活動データ
タイム
06:22
距離
9.5km
のぼり
935m
くだり
935m
活動詳細
すべて見る7月末日に登った大天井ヶ岳の山頂で出会ったお父さんがポツリと語った一言… 「山上ヶ岳は生まれ変わりの山」 この言葉に衝撃と感銘を受けた。 以前山上ヶ岳を登った時に感じた感覚…つきものが落ちたようなスッキリとした感覚…心根がクリアになったというか、穢れが祓われたというか…それが何なのか、うまく言い表すことができなかった。 そう!生まれ変わったんだ! 山上ヶ岳は登った人が新しい自分に生まれ変わる山。その表現がピッタリ!(^-^) それがこの山が信仰の山であることに起因しているのは間違いない。山上ヶ岳は修験道の聖地なのです。 修験道は7世紀に役小角によって開創された、古神道に山岳信仰と仏教が習合し、密教などの要素も加味されて確立された日本独自の宗教です。深山幽谷に分け入り厳しい修行を行うことによって悟りを得ることを目的とした実践的な宗教でもあります。 総本山は吉野の金峯山寺。こちらは信仰の聖地ですね。そしてこの大峰山脈は修行の聖地。中でも山上ヶ岳は山頂に大峰山寺を戴く修行の中心地なんです。 そして古代より現在に至るまで、その壮絶な山岳修行は変わることなく続けられている。 静謐な山…豊かな自然…山間に響き渡る法螺貝の音…こんなに素晴らしい山はそうそうありません。 ところが! この山は世の中の半分の人は登れないんです。そう、女性が登れない山なんです! 山上ヶ岳は開山以来1300年に渡り、現在に至ってなお、頑なに女人禁制を守り続けているのです。日本で唯一、登拝のできる女人禁制の山です。 おそらく開山当初は現在の感覚には合わない様々な理由があって女性が排除されていたのでしょう。しかしそれからおよそ1300年…私が思うに、行を実践するに当たって男性が女性を断つ…ほら、男性って女性がいるといきがったりカッコつけたりするでしょ?そんな煩悩や欲といったものを断つために、女性の方にご遠慮いただいてるのではないかと考えるようにしています。 まあそれはともかく、この女人禁制は女性の信仰者や地元の女性にも支えられて守り続けられてきました。いわば宗教上の伝統であり、それは文化であるとも言えます。 女性の方には本当に申し訳ないんですが、山上ヶ岳の女人禁制は守り続けられるべきではないかと思うんです。 しかし男性は自由に登拝できますし、写真も撮れる。レポートを上げても問題なし! そこで!今回は特に女性の方に!もちろん男性やそれ以外の方にも、山上ヶ岳を擬似体験していただきたいと思います! ということでちょっと画像も多め、レポートも詳しめでたっぷり山上ヶ岳をお届けします(^^) それでは早速山上ヶ岳に登って行くことにしましょう!*\(^o^)/* 上りは清浄大橋から洞辻茶屋を経て山頂に向かいます。 駐車地は清浄大橋すぐの大橋茶屋の駐車場を利用しました。日帰り登拝なら普通車¥1,000。 天気予報はそれほど良いものではなかったのですが、青空が出てますねー。それに涼しい!(^^) 5:45に駐車場に到着。隣の隣の車は行者さんですね。白装束に錫杖を持って…法螺貝の試し吹き?早くも山間に法螺貝の音が響き渡ります。山上ヶ岳はこうでなくちゃ! 準備をして6:10に出発。 赤い欄干の清浄大橋を渡ると供養塔や記念碑が立ち並ぶエリアを抜ける。線香の匂いが辺りを包み込む… その先、山に入る手前に女人結界門があります。ここから先は男だけの世界…あー、よく考えると気持ち悪い…(ー ー;) いかん、いかん。煩悩を捨てろ!欲を捨てろ!生まれ変わりに行くんだ! 気を引き締めて山に入る。深い森…薄暗い中を白い石畳が続く。さらにコンクリの穏やかな坂道を登り、急な木の階段を登ったら少し広めの広場に出る。 ここで先行していた隣の隣の車の行者さん2人に追いつく。 お一人が座り込んで水を飲んでいらっしゃる。もうお一人が声をかける。「大丈夫か?いけるか?」「はい、大丈夫です。」 いやいや、まだ10分しか歩いてないし、ほとんど登ってないですけど!?このお二人、大丈夫だろーか?しっかり修行してください(^_^;) 通り過ぎざま、「おはようございます。ようおまいり。」と声をかけていただく。「ようおまいりです。お先に失礼します(^^)」と返事。この後このお二人を見ることはなかった… そうそう、この山では人に会ったら「ようおまいり」とあいさつするんです。私は「ようおまいり」と言いたくてこの山に入ってると言っても過言ではない。 このたった6文字の言葉に、いろんな気持ちを込めてあいさつをするんですね。 「いいお参りにしてくださいね!」 「まだまだ上りは長いですけど頑張って!」 「下りは危ないのでお気をつけて!」 この短い言葉でたくさんの意味のあるコミュニケーションがとれる。「ようおまいり」は魔法の言葉なんです(^^) 広場から先は本格的な山道になります。ただよく整備されているし、傾斜も穏やかだし、本当に歩きやすい。 ここは登山道ではない。参道なんですね。参道は総じて歩きやすいものです。特に私たちのような登山者は、普段からもっと厳しい登山道をたくさん歩いていますから、参道はまさにストレスフリーです。それでも一般参拝者の方々にとっては厳しい山道ということになるんでしょう。 展望の少ない穏やかな山道。あれこれと考えることは何もありません。だからこそ歩くことに集中できる。そしてただ黙々と歩き続けることで「無」に近づくわけです。その中で自分としっかり向き合える。それこそが「行」なのだと思うんです。 「行」とはまず歩くこと!それが私が山上ヶ岳で得た験の一つです。 出発してからおよそ45分、建物が見えてきました!一本松茶屋です。横に広い平屋の建物で、参道は建物の中を貫いて続いている。 行場の山の参道では、時折このような建物を見かけることがありますね。行場スタイルなんでしょーか?(^_^;) 建物の中は板間や土間に座卓が並べられています。茶屋らしき設備はありませんね。休憩所です。 この後も道は依然穏やか。山腹に沿ってゆっくりと標高を上げて行きます。時折斜面のキツいところもありますが、そのような場所には階段が設てありますので難しくはありません。木々の間から漏れる朝日がとってもキレイです(*'▽'*) 一本松茶屋からおよそ30分、お助け水の水場に到着です*\(^o^)/*岩場から渾々と湧き出る水。一口頂いてみましょう! …あれ?あんまり冷たくないな…うん、そんなこともある(^_^;) 水場周辺には丸太ベンチがたくさんあって休憩には最適です。それとツリフネソウ…ハガクレツリフネがたくさん咲いてました(^^) お助け水から途中七曲り(確かに7回曲がったが、それほど厳しい上りではありません)を経て歩くことおよそ30分、洞辻茶屋に到着です*\(^o^)/* この洞辻茶屋のところで、吉野から続く大峯奥駈道に合流します。 この大峯奥駈道は世界遺産の熊野古道の一つで、吉野から大峰山脈を辿り熊野に向かう古道です。いくつかある熊野古道の中でも、最も厳しいルートとも言われています。ここから山頂まではこの大峯奥駈道を歩いて行くことになります。 洞辻茶屋も建物の中を参道が貫いている。道を挟んで左右に床几。朝早いのでまだ売店のシャッターは閉まっています。店が開いていれば軽食や飲み物を購入することができます。所狭しと参拝記念のプレートが納められているので眺めながら歩く。 あまり疲れてはいませんが、せっかくなので少し休憩して行きましょう(^^) 10分ほど休憩して出発。茶屋を出たら…あ〜あ、ガスってるよ(~_~;)登山ナビの見晴らし予報通り…さすがやな。 洞辻茶屋を出発してから10分ほどの間に、出店の建物を2軒通過します。こちらも茶屋同様、建物の中を道が通過する形式。 1軒目の建物は大きめ。複数のお店が軒を並べる。薬や日用品が売られているようです。 何度も申し上げるようにこの道は参道です。行者さんも多いし、熊野まで向かう参拝者もいたことでしょう。なのでこのような宿場や茶屋、出店があるんでしょうね。熊野までなら数日かかるでしょうから。 売られている薬は「陀羅尼助(だらにすけ)」ですね。関西の方には馴染み深い大峰産の和漢の胃腸薬です。 2軒目は小さな建物ですがシャッターが閉まっていました。ところが通路のベンチに張り紙発見! 「今上天皇御着座」 なるほど、今の陛下は登山がお好きですからね(^^)大峰を回られたのでしょうか?弥山にも訪れられていましたよね。さすがに畏れ多くて同じ場所には座れません!(^_^;) 2軒目の出店を過ぎると、いよいよ行場に突入です! 道は二手に分かれます。左は上りに使う行者道、右は下りに使う平成新道です。もちろん左に進みます(^^) 少し傾斜がキツくなってきたのかな?階段が増えてきました。下りの道では体験ツアーの方々が下山されています。一泊されたんでしょうか?いいお参りになったかな?(^-^) 「わらじはきかえの碑」がありました。その昔、大峰山寺を参拝する人々は、ここで古い草鞋を納め新しい草鞋に履き替えたということです。俗世に汚れた草鞋を捨てて、穢れのない新しい草鞋に履き替える。ここからが聖域と考えられていたのですね。 洞辻茶屋からおよそ25分、鐘掛岩に到着です*\(^o^)/* ここは凄いですよ!絶壁を登る行場です。 行場の体験はきちんと申し込みをして、先達さんの指導を受けるのがルールなので勝手に登るようなことはいたしません。ですが迂回路の途中から絶壁の真下まで行けるので、ちょっと覗きに行きましょう(^^) 絶壁の下には板間のテラス(舞台)があります。展望が良さそうなんですが、残念ながらガスで何も見えません(ー ー;) 舞台から鐘掛岩を見上げる。高さはどうだろ…?十数mくらいかな?前半は岩場登り、後半から頂上までは鎖場ですね。 勝手に登りはしませんが登るつもりで岩を掴んでルートを探してみる。前半の岩場登りは何とかなりそうです。足場も確保できそうですね。後半の鎖場は…ちょっと見えにくいので何とも言えませんが…オーバーハングしてる??かなり厳しいのは間違いありませんね。 …というところで一旦引き返し、迂回路を利用して鐘掛岩の頂上に登ります。 頂上はルート上では数少ない絶景ポイント!わー!絶景!…と言いたいところなんですが見事にガスで真っ白け(^_^;)北から東にかけては真っ白で何も見えません。西側は少しガスが薄い。お隣の稲村ヶ岳が雲の向こうに見えています。相変わらず大日山のトンガリ具合がたまらない!(^^)日差しはあるんですけどねー。 では鎖場を上から覗いて見ることにしましょう!岩の先端まで行って下を覗き込んだら…虹色の光の輪の中に人の影…うわっ!?ブロッケンやっ!(@_@) 初めて遭遇したブロッケン現象に軽くパニック!ちょっと手を振ってみたりして(^_^;)違う、違う!写真や!写真撮らな!あわてて携帯を取り出しているうちに、太陽が雲に隠れてその光の輪は淡く消えていった…(~_~;) しばらく粘ってみたけどダメでした…ブロッケン現象…ガスがスクリーンになって光が投影されるんですね。写真は撮れなかったけどいい経験をした。自然ってスゴいなぁ…(^^) あ、そうそう、鐘掛岩だ!鎖場を上から覗き込む。あー、なかなか厳しそうですね。ただ距離が短いし、岩に凹凸があるのでなんとかなるかもしれない…いつか登ってみたいな。意外とスルスル登れたりして(^_^;) 鐘掛岩で随分時間を食っちゃったので先へ進むといたしましょう! かなり岩場が多くなって来ましたが、相変わらず傾斜は穏やか。のんびり歩いて鐘掛岩からおよそ25分、西の覗に到着*\(^o^)/* 断崖絶壁の岩の上、ここも厳しい行場です。 みなさん、テレビなどで見られたことはないですか?体に綱を巻いてこの岩場から上半身を乗り出す。綱は先達さんが引いているのですが、断崖絶壁から突き落とされそうな状態で… 「嫁さんを大事にするか!?」 「親孝行するか!?」 などと矢継ぎ早に問いかけられる。これはもう「はいっ!」て言うしかありませんね(^_^;) 私の場合だったら… 「嫁さんを大事にするか!?」→「離婚したので嫁さんはいません!」 「親孝行するか!?」→「縁が切れてるので生きてるか死んでるかもわかりません!」 …あかん、こりゃ突き落とされるわ… でもこの西の覗は絶景ポイントですね!深い山並み…めっちゃキレイです!*\(^o^)/* その後もこれぞ山上ヶ岳と言うべき美しい風景の中、歩みを進めます。宿坊(行者さんたちの宿泊施設)を横目に見ながら石段を登る。 妙覚門を越えて石段を登り詰めたら、大峰山寺本堂に到着です!*\(^o^)/*時刻は9:25。西の覗からおよそ20分、出発してからおよそ3時間15分です。 大きな本堂と広い境内。本堂は寄棟造りですね。屋根がとても大きな建物です。棟木が短い!ほとんど三角形に近い台形の屋根です。 目的はお参り!人は少ないです。しっかりお参りしましょう(^^)無事にここまで辿り着けたことに感謝です。 大峰山寺は山頂ではありません。山頂はもう一段上の「山頂お花畑」の一角にあります。それでは山頂に向かいましょう! 本堂の向かい側からお花畑に入ります。このお花畑は一面の笹原。花は…あまりありませんね(^_^;)オトギリソウがちらほら咲いているくらいです。一体どの季節に花が咲くんでしょうか?謎です… 山頂標示から左に向かって笹原を進んで行った先に、「湧出岩」のあるピークがあります。ここが山上ヶ岳の山頂になります。傍には一等三角点。ありがたい、ありがたいm(_ _)m お花畑からは展望抜群!…なんですが、雲が低いですねー。幸い山上ヶ岳山頂付近は雲がないですが、隣の稲村ヶ岳も山頂にはすれすれ雲がかかっています。八経ヶ岳や弥山は雲の中ですね。 北側は晴れていて見通しもいい!山並みの向こうに街が見える。遠くの山並みは和泉山脈でしょう。青空ですね。いい天気です。 それでは食事休憩にしましょう! 今日は涼しいですが、このお花畑はほとんど日陰がありません。唯一の日陰、ルート横のコメツガの木の下で食事にします(^-^) 10:45、ゆっくり休憩したので下山します! 下山ルートはレンゲ辻から清浄大橋に下るルートです。でも結果的には、このルートはあまりおススメできません。 まず傾斜がキツい。急坂下りが続きます。それに石がゴロゴロ転がっていて歩きにくい。無駄に踏ん張るので足にかかる負担が大きいです。さらにルートが分かりにくい。このルートは谷筋の沢沿いルートなので沢渡りもあります。しっかりマーカーを見定めてルートを外さないように注意して下る必要があります。 はっきり言ってピストンをオススメします! 何と言っても人が多いでしょ?「ようおまいり!」って言いたいじゃないですか(^_^;) 距離は少し長くなりますが、歩きやすいし休憩所もあるし。あー、洞辻茶屋でおでん食べたかったなぁ…なんて…あ、全然欲が抜けてねーな。 いろいろと難癖つけましたが、レンゲ辻まではとても眺めのいいルートです。 下山開始からおよそ30分でレンゲ辻に到着。ここに女人結界門があります。真っ直ぐ進めば稲村ヶ岳、右に下れば清浄大橋です。 レンゲ辻から登山口まではおよそ55分。歩けど歩けど進まない。厳しい!というよりは辛い下りですね。石ゴロゴロで足がキツい!(>_<) 登山口からは舗装路歩き。舗装路歩きを嫌がる方も多いですが、私はそれほど嫌いではないです。 今日歩いた山を思い返しながらぶらぶらと歩く。それに日当たりのいい舗装路沿いは、結構花が多いですからね!(^^) 舗装路歩きおよそ25分、時刻は12:35、無事に駐車場に戻って来ました*\(^o^)/* 片付けをしてトイレに行って大橋茶屋に入ってみる。 お?ビールあるじゃん!車なのでノンアルコールを購入。そして一気飲み!全然欲だらけじゃん!(^_^;) さて、今回の山上ヶ岳で私は生まれ変わったか…? んー…ピストンしたら生まれ変われていたかもね。上りに難しいところや厳しいところは全くありませんが、なにしろ下りがキツくて!(>_<) それでもやっぱり山上ヶ岳は他の山とは違う。何か清々しい気持ちであることは間違いない。 日常生活に疲れたら…俗世に塗れて穢れたら…そう、山上ヶ岳に登ろう! 「六根清浄」という言葉がある。本当に苦しい場面で六根清浄を唱える… 「懺悔、懺悔、六根清浄」 その苦しみを乗り越え、過去の罪を懺悔し、人間の内側にある六つの根を清らかにする…それが験となり、また一歩悟りの境地に近づくことができる… 歩くことこそが「行」。山上ヶ岳は改めてそれを教えて諭してくれる山なのだ。 うん、また必ずこの山を訪れよう☆ 山上ヶ岳疑似体験、いかがでしたでしょうか? 特に女性の方々…大峰でも女人禁制なのは山上ヶ岳だけです。お隣の稲村ヶ岳は「女人大峰」とも呼ばれていて、山頂から間近に山上ヶ岳を遥拝することもできます。みんなで「ようおまいり!」とあいさつしたいものですね☆ 最後に…この山は登拝のための山です。山の楽しみ方は自由を大前提にあくまで個人的なお願いですが、決して遊び半分や気軽なアウトドアレジャー気分では来ないでいただきたい。 真摯な気持ちで山に向かい、しっかりと自分を見つめ直しながら、一歩一歩大切に歩いていただきたいのです。 そうすれば必ず験を得ることができます。そして生まれ変わることができるのです。 この山は信仰の山です。1300年に渡って厳しい戒律が守られ続けてきた山なんです。私たちもそのことをしっかりと理解した上で、この山に崇敬の念を持って歩くことが大切だと思うのです。 山上ヶ岳…日本唯一の女人禁制の山… そしてこの山は…そう、生まれ変わりの山…
もしも不適切なコンテンツをお見かけした場合はお知らせください。