今、アプリ プロモーションを成功させるために本当に必要なこととは ~ Google 担当者インタビュー

2017年11月30日

スマートフォン ユーザーにとって、今やなくてはならないものとなったアプリ。一方でユーザーがスマートフォンにインストールしているアプリは平均 36 というデータ*もあり、アプリ事業者にとって、ユーザーにアプリをインストールしてもらい、かつ使い続けてもらうための競争は激化しています。そんな中、勝てるアプリプロモーションに必要なこととは何なのでしょうか。グーグル モバイルアプリソリューション アジア太平洋地域 日本統括部長 有木剛にアプリ プロモーションの課題と施策について聞きました。

拡大するアプリ市場。スマホの「可処分時間の取り合い」が起きている

- 現在のアプリ市場の動向についてどう捉えていますか?

2017 年 5 月に開催された Google I/O では、Google Play が 190 カ国以上で利用可能となり、過去 12 カ月間で 820 億ダウンロードを達成したと発表されました。月間 100 万ダウンロード以上を獲得しているアプリの数も前年比 35% も伸びています。

アプリ市場が拡大していく中で、インストール数を増やすだけでなく、使い続けてもらうための競争も激しくなっています。特に競争が激しいのはゲームですが、その他のアプリ、例えばニュースなどのメディア系、ショッピング系、最近ではフィンテック系などでも競争は厳しくなっています。国や地域を飛び越えての競争まで起きています。そういった状況を踏まえた上でアプリ開発に取り組み、マーケティングを展開していく必要があると感じています。

- 競争が厳しさを増している背景にはどのようなことが考えられますか?

多くの人がアプリを使うシーンを考えてみましょう。電車に乗っている時、ランチを食べている時など、「ちょっとした時間」にさっとスマートフォンを取り出して、アプリを使っているでしょう。その「ちょっとした時間」、つまり「スマートフォンの可処分時間」を、いかに自分たちが開発したアプリのために使ってもらうか。「可処分時間の取り合い」が起きています。

たとえば、通勤時間にスマホを取り出して「何をしようか」となった時、多くの人はゲームをしたり、ニュースを読んだりするでしょう。そう考えると、ゲーム系、メディア系、ショッピング系などカテゴリが異なるアプリでも、「可処分時間を取り合う」という視点では競合になります。つまり、「競合の対象が広くなっている」ことが、アプリの競争を激しくしているのです。

アプリ プロモーションを成功させるために 可処分時間

アプリ プロモーションならではの課題とは

- 可処分時間の奪い合いという市場の中で、アプリ プロモーションをどう展開すべきなのでしょうか?

今のアプリ プロモーションには次のような課題があると感じています。

まずは「ユーザーの可処分時間をどう獲得するか」ということ。時間を奪い合うという視点からは、インストールさせるだけではなく、どう継続的に「使ってもらうのか」が大切になっています。継続的にアプリを使用してくれる「質のよいユーザーを獲得すること」が大切です。実際はインストールはしてくれるものの、その後の「継続率」がガクッと落ちてしまう傾向が多くのアプリに見られることです。

「質の高いユーザー」とは?KPI の設定が勝敗を決める

- そういった課題を解決するためには、何をすべきなのでしょうか?

プロモーションを成功させるための KPI を設定することです。そのためにはまずアプリ内アクションのデータを取得して分析することが重要です。そうすれば、質の高いユーザーの獲得につながるアクションを見つけて、KPI として設定することができるはずです。

- 適切な KPI についての考え方や設定の方法について、悩んでいる企業も多いと思います。

KPI の設定において大切な視点は 3 つあります。まずは、アプリをインストールしたユーザーがコンバージョンに至るまでのステップを精査し、仮説を立てるということ。インストールした後のユーザーがどんなアクションや体験を経てコンバージョンに至るかのファネルを組み立てるということです。

もうひとつはコンバージョンするユーザーが「取りやすいアクション」を見つけるようにします。コンバージョンするユーザーに共通するアプリ内アクションが特定できれば、それが質の高いユーザーをセグメントするためのトリガーになります。

そして見落としがちなのが、複数の時間軸を持つことです。例えば継続率を評価する場合、インストール後 1 週間以内、2 週間、1 カ月というように複数の基準で継続率を確認することが必要です。例えば、あるセグメントのユーザーは 7 日時点で継続率が低いもののその後も横ばいで、一方、7 日時点で高かったユーザーの継続率が 7 日以降に急落するということもあるからです。

アプリプロモーションを成功させるために アプリ継続率推移

これらの視点を持ちながら、コンバージョンというゴールに繋がるアプリ内の行動を分析し、仮説を立てて検証し、PDCA を回す。それによってそのアプリの「勝ちパターン」を見つけることが、今、アプリ プロモーションに求められていることと言えるでしょう。

機械学習で「量」と「質」を両立するアプリ プロモーション

- アプリ特有の勝ちパターンを見つけ出した後、それをプロモーションに活かすにはどうしたらいいのでしょうか?

インストールの「量」と「質」を改善することが大切です。継続率が低いのであれば「継続率を上げるための質的改善を図る」、一方、継続率が低いことを前提とするなら「それ以上の量をとる」ということ。その両方の課題を解決できるプラットフォームがユニバーサル アプリ キャンペーン(UAC)です。

UAC を利用することで、検索連動型広告、Google ディスプレイ ネットワーク、YouTube 動画広告、Google Play 内の広告枠など Google の広告プロダクトを横断的に活用できます。また、UAC の大きな特長のひとつが機械学習です。ユーザー属性や広告掲載面、地域など様々なシグナルを分析し、自動的にインストール数を最大化します。

さらに、進化型 UAC では質的改善も実現できます。分析ツールと連動することで、UAC で取得できるデータだけでなく、アプリ内アクションもシグナルとして機械学習の対象とするので、特定のアクションをとるユーザーに近いユーザーを獲得するよう自動最適化します。つまり「勝ちパターン」をそのままプロモーションに活かすことができるというわけです。

アプリ プロモーションを成功させるために UAC のメカニズム

また、機械学習の活用で海外展開がしやすくなりました。例えば、ゲームアプリをアメリカに向けてプロモーションするケースを考えたとき、通常、どういったターゲティングがアメリカで効果的なのかなどを検討しなくてはなりません。ところが UAC を活用すれば、機械学習でアプリをインストールしてくれそうな人を探して配信できるので、プロモーションの際に市場の動きや嗜好を考えたり調べたりする負担が大きく軽減されます。より簡単かつ効率的にアプリを海外展開できるのです。

PDCA を「どんどん回す」ことがアプリ プロモーション成功の鍵

ユニバーサル アプリ キャンペーンのパートナーシップ サービス

- アプリ プロモーションに成功している企業に共通項はありますか?

PDCA を早く、数多く回していることです。アプリはウェブ以上に変化のスピードが早いので PDCA が遅いとそのスピードに追いつかないのです。例えば、動画の勝ちパターンが明確でない場合、100 万円で動画 1 本作るよりも、30 万円で 3 つのパターンを組み合わせて動画の訴求ポイントを変えたり、動画の尺を変えてテストした方が良いでしょう。

「アプリ プロモーションで成功するセオリーは?」と問われれば、「仮説を立てて、行動を可視化して検証して、PDCA を早く回すこと」になります。PDCA をどんどん回すことに尽きます。

一方、うまくいかない企業に多いのは、目標の CPI(インストール単価)や予算を市場感より低く設定しすぎることです。目標獲得単価を低く抑えすぎると広告が出なかったり、予算が低すぎると機械学習に必要なデータが溜まらない可能性がでてきます。ようするに「せっかくやったのに、何も分からずに終わってしまう」かもしれない。それが一番、もったいないですね。

Google のテクノロジーがアプリ プロモーションの成功をサポート

- アプリマーケティングの今後の展開についてのお考えを聞かせてください。

ここまでお話してきたことは、アプリ プロモーション成功のために、アプリ事業者やマーケターが必ず取り組んでいかなくてはならないことだと考えています。ポイントは、データを分析できる環境を整えて、そのアプリ独自の勝ちパターンを見つけていくこと。勝ちパターンを見出せれば、その勝ちパターンからアプリ自体を改善するヒントを見つけられるようにもなり、良いスパイラルができあがるでしょう。そのためにはツールの導入はもちろん、データサイエンティストのような人材も必要になります。

ROAS(広告費用対効果)を目標設定することで、費用対効果を自動的に最大化する機能も UAC にリリースされる予定です。さらに人工知能、機械学習の機能強化を継続的に行い、アプリ プロモーションの効率化を実現します。Google は今後もアプリ プロモーションの効果最大化と自動化に積極的に取り組んでいきます。

 

この記事のまとめ

  • 可処分時間の獲得はアプリ プロモーションにおいて、重要なファクターのひとつ。
  • アプリビジネスに寄与するプロモーションを成功させるためには、獲得するユーザーの「量」「質」双方を上げていく必要がある。
  • アプリ内アクションのデータを分析し、「勝ちパターン」を見つけてプロモーションの KPI とすることが重要。

 

出典
*TNS/GOOGLE SMARTPHONE APPS RESEARCH JAPAN

 

有木剛 Takeshi Ariki
有木 剛 Takeshi Ariki
グーグル モバイルアプリソリューション アジア太平洋地域 日本統括部長

エンジニア、オンラインメディアの編集長職を経てグーグルに入社。アプリプロモーションのコンサルテーションを行うチームを統括。セミナーやメディアで、アプリビジネス拡大のためのプロモーションの重要性やその手法を広めている。

 

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