北のとうさんの鉄道旅・アマチュア無線JA8HBO

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JR北、開発中止した285系、検測車転用取りやめを発表

2016年04月26日 | JR北海道 JR北



285系についてはこのブログでは数回取り上げてきた。

 開発中止の発表当初から疑問視されていたが、一昨日、予想通り検測車への転用は取りやめるとの発表があった。
 新型特急車両285は、JR北海道が、2006年から川崎重工と鉄道総合技術研究所とJR北による3者が共同で研究開発し、約25億円を投じた試作車が2014年の秋に完成した。開発のベース車両になった試験車両キハ160は" ITT " (Innovative Technology Train)のロゴマークが描かれ誇らしげに苗穂工場の入り口正面に展示されていたものだったが、同車はいとも簡単に解体されてしまった。
その時点で285の将来は消えたのだった。



 完成納車と前後して、JR北にとっては過剰品質と過剰性能だという理由で開発を中止したと発表した。
本当のところは,新幹線開通を控えて、経営資産の適正配分ということが一番の理由だろう。
さらに、貨物列車の脱線事故、石勝線での車両火災の後も続発した車両発火事故で、経営陣とJR東日本から派遣された技術陣が現場の保守整備能力の著しい能力の低下を目の当たりにして、285は「現場のレベルに合った」車両ではなく、「手に負えない」車両と判断したと思われる。

さらに、経営に深く関与するようになったJR東が、よりシンプルなシリーズ方式のハイブリッド方式を実用化しており、パラレル方式には難色示したのではないかとも考えられる。


(参考・・・285はエンジンをモーターでアシストして走るモーターアシスト方式(パラレル方式とも言う)のハイブリッド機構を装備して省エネと排ガスの低減を目指す画期的車両。
さらにカーブの通過性能と乗り心地を向上のために、空気バネ車体傾斜と振り子式の二つによる「ハイブリッド車体傾斜システム」を搭載して、車体傾斜角度は283系より多い8度。曲線通過速度は+50Km/hとなり、高速化が期待できる。
一方、エンジンは発電だけを担い、モーターだけが動力となるのが東日本が採用したシリーズ方式。駆動部分が電車と基本的に変わらないという整備上のメリットがある。現在は普通列車とリゾート列車で実用化している)



開発中止の発表時、さすがに高額な費用をかけて開発し、ほぼ完成していた試作車を即時廃車すると言うことは社会的にも批判を招くと考え、線路等の検査車両(検測車)への転用を検討するとした。
それから約1年半、検測車への転用は断念したと正式に発表。当初から検測車への改造と新規に製造する費用に大きな差はないといわれていた上に車両の構造上から、あまり驚きはなかった。
要するに体裁を繕っただけと批判されてもやむを得ないだろう。

ただ、まあそれはないだろうが、ほんとうにこのまま金属とプラスチックくずとして処分しまうのだろうか。
今のJR北と東日本からの派遣組ならやりかねない。
私は学生自体に「R&Dをおろそかにする企業に未来はない」と学んだ。JR北は鉄道運輸サービス業であると同時に「装置産業」の一面もある。設備・装置の開発更新を怠るということは事業の発展を阻害することになるのは明白であろう。
285は、ハイブリッドによる駆動と空気バネによる車体傾斜と振り子による車体傾斜も大きな特徴の一つだ。
JR北はこの間、「線路への負担」を嫌い、曲線での車体傾斜には消極的で、車体傾斜が大きな特徴だった261系やキハ201での同装置の動作を停止するなどしている。正式な発表はしていないが振り子式の281系や283系の傾斜動作も抑制しているように感じる、と言うより極端な減速で必要性もないのだろう・・・・。
261の「Tilt」のロゴをわざわざ消したりするなど、実に無駄なことに時間と資金も費やしている。別に車体傾斜の動作を止めていると発表すれば良いだけで、その上、新塗色を発表して、ロゴを変えたものを再び塗りなおすなどという二重の無駄も重ねようとしている。
悪く言えば、この期に及んで「格好つけるな」と言いたい。
(旧Tiltロゴ261)

(新塗色261)

 閑話休題、車体傾斜による高速化の必要のない用途での利用ができないものだろうかと考える。
たとえばリゾート列車への転用だ。納車直後の試運転を見る限りでは車台周辺の雪氷対策はされていないし、試験運用もなされていないので、早急に下回りの防御板?などを装着し、非積雪期間限定で閑散路線の観光地を中心に運用をすればとも思う、鉄道ファンや子供たちが新幹線で全国各地から押し寄せるのが目に見えるようではないか。


具体的には、富良野線が一番良いのではないかと考えるが、新幹線に近い函館と大沼公園間、さらに道南いさりび鉄道に乗り入れるというのもどうだろうか。函館・大沼公園間は藤城線を使えば「北斗」の邪魔にもならないだろう。
 先日、五能線で「リゾートしらかみ」に乗ってきた。3回目にして初めてハイブリッドのHB-E300に乗車することができた。典型的なシリーズ方式なのでディーゼルエンジン音が賑やかな(ウルサイ)電車と言ったところだが、なかなか楽しい時を与えてくれた。
残念ながら285は景色を眺めるには窓が小さいようなのが難点だが・・・・・。
このような「運用」で得られたデータを今後の車両開発に生かすことができれば、285の開発に要した莫大な費用も生きてくるというものだろう。
老朽化が著しく進んだキハ40の後継はJR東日本に倣った電気式気動車を開発すると発表されたが、非電化区間での内燃機関だけに頼った鉄道車両はいずれ過去のものとなるだろう。
さらに、281や283はもちろん、現在集中して増備が行われている261系もいずれは老朽化して後継車が必要となるときがやってくる、そのためにも261の後継車両の開発が必須だが、非電化区間ではハイブリッド方式も一つの選択肢となるだろう。
新幹線が札幌まで延伸すれば北斗、スーパー北斗が無くなる上に、札幌を中心とした電化区間以外の非電化路線が残っていて特急車両が必要となるのかが心配ではある。
しかし、宗谷本線、石北本線、根室本線が消滅して都市間特急も消滅するとは思えない。
また、新幹線の並行在来線の第三セクターが長大路線に普通列車しか走らせてはいけないということはないのだし、技術を他鉄道会社に有償譲渡するということもあり得る。

新車両の問題は、単にJR北海道だけの問題ではないのだ。ガラパゴス化と揶揄され、海外では苦戦している日本の新幹線技術に代って輸出できる鉄道技術としてのハイブリッド車両技術は必ずや、我国の技術大国としての復活に寄与するものと確信できる。


285の開発中止は、単にJR北海道という企業の問題にとどまらず、日本の鉄道技術、さらに言えば日本の科学技術の進展にも悪影響を及ぼすものだと思う。
他社に譲渡という意見も散見されるが、私はJR北に期待したい。しかし、在来線への依存度ということではJR四国が一つの選択肢かな(●^o^●)

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