イー・モバイルは2008年2月25日、音声通話サービスを同年3月28日に始めると発表した。サービス発表の記者会見の中で同社 代表取締役社長兼COOのエリック・ガン氏は、「現時点で、自社網による人口カバー率は約50%」と言及。NTTドコモとの国内ローミング契約により地方都市を補完しつつ、自社網によるカバー範囲の拡充を急ぐ方針を示した。一方で、都市部の地下鉄駅におけるアンテナ設置などに課題があることも示した。
イー・モバイルは2007年3月に、東名阪の各中心部で商用サービスを開始。その後順次、県庁所在地など人口の多い地域でアンテナの設置を進めている。約1年が経過し、人口カバー率を50%まで高めてきた。とはいえ、サービスエリアの面積で見ると国土の大半がまだカバーできていない。これを補完するため、NTTドコモの3G網を借用して国内ローミングサービスを提供する。ただし同社は、NTTドコモとの契約を「最長で2010年10月末まで」と明言しており、自社網の整備が進めばそれ以前に県域単位で国内ローミングサービスを終了させる考え。NTTドコモの3G網の借用が恒久的なものでなく、あくまで期間限定の暫定措置であることを強調している。
ローミング通話料は小幅高にとどめる、パケット代は完全従量制
国内ローミングは自社網によるサービスとは別の料金体系となる。具体的には、月額基本料が105円かかる。音声通話の割引サービス「定額パック24」が適用されないほか、パケット通信代は自社網での通信時とは別枠となり、1パケット当たり0.0735円の従量制で課金される。月額1000~4980円の2段階パケット定額制も適用除外となる。こうした制約があるため、国内ローミングサービスは自動付与ではなく、ユーザーが事前に申し込む必要がある。
とはいえ、音声通話の通話料については「NTTドコモと交渉を続けた結果、ローミング時の通話料を比較的安価に設定することができた」(イー・モバイル 代表取締役会長兼CEOの千本倖夫氏)とする。具体的には表1にある通り、30秒当たり22.05円である。「定額パック24」適用時の通話料と比べると大幅に高いが、ソフトバンクモバイルの「ホワイトプラン」やNTTドコモの「タイプSS」が30秒21円であることを踏まえると、小幅高で踏みとどまっているとも言える。
通常料金 | 「定額パック24」適用時 | |
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月額基本料 | 0円 | 980円 |
イー・モバイル端末宛て | 18.9円/30秒 | 無料 |
それ以外の携帯電話/PHS宛て | 18.9円/30秒 | 9.45円/30秒 |
固定電話/IP電話宛て | 18.9円/30秒 | 5.25円/30秒 |
国内ローミング時(別途月額105円が必要) | 22.05円/30秒 | 22.05円/30秒 |
国内ローミング対応端末は、現在のところ東芝製の音声端末「H11T」のみ(写真1)。台湾ハイテクコンピュータ(HTC)製のスマートフォン「S11HT」やシャープ製のスマートフォン「EM・ONE(エムワン)」、パソコン用のデータカードなどは国内ローミングの対象外なので注意が必要だ。