アクシスソフトは2006年10月24日,ウィルコムが販売するPHS「W-ZERO3」シリーズで動作するWebリッチ・クライアントを開発するツール「Biz/Browser Mobile for W-ZERO3」を出荷開始した。価格は3万9000円から(5ライセンス,初年度保守料込み:税込)。W-ZERO3はMicrosoftのPDA用OS「Windows Mobile 5.0 software for Pocket PC」を搭載したPHS。Webブラウザやメール・クライアントだけでなく,表計算やワープロなどのアプリケーションも搭載しており,パソコンの代替として人気がある。

 Biz/Browser Mobile for W-ZERO3は,Windows用のWebリッチ・クライアント開発ツール「Biz/Browser」をW-ZERO3用に移植したものである。Biz/Browserは,単純なWebアプリケーションでは実現が難しいキーボード・ショートカットや,スプレッドシート形式のGUIなどを実現し,業務アプリケーション端末に近い使い勝手をWebアプリケーションに提供するツール。クライアントにBiz/Browser実行環境をインストールしておけば,HTTPでWebアプリケーションのURLにアクセスするだけでアプリケーションを利用できる。

 動作が機敏な点も特徴だ。通常のWebアプリケーションでは,ユーザーが操作をするたびに画面の情報をWebサーバーから取得して描画するため,画面レイアウトが複雑な場合や,通信回線が遅い場合はレスポンスが鈍くなる。一方,Biz/BrowserのWebアプリケーションの場合,ボタンやラベルなど静的なコンポーネント情報をクライアント側にキャッシュし,データベース検索などで変更される情報のみをサーバーから取得して画面を更新する。そのため,転送するデータ量を節約でき,ユーザーの操作に対して機敏に反応するWebアプリケーションを作れる。

 Biz/Browser Mobile for W-ZERO3では,Windows用のBiz/Browserとほぼ同じ機能を利用できる。さらに,通信が途切れがちなPHSに対応するために,通信切断時でもW-ZERO3本体にデータを蓄積して,操作を継続可能にする機能を備えた。通信が再び利用可能になったところで,蓄積したデータを送信する。本体に蓄積するデータは暗号化して保存することもできる。

 アプリケーションの開発には,Windows版のBiz/Browserと同様に,「Biz/Designer」という統合開発環境を使用する。Biz/Designerでは,Visual StudioのようにGUI部品をグラフィカルに設計し,イベントハンドラを記述する形式で開発できる。イベントハンドラの記述にはJavaScriptによく似た独自言語CRS(Chain Reflection Script)を使う。対応する端末はW-ZERO3 WS004SH,W-ZERO3 WS003SH,W-ZERO3 [es]WS007SHの3製品。