデルでは、この点でもさらなる性能向上を図った。特に印刷速度は格段に向上した。昨年モデルとの比較で、キヤノンは1.3~1.8倍、エプソンは1.4~1.8倍の高速化を実現したという。

 今回、初めて登場した新しいコンセプトの製品もある。エプソンの「PM-T990」がそれ。地上デジタル放送対応のテレビ画面も印刷できる。松下電器産業の「VIERAシリーズ」とペアで使うことが前提となる。松下は、リモコンで使える独自の情報提供サービス「Tナビ」を提供中。PM-T990なら、Tナビを表示したVIERAの画面を、リモコン操作で印刷できる。また、現在松下やソニーなど家電メーカー各社が標準化を急いでいる、Tナビに相当する新サービスにも対応する予定だという。

 今回のラインアップで、キヤノンは「PIXUS MP600」、エプソンは「PM-A820」を主力機種として位置付ける。これまで、インクジェットプリンター市場は両社の拮抗した技術開発で発展してきた。昨年のシェア争いはほぼ互角。この年末はどちらに軍配が上がるのか。戦いの火ぶたは、まさに今、切られた。

●キヤノンのインクジェットプリンター全モデル(A3判対応除く) * 継続販売モデル
製品名 インク色/
液晶サイズ
スキャナー/
フィルム対応
CD印刷/
両面印刷
2Way給紙/
L判印刷速度
実勢価格
MP960【複】 7色/3.5型 CCD/○ ○/○ ○/29秒 4万5000円
MP830*【複】 5色/2.5型 CCD/― ○/○ ○/33秒 5万円
MP810 【複】 5色/3型 CCD/○ ○/○ ○/18秒 3万7000円
MP600 【複】 5色/2.5型 CIS/― ○/○ ○/24秒 2万8000円
MP510 【複】 4色/1.9型 CIS/― ―/― ○/40秒 2万3000円
MP460 【複】 4色/1.9型 CIS/― ―/― ―/43秒 1万6000円
iP7500*【単】 7色/― ―/― ○/○ ○/40秒 2万3000円
iP4300 【単】 5色/― ―/― ○/○ ○/32秒 1万8000円
iP3300 【単】 4色/― ―/― ―/― ○/40秒 1万3000円
iP1700 【単】 4色/― ―/― ―/― ―/46秒 1万円
iP90* 【単】 4色/― ―/― ―/― ―/68秒 3万円
iP6700D 【ダ】 6色/3.5型 ―/― ○/○ ○/39秒 3万円
mini 260 【写】 4色/2.5型 ―/― ―/― ―/43秒 2万円
mini 220 【写】 3色/2.5型 ―/― ―/― ―/42秒 1万6000円
【複】は複合機、【単】は単機能機、【ダ】はダイレクト印刷機、【写】は小型フォトプリンター

●エプソンのインクジェットプリンター全モデル(A3判対応除く) * 継続販売モデル
製品名 インク色/
液晶サイズ
スキャナー/
フィルム対応
CD印刷/
両面印刷
2Way給紙/
L判印刷速度
実勢価格
PM-T990 【複】 6色/4型 CCD/○ ○/― ○/19秒 6万円
PM-A970 【複】 6色/4型 CCD/○ ○/― ○/19秒 5万円
PM-A920 【複】 6色/3.5型 CCD/○ ○/― ○/23秒 3万8000円
PM-A820 【複】 6色/2.5型 CIS/― ○/― ―/25秒 2万8000円
PX-A720 【複】 4色/2型 CIS/― ―/― ―/66秒 2万円
PM-D870 【ダ】 6色/3.5型 ―/― ―/― ○―/25秒 2万5000円
PM-G850 【単】 6色/― ―/― ○/― ―/25秒 2万円
PX-G930*【単】 8色/― ―/― ○/― ―/42秒 4万2000円
PX-V630*【単】 4色/― ―/― ―/― ―/42秒 1万円
E-700 【写】 4色/2.5型 ―/― ―/― ―/35秒 3万2000円
E-500 【写】 4色/2.5型 ―/― ―/― ―/35秒 2万5000円
E-300 【写】 4色/2型 ―/― ―/― ―/41秒 1万8000円
【複】は複合機、【単】は単機能機、【ダ】はダイレクト印刷機、【写】は小型フォトプリンター
■変更履歴
キヤノン「MP830」「iP7500」、セイコーエプソン「PX-V630」「E-700」の仕様に一部誤りがありました。お詫びして訂正します。表は修正済みです。[2006/09/27 21:56]