ハイブリッドHDDを生かすには、内蔵するフラッシュメモリーにどのようなデータを保存するかがカギになる。特定のデータを保存するための専用のコマンドが用意されており、OSからの指示に従って処理されている。フラッシュメモリーの利用が多くなれば、HDD内部のモーターやサーボを停止でき、省エネにも効果的だ。

 前回に続いて、ハイブリッドHDDの仕組みを見ていこう。ハイブリッドHDDの特徴を生かすには、どのデータをフラッシュメモリーに置くかが重要になる。磁気ディスク上のデータの番地(LBA、Logical Block Address)を指定し、その指定エリアのデータはフラッシュメモリーを使うように設定できる。新しく決められたコマンドで行うこの設定エリアを「NV Cache Pinned Set」と呼ぶ(図1)。

図1 ホストPCがハイブリッドHDDの不揮発性メモリーに保存するデータは、LBA(Logical Block Address)で指定し、不揮発性メモリー上の「NV Cache Pinned Set」領域に保存される。「NV Cache Unpinned Set」は、ハイブリッドHDD自らが判断したデータを保存する。
図1 ホストPCがハイブリッドHDDの不揮発性メモリーに保存するデータは、LBA(Logical Block Address)で指定し、不揮発性メモリー上の「NV Cache Pinned Set」領域に保存される。「NV Cache Unpinned Set」は、ハイブリッドHDD自らが判断したデータを保存する。
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 この設定エリアを指定するときに「PI(Populate Immediate)」というオプションを指定すると、既に磁気ディスクにあるデータをフラッシュメモリーにロードする処理を一度にこなせる(図2)。例えばOSの起動に関するデータを先行してフラッシュメモリーに格納しておくと効率的だ。

●磁気ディスク上の特定データを不揮発性メモリーに保存する
図2 磁気ディスク上の特定のLBAにNV Cache Pinned Setを指定するとき、「PI(Populate Im-mediate)」オプションを付けると、LBAの指定と同時に磁気ディスクからデータを読み出して、不揮発性メモリーに保存する処理をする。これ以降は、不揮発性メモリーからデータを読み出す。
図2 磁気ディスク上の特定のLBAにNV Cache Pinned Setを指定するとき、「PI(Populate Im-mediate)」オプションを付けると、LBAの指定と同時に磁気ディスクからデータを読み出して、不揮発性メモリーに保存する処理をする。これ以降は、不揮発性メモリーからデータを読み出す。