日本マイクロソフトは2011年8月12日、スマートフォン向けOS「Windows Phone 7.5」に関する報道関係社向けの説明会を開催した。7月27日に発表があった通り、9月以降に同OSを世界で初めて搭載した端末「IS12T」(富士通東芝モバイルコミュニケーションズ製)がKDDI(au)から発売される予定だ(関連記事)。

 Windows Phone 7.5は、欧米では2010年10月から提供されている「Windows Phone 7」の改良版で、日本語に対応するなど大幅に機能を強化したOS。これらWindows Phone 7や7.5は、同社の携帯機器向けOS「Windows Mobile」の流れを汲むが、その設計思想や中身は全く異なる。「Windows Mobileは、もともとPDAに端を発していたので、それをベースにした携帯電話もあったが、昨今のスマートフォンとは位置付けが違った。そこで、全てのコード、OSのデザインを見直して新しく作り直したのがWindows Phone 7だ。今の時代に求められているスマートフォンに必要な機能、ユーザーインタフェースを搭載した全く別物のOSである」(同社業務執行役員 コンシューマー&パートナーグループ コミュニケーションズ パートナー統括本部長の横井伸好氏)。

 これまでも「IS02」(KDDI、東芝製)など“Windows Phone”と呼ばれるスマートフォンは提供されていたが、それはOSにWindows Mobileを搭載した端末で、OSの名称ではなく、ブランドとして“Windows Phone”という名称が使われていただけだ。一方、Windows Phone 7以降は、OSの名称自体が「Windows Phone」へと変わっている。

 プラットフォームとしての仕様も大幅に変更されたため、Windows Mobileとはアプリの互換性がない。そのため、従来のWindows Mobile端末を使っているユーザーにとっては、戸惑いが大きいかもしれない。Windows Mobileは、パソコンのWindowsと似たユーザーインタフェースや使い勝手を実現していて、プログラムやファイル管理の方法も似ている。USBケーブルでパソコンとつなげば、特定のフォルダーや「Outlook」のメール、予定表、仕事、メモなどを完全に同期できる点がメリットだ。ところが、Windows Phoneは全く異なる。「メトロ」と呼ばれる新しいユーザーインタフェースが採用されているし、ファイル管理の仕方も変わった。