東海道線パンタグラフ破損、線路上に通勤客らの列

田中恭太
【動画】東海道線パンタグラフ破損、線路上に通勤客らの列=田中恭太撮影
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 12日午前8時ごろ、JR東海道線枇杷島―名古屋間で、上り快速列車の運転士が異音を感知した。点検したところ、近くに停車した下りの列車のパンタグラフと、枇杷島駅(愛知県清須市)付近の架線設備に破損が見つかった。点検と復旧作業のため、東海道線は豊橋―岐阜間の上下線で運転を見合わせた。

 JR東海は、運転再開について、異音感知から約6時間後の午後2時ごろを見込んでいる。JR東海は名鉄への振り替え輸送を実施したが、朝のラッシュ時で多くの通勤、通学客に影響が出た。名鉄の一部の駅も混雑した。

 JR東海によると、異音を感知したのは午前7時33分岐阜発、同8時2分名古屋着予定の上り快速列車。走行中に運転士が気づき、停車した。

 パンタグラフが破損したのは午前6時4分豊橋発、午前8時26分岐阜着予定の下り普通列車。約540人の乗客がいたという。枇杷島―名古屋間では他にも数本の列車が停止したという。

 同県西春日井広域事務組合消防本部によると、停車した列車の中で気分が悪くなった女性(18)が、名古屋市内の病院に緊急搬送された。

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 朝のラッシュ時、名古屋圏の交通の大動脈をトラブルが直撃した。JR東海道線の長時間の運転見合わせによって、通勤、通学の人たちは大きな影響を受けた。線路上には、列車から降り、歩いて駅に向かう通勤客らの列ができていた。

 12日午前8時の異音感知から、運転見合わせは5時間以上続いた。見合わせの区間も豊橋―岐阜間と、名古屋を挟んで約100キロに及んだ。JR東海は、運転士が感知した異音とパンタグラフなどの破損に関連があるかどうかを含め、破損の経緯や原因などについて詳しく調べている。

 12日午前10時過ぎ、枇杷島駅から名古屋駅に約400メートルほど向かった線路上には列車が停止していた。車両の端から乗客が階段で線路に降り、JR東海の社員らは「大変申しわけありません。ご協力ありがとうございます」と呼びかけながら、乗客のスーツケースを持つなどして枇杷島駅まで誘導した。

 駅付近には、パンタグラフが破損した列車が停車し、車両の上で作業員3人が修復作業をしていた。駅前には、JR東海が手配したバスに乗り込むための長蛇の列ができていた。

 大垣駅から乗車した岐阜県神戸町の大学3年の男子学生(21)によると、枇杷島駅に向かう途中で車内灯が消えた。パンタグラフが破損した列車とは別の車両だったが、「急停止します」というアナウンスの後に、ガンという衝撃とともに列車が止まったという。

 車内には「枇杷島駅まで移動してもらいます」とのアナウンスがあり、車内に1時間以上とどまった後に、電車を降りて駅まで線路を歩いたという。学生は「授業は午前中だけなので、間に合わないから帰ります」と話していた。田中恭太

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