デジタル時代の実店舗集客を成功に導くには ~ Google と考えるウェブを活用した店舗集客戦略と最新事例 ~

2017年10月31日

デジタル(オンライン)とリアル(オフライン)を連携させる O2O(Online to Offline)は、実店舗への集客施策として注目されています。今回は、Google が 2017 年 7 月 14 日、O2O をテーマに掲げて、小売や飲食業界向けに開催したセミナー「Google と考えるウェブを活用した店舗集客戦略と最新事例」の内容をお伝えします。

「納豆」の関連ワードは 2,500 以上!多様化するニーズに応えられるのがデジタル

「Google は、O2O を今後の 3 年から 5 年における最も重視すべき分野と捉え、投資をしています」セミナーの冒頭、グーグル合同会社 広告営業本部 新規顧客開発部 統括本部長 武藤友木子は、こう挨拶しました。続けて「まだ動き出して間もない O2O は、チャレンジの段階。だからこそ、早いタイミングでトライし、知見を重ねていくことが重要です」と述べ、来場者に「本日のセミナーでそのヒントを得てください」と呼びかけました。

続いて登壇したグーグル合同会社 広告営業本部 新規顧客開発部 部長の林雄貴は「デジタルの急速な普及による消費者行動の変化とは」と題したセッションで、デジタルが店舗集客に役立つ重要なツールであることを強調しました。

林は「消費者の需要、情報のニーズは多様化しています。例えば、Google で『納豆』と一緒に検索されるワードは、一週間に 2,528 種類にも達します」と指摘。消費者がこれだけの多種多様な情報を求めているのに対し、「チラシやテレビ CM では"ユーザーニーズに応じた情報の出し分け"ができません。しかし、デジタルなら出し分けできるのです。そこから新しい集客施策が生まれます」と林は主張しました。

Google と考える O2O セミナーレポート

テクノロジーの進化で実現した新たな O2O の事例とは

続いて、グーグル合同会社 広告営業本部 新規顧客開発部 O2O 担当の猪田哲史が、「Google と実現するデジタルを活用した売上拡大施策の最新動向」と題し、デジタルを活用した具体的な集客施策について解説しました。

猪田がまず示したのはファッションアイテムを手がける AOKI の事例です。AOKI は「成人式を迎える親子」をターゲットに絞って YouTube 動画広告を展開。その結果、来店のための施策コストは従来の最大 1/17 に抑制できたうえ、成人式関連アイテムの売り上げは前年度比で 10% 以上増やすことに成功しました。さらに、検索連動型広告では Google の「来店コンバージョン」を活用し、広告を見て店舗に足を運んだ人の数を計測することで、広告の集客効果を可視化することができました。

メーカーと流通小売のコラボレーションの事例では、味の素が「香味ペースト」を使ったレシピ動画を YouTube 動画広告で展開した事例を取り上げました(メーカーと流通の新たな販促の形: 味の素社の事例より)。流通小売ごとに異なるレシピ動画を公開しながらそれぞれの店頭でも専用の棚でレシピ動画を流してアピールしました。例えば、ライフコーポレーションでは、香味ペーストの売り上げが前年度比で 587%、PB 商品であるライフ スターセレクト ベーコンが 122% アップという結果に結びつきました。

Google と考える O2O セミナー動画活用事例

猪田は、「O2O はここまで進んでいるのです。今紹介したように、すでに多くの企業が、消費者の変化に応じて販促施策をデジタルに移行し、O2O のチャレンジを始めています」とまとめ、続けて「Google の強みは明確な費用対効果とターゲティングの技術。ターゲットごとに適した情報を届け、コスト効率も良くすることができます。Google はみなさんと一緒に考え、解決策を提案します」と呼びかけて、講演を終えました。

西友が実践する効果検証と"失敗"の活かし方

イベントの後半は、合同会社 西友 ドットコム 事業本部ディマンド・クリエーション マーケティングダイレクター 池田純一氏を招き、「O2O 施策の事例紹介と効果の共有」をテーマに、パネル ディスカッションを開きました。西友では以前から「デジタルに取り組まないと時代に置いていかれる」という危機感はあったものの、漠然とネットで広告を打つレベルにとどまっていました。ところが、3 年程前に「O2O は、自分たちでも実践できるのではないか」と、具体的な施策を動かすようになったそうです。

Google と考える O2O セミナー西友様事例

多くの企業では、デジタルに向けた事業を始めようとすると、社内での説明や稟議に苦労するといいます。猪田は「デジタルの一歩を踏み出すことができた決め手は何だったか」と問いかけました。池田氏の答えは「アナログのチラシとデジタルの広告の違いを理解すること」でした。

紙に印刷されるチラシは、新聞と一緒に各家庭に 1 枚ずつ配られます。「お父さんが 1 枚しかないチラシを見ていると、お母さん、お嬢さんは見られません。しかし、デジタルなら、全員が見たいときに見られます。そうやって、デジタルで何ができるか、チラシと何が違うかという基本的な違いを経営層に理解してもらい、最初の一歩を踏み出しました」

しかしすべてのデジタルの取り組みが成功したわけではありません。池田氏は「重要なのは失敗を隠さないこと」と言います。「デジタル施策の結果は、たとえ失敗に終わったとしても、明確にわかります。例えば、ある広告が 20 代の反応は良かったが、50 代には受けなかったということもあります。また夏に成功した施策を秋に繰り返しても失敗することがあります。それを隠さないで次に生かせば、すべてアセット(資産)になります」

池田氏は、効果検証がしやすいような工夫も行っていると披露しました。西友は全国に約 340 店舗を有していますが、一つの施策を実施するのは 20 から 50 店舗に抑えているそうです。規模やエリアなど、似たような条件の店舗を選択して実施することで、分析しやすいようにしているわけです。

「実店舗は、広告だけで売り上げが変わるわけではありません。いい広告施策を打ったとしても、天気が悪ければ客足は鈍くなります。条件をなるべく揃えることで、分析しやすくなります」

デジタル広告に対するバイヤーの関心も向上し、施策実施に手応え

これまでの実績から、池田氏は「社内での評価も変わってきた」という手応えを感じているそうです。顕著に感じるのは、商品を買い付けするバイヤーの声です。

かつては自分が買い付けた商品がチラシに掲載されるかどうかが、バイヤーにとってはその後の成否に影響を及ぼすとても大きなイベントでしたが、デジタル広告についてはあまり気にしていなかったとのこと。ところが最近では「なぜ自分の商品をデジタル広告で扱ってくれないのか」という声が上がるようになりました。池田氏は「バイヤーがデジタル広告を認めてくれたということ。ありがたい話です」と実感しています。

今では、取り組みにデジタルの施策を加えると、消費者が盛り上がるという認識が社内に浸透し、取引先との商談にもデジタル的な視点が入るのも当たり前になってきているそうです。

Google と考える O2O セミナー西友 池田様

最後に池田氏は「実店舗の運営では、やはり広告を見て来店して買っていただくことが大切。ですが、それを実現するのは大変なことです。デジタルによって、広告を見て来店する消費者の動きが見える化できるようになってきました。忘れてはいけないのは、実店舗を運営するオフライン リテーラーにとって、今すぐデジタルを中心に据える必要はないということ。チラシやテレビ CM など既存のメディアも活用しつつ、それを補うものとしてデジタルがあると考えています」と、デジタルだけではなく、全体的な視野を持つ重要性を述べ、パネル ディスカッションを締めくくりました。

 

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