チラシからオンラインへ - ローソンストア 100 の事例から学ぶ

2017年5月12日

折込広告 (チラシ) は、2015 年の市場規模が 4,600 億円と言われています。新聞の部数減とともに年々減少していますが、未だ小売業界では主な販促媒体として利用されています。一方、生活者のメディア接触はオンライン比率が増加しており、チラシだけではメッセージが届かない生活者も出てきています。従来のチラシの強み・特徴は活かしつつ、人々のメディア接触に合わせたデジタル広告の活用を検討していく際の論点は何でしょうか。

折込広告(チラシ)の市場規模は 4,600 億円*1とされ、特に小売業界では主要な販促媒体の 1 つとなっています。しかし、生活者のメディア接触におけるオンライン比率が増加している昨今、チラシだけでは届けたいメッセージが届かない可能性もあります。従来のチラシの強み ・ 特徴を活かしつつ、人々のメディア接触に合わせたデジタル広告の活用を検討するためにはどうすればよいのか、以下の論点から見てみました。

  1. チラシの特徴・強みをどこまでデジタルで代替できるのか?
  2. デジタル広告だからこそできることは?
  3. チラシと比べ、デジタル広告の広告効果はどの程度か?

東名阪を中心に全国約 800 店舗を有する小型小売店舗、「ローソンストア 100」の事例を通じて、それぞれの論点を見ていきましょう。ローソンストア 100 は、固定客、特にシニア層・主婦の利用が多いためチラシは大切な広告手法です。加えて、課題としていた 40 歳代以下の客層の取込み、商圏エリアの拡大のために、デジタル広告を実施し、そのコスト効率の比較をしました。

1. チラシの特徴・強みをどこまでデジタルで代替できるのか?全店舗で実施する 4 日間の特売(セール)期間に合わせ、店舗周辺半径 1.5~2.5km で広告を展開

チラシ媒体の特徴の 1 つは、届けたい日付とエリアを設定できることですが、同様のアプローチはデジタル広告でも可能です。全店舗で 4 日間の特売セールを実施する際に、Google マイビジネスを活用した店舗情報管理を活用し(図 1) 、全国各店舗の周辺半径 1.5~2.5 km 圏にディスプレイ広告を配信しました。

図 1 : Googleマイビジネスによる店舗情報管理

Googleマイビジネスによる店舗情報管理

チラシの配布エリア 350 m に比べ、ディスプレイ広告では格段に配信エリアが広がり(図 2) 、従来のチラシの約 3.2 倍となる 900 万人までユニークリーチ*2 を拡大することができました。

図 2 : 東名阪における広告配信エリア

東名阪における広告配信エリア

通常のチラシでは日替わりセール商品を目玉として来店を促します。同様に、ディスプレイ広告でも日替わりセール商品告知を目的としたバナーを作成し、朝 9 時に集中的に出稿しました。

2. デジタル広告だからこそできることは?ユーザーの嗜好に合わせたクリエイティブを配信、興味関心を喚起する

人により求める商材は異なります。従来のチラシにおけるメッセージは、一覧性という強みを持つものの内容は画一的でしたが、デジタル広告であれば年代、性別、嗜好に合わせてセグメント化したメッセージを届けることができます。

ローソン 100 では、100 円均一という特徴が価値を持つ節約志向のセグメントに絞った広告配信(アフィニティ カテゴリ)や、性別・年齢別にクリック率の高いバナー広告を配信しました。結果として表示回数の高かった上位商品を見てみると、例えば、男性 25~54 歳には麺類(パスタソース)が好まれているのに対し、女性 35~64 歳にはしょうゆやつゆ(鍋つゆ)、パン等家族向け商品が好まれていたことがわかりました。(図 3)

図 3 : 性別 ・年齢別、表示回数の多かった上位商品

性別 ・年齢別、表示回数の多かった上位商品

3. チラシと比べ、デジタル広告の広告効果はどの程度か?投資対効果を可視化する

アンケート調査の結果*3 も踏まえ、ディスプレイ広告が来店数の純増に数十万人単位で寄与したと試算しています。さらに、チラシの来店誘引単価が 40.8 円であるのに対しオンライン広告は 2.5 円となり、コスト効率が 16 倍良いことも確認できました。

図 4 : 媒体別来店単価

媒体別来店単価

また、媒体別広告認知者の特売期間中と普段の 1 回当たりの購入金額(顧客単価)の差を算出したところ、オンライン広告のみ認知者は、チラシのみ認知者に比べ +53% も伸び率が高いことも判明しました(図 5)。全店売上合計金額のうち 43% が広告認知者からの売上であり、さらにそのうち 66% はオンライン広告のみの認知者でした(図6)。

図 5 : 顧客単価への貢献分:チラシとオンライン広告の比較

顧客単価への貢献分:チラシとオンライン広告の比較

図 6 : 売上への貢献分(チラシ、オンライン広告認知者を 100% とした場合)

売上への貢献分(チラシ、オンライン広告認知者を 100% とした場合

なお、チラシ認知が 40 代女性の間で高かったのに対し、オンライン広告認知は 30 代男性が多く、今回の施策が新規顧客の呼び込みに寄与したことが見て取れます。

デジタル広告のチラシと比較した場合の可能性

ローソン 100 がチラシを中心としたプロモーションからデジタル広告へのシフトを全国規模で実施した事例について、いくつかの論点を通じて検証してみました。

オンライン広告による商圏および、ターゲット顧客の拡大

チラシでも地域に限定した広告配信が可能ですが、配信エリアを広げたオンライン広告を導入することで、従来の顧客基盤からさらにリーチ層を拡大することができました。

ユーザーの嗜好に合わせたメッセージのカスタマイズ

オンライン広告を活用することで、画一的なメッセージではなく個々人に合わせたクリエイティブを配信し、来店効果や顧客単価を高める施策が可能です。

高い広告投資対効果の実現

今回の調査では、店舗集客数、来店単価や売上への貢献度合いなど、広告効果を媒体別に可視化して測定を実施し、その結果オンライン広告のすぐれた費用対効果が明確になりました。

デジタル広告の戦略的な活用により、チラシでは実現が困難だった、生活者一人ひとりの意図を捉えてニーズを満たすメッセージをより広範に、かつ効率的に届けることが可能となりました。

出典
*1 2015 年「日本の広告費」電通
*2 Unique Reach Report
*3 調査会社の調査パネル内で広告接触、非接触者を特定。チラシ配布エリア・オンライン広告配布エリアに居住する調査パネルの対象者にオンラインアンケートを実施

※この記事は Think with Google で 2017 年 2 月に公開された記事の転載です。

[ メールマガジン購読 ]
最新のマーケティング情報をメールマガジンでお届けします。
→今すぐ購読する