4億円到達なるか注目のソフトバンク・内川聖一【写真:藤浦一都】

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6選手がタイトル獲得、4選手がベストナイン、ゴールデングラブ賞に輝く

 2年ぶり8度目の日本一に輝いたソフトバンクの契約更改交渉が、いよいよ本格的にスタートする。すでにファームの選手らの契約更改は終わっており、12月に入ると、1軍でプレーしていた主力選手の契約更改交渉が続々と行われる。

 今季は至上命令だったリーグ優勝、日本一の奪還を果たした。シーズン94勝を挙げての独走V。デニス・サファテ投手のMVP、最多セーブをはじめ、東浜巨投手が最多勝、千賀滉大投手が最高勝率、岩嵜翔投手が最優秀中継ぎ、アルフレド・デスパイネ外野手が本塁打、打点の2冠王、柳田悠岐外野手が最高出塁率と、タイトルを獲得した。

 今季急成長を遂げた甲斐拓也捕手、今宮健太内野手、柳田、デスパイネの4人がベストナインに選出され、甲斐、今宮、柳田に加え、松田宣浩内野手がゴールデングラブ賞に輝いた。各タイトル、表彰も相次いだ今季のソフトバンク。日本一にもなり、大幅アップの選手が相次ぎそうな気配のオフの契約更改。そこで、今季の年俸順に注目選手をピックアップしてみたい。(※金額は推定)

石川、上林、甲斐と年俸1000万円に届かない選手も活躍

○石川柊太投手(500万円)
34試合8勝3敗1ホールド0セーブ 6QS 防御率3.29
98回1/3 69安打11本塁打99奪三振57四死球 WHIP1.21

 育成出身で昨季途中に支配下となった右腕は今季、先発、中継ぎ双方で活躍。負傷者続出の中で先発ローテに入って勝利を積み重ね、自身初となる1軍で8勝をマーク。故障者が戻ってきた後も中継ぎ陣に加わり、早い回での登板やロングリリーフなどをこなし、チームにとって大事なピースとなった。今季推定年俸500万と格安なだけに、大きくアップするだろう。

○上林誠知(800万)
134試合415打数108安打13本塁打51打点12盗塁 打率.260
26四死球10犠打2犠飛 出塁率.302 得点圏打率.229 OPS.736

 今季外野の定位置を掴んだ将来の主軸打者候補。開幕から打ちまくり覚醒を確信させたが、夏場以降は疲労などから調子を崩し、それを取り戻せないままにシーズンを終えた。クライマックスシリーズ、日本シリーズでも出番は少なく、悔しい1年の終わり方となった。ただ2桁本塁打も放ち、ある程度の結果は残したと言える。

○甲斐拓也(900万円)ベストナイン、GG賞
103試合207打数48安打5本塁打18打点4盗塁 打率.232
28四死球22犠打0犠飛 出塁率.323 得点圏打率.176 OPS.695

 ソフトバンクにとって今季最大の収穫の1つが、この甲斐だろう。育成出身だが、今季は開幕1軍入り。主に東浜、千賀の若い2投手と組んで、チームの捕手で最多の103試合に出場した。プロ初本塁打が満塁本塁打、1試合2本塁打などセンセーショナルな活躍もあり、その強肩も大きな抑止力となった。コンビを組んだ東浜、千賀がそれぞれタイトルを獲得し、自身もベストナイン、GG賞も獲得。高齢化が進んでいた捕手難に、一定の目処をつけた。今季の推定年俸900万から3〜4倍増となってもおかしくはない。

○嘉弥真新也(2000万円)
58試合2勝0敗14ホールド0セーブ 防御率2.76
32回2/3 31安打1本塁打47奪三振16四死球 WHIP1.29

 森福の巨人移籍に伴い、サイドスローに転向。これが見事にハマった。自己最多となる58試合に登板。満塁といった厳しい場面での登板も多く、幾度となくチームの窮地を救ってきた。日本ハムの大谷翔平ら各チームの並み居る左打者を抑えた。こちらも今季の推定年俸は2000万円と高くなく、倍増以上の大きなアップが見込めそう。

東浜は最多勝、岩嵜は最優秀中継ぎ、千賀は最高勝率のタイトル獲得

○東浜巨(3600万円) 最多勝
24試合16勝5敗0ホールド0セーブ 16QS  防御率2.64
160回 135安打17本塁打139奪三振45四死球 WHIP1.12

 今季はチームの大黒柱としてフル回転。開幕してからは交流戦初戦、リーグ再開初戦など節目の試合を任されてきた。先発陣にケガ人が続出した中で、1年間ほぼローテを守り抜いた点でも貢献度は高い。自身初の2桁勝利を達成し、最多勝のタイトルも獲得。1億円の大台とはいかないまでも、倍増以上、8000万〜9000万円をうかがえるのではないか。

○岩嵜翔(6200万円)最優秀中継ぎ投手
72試合6勝3敗40ホールド2セーブ 防御率1.99
72回1/3 55安打8本塁打66奪三振18四死球 WHIP0.98

 サファテとともに勝利の方程式に君臨したセットアッパー。昨季途中にこの立ち位置を確立すると、今季は開幕からフル回転。チーム最多の72試合に投げ、6勝40ホールドをマーク。最優秀中継ぎ投手のタイトルを獲得した。防御率1点台、WHIPが1を切る0.98と安定した投球を見せた。1億円の大台に乗るかどうか。

○千賀滉大(6500万円)最高勝率
22試合13勝4敗0ホールド0セーブ 17QS 防御率2.64
143回 107安打15本塁打151奪三振48四死球 WHIP1.07

 今春のWBCで侍ジャパン唯一の大会ベストナインに選出。シーズンでは背中の張りなどで2度の離脱があったものの、13勝をマーク。4敗と負け数が少なかったこともチームに大きく貢献した要素で、自身初タイトルとなる最高勝率のタイトルを獲得した。2年連続の2桁勝利。こちらも大台に届くかどうか。

森唯斗(8700万円)
64試合2勝3敗33ホールド1セーブ 防御率3.92
64回1/3 61安打7本塁打60奪三振13四死球 WHIP1.13

 今季も中継ぎ陣の一角を担い、64試合に登板。勝利の方程式にも組み込まれて自己最多の33ホールドを挙げた。2014年のプロ入りから中継ぎで4年連続50試合登板を達成し、タフネスぶりを見せている。今季の推定年俸は8700万円で、1億円プレーヤーへの仲間入りは間違いないだろう。

今宮、中村晃は2億、柳田は3億、内川は4億の大台に届くか

○今宮健太(1億4500万円)ベストナイン、GG賞
141試合526打数139安打14本塁打64打点15盗塁 打率.264
42四死球52犠打3犠飛 出塁率.317 得点圏打率.293 OPS.739

 今季はキャリアで最高の1年になった。持ち前の守備力は今季も健在で、度々の好プレーで投手を、チームを救った。それに加えて今季は課題だった打撃面でも成長した姿を見せ、2年連続2桁本塁打となる14本塁打、64打点、打率.264、15盗塁はいずれも自己最高。役割である犠打も52個決め、充実の1年となったはずだ。5年連続5度目のゴールデングラブ賞に輝き、3年ぶり2度目のベストナインも獲得。2億円到達は固く、そこからどこまでアップするだろうか。

○中村晃(1億5000万円)
143試合511打数138安打6本塁打42打点3盗塁 打率.270
70四死球14犠打5犠飛 出塁率.355 得点圏打率.264 OPS.705

 様々な打順に置かれ、役割が変わる中での1年となった。打率.270はレギュラー定着後ワーストの成績ながら、守備面や勝負強い一打、そして.350を記録した出塁率などチームへの貢献度は高く、替えのきかない選手であった。

○柳田悠岐(2億6500万円)最高出塁率、ベストナイン、GG賞
130試合448打数139安打31本塁打99打点14盗塁 打率.310
96四死球0犠打7犠飛 出塁率.426 得点圏打率.379 OPS1.016

 いまやソフトバンクの“顔”である。今季はシーズン中盤まで3冠王も狙えるほどの打撃成績を残していたが、一時調子を落としたことや終盤に脇腹の肉離れで離脱したこともあり、打撃主要3部門のタイトルには手が届かなかった。それでも.310、31本塁打、99打点は十分な成績。12球団で唯一OPSが1を超えており、最高出塁率のタイトルを獲得。ベストナイン、ゴールデングラブにも輝いた。昨季はわずかながらダウンとなっていただけに、今季は大幅アップ間違いなし。3億5000万から4億を狙っていいだろう。

○内川聖一(3億5000万)
73試合266打数79安打12本塁打50打点0盗塁 打率.297
32四死球0犠打2犠飛 出塁率.370 得点圏打率.289 OPS.851

 変動制の複数年契約が今季で満了となる主砲。今季は左手親指の骨折での長期離脱もあって、73試合の出場にとどまった。だが、クラマックスシリーズでは4戦連発、日本シリーズでも第6戦の9回に起死回生の同点本塁打を放ち、シーズンでの借りを返すかのような活躍を見せた。これまでの貢献、活躍を見ても、4億程度まではアップするのではなかろうか。

 今季は最高年俸5億円のサファテを筆頭にバンデンハーク、和田毅、松田宣浩、松坂大輔、摂津正が4億円。さらに五十嵐亮太も3億5000万円と、実に9人が3億円超えだった。また日本人選手で1億円プレーヤーは12選手と12球団最多。松坂は退団となったが、助っ人を含めると来季は再び3億円超が9選手、さらに2億円超は12選手、1億円超は17選手となる可能性もある。2010年以降、6度のリーグ制覇を成し遂げているホークスは契約更改も桁違いだ。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)