米AMDは米国時間2008年5月1日,x86プロセサ市場における米Intelの独占禁止法(独禁法)違反行為を示す新たな情報をデラウェア州連邦地方裁判所に提出した。

 AMDは,Intelがパソコン・メーカーなどに圧力をかけて自社製プロセサの購入を強要したと主張。連邦地裁に提出した文書で,米Dell,米Hewlett-Packard(HP),米IBM,中国Lenovo Group(聯想集団),台湾Acerおよびその傘下の米Gateway,ソニー,東芝といったパソコン・メーカーに言及した。ただし,一般公開した文書は黒塗りの部分が多く,詳しい内容は公表していない。

 この文書提出は,AMDがIntelを相手取って起こしている独禁法違反訴訟に関するもの。これまでの経緯は以下の通り。

 AMDは2005年6月27日,x86プロセサの販売活動で独占禁止法に違反したとして,Intelをデラウェア州連邦地方裁判所に提訴した(関連記事:米AMDがx86プロセサの不正販売行為で米Intelを提訴,「38社が圧力の犠牲になった」)。AMDは,「Intelが世界各地で当社の顧客に圧力をかけ,不正に同市場を独占してきた。米/欧州/アジア大陸の大手パソコン・メーカー,小規模システム・ビルダー,卸売業者,小売業者といった38社が圧力の犠牲になった」と主張。AMDは同年7月1日に証拠保全を申し立て,同地裁はこれを認めた(関連記事:米AMD,対Intel訴訟関連の文書保存に関する申し立てが認められる)。

 その後,Intelはデラウェア州連邦地裁に反対意見書を提出し(関連記事:米Intel,米AMDとの独禁法違反訴訟で反対意見書を提出),同地裁はMicrosoftに情報提供を求める召喚状を発行した(関連記事:米AMD,米Intelに対する独禁法違反訴訟で米Microsoftに召喚状)。

 Intelは,欧州と韓国,日本でも同様の調査対象となり,排除勧告などを受けている(関連記事:日本AMDによる対インテル訴訟,東京地裁が公取委に関連資料の提出を要請へ韓国の公正取引委員会,米Intelにマーケティング・プログラム関連の文書提出を要求)。

 またニューヨーク州の司法長官であるAndrew M. Cuomo氏は米国時間2008年1月10日,x86プロセサ市場における独占禁止法(独禁法)違反の疑いでIntelを本格的に調査すると発表した(関連記事:ニューヨーク州,x86プロセサ市場の独禁法違反行為でIntelに対する本格調査を開始)。

 米メディア(InfoWorld)によると,2007年のプロセサ市場におけるAMDのシェアは13%で,長期的な事業継続の必要条件とされるシェアの半分にも満たないという(関連記事:2007年Q4のPC向けマイクロプロセサ市場,出荷個数が過去最高を記録)。

[AMDの提出した文書(PDF形式)]