HDDの容量は年々増加しているが、その限界は無いのだろうか。現在の記録方式という点では、実は限界が見えている。1Tビット/平方インチだ。
記録密度を高めるためには、データを保持する「磁区」を小さくする。磁区が小さくなると熱で磁化が反転してしまう「熱ゆらぎ」が発生しやすくなり、1ビット/平方インチだと常温で磁化を保持できなくなる。そこで常温で安定した磁化を確保できる材料に変えると、今度は強い磁気を与えないと記録できなくなる。強い磁気を与えるにはヘッドを小さくできなくなる。つまり、磁区の大きさ、磁化の安定、磁気情報の記録という、3つの要素が同時に成り立たない。
PC向けでは1TBのディスクの記録密度が最大である。その記録密度は、約600Gビット/平方インチ。これを2倍に高めるのが、現在の記録方式では難しい。
限界を超える技術として有力なのが、「瓦記録」「パターンドメディア」「熱/マイクロ波アシスト記録」だ。
記録密度を高めるのにどんな技術が有力なの?
最も実用化に近いのが瓦記録。瓦が少しずつ重なっているのと同じように、記録するトラックを少しずつ重ねて、記録密度を高める。東芝などが実用化に向けて開発している。パターンドメディアは記録面に仕切りを作って、隣接する記録ビットとの干渉を防いで磁化を安定させる。熱/マイクロ波アシスト記録は、レーザーやマイクロ波で磁化を記録する際に必要な磁力を軽減する。