業界別デジタル マーケティングのトレンド 【中途採用編】

2017年2月17日

近年「売り手市場」と言われる状況が続く中、企業が中途採用で求める人材を獲得することが難しくなっています。「人材が不足している」と感じている企業が全体の 75% を占め、中途採用の選考基準を甘くしたという企業も増えている* 今、必要とする人材にアプローチするための新たな手段が求められているのではないでしょうか。

新卒採用のデジタル活用に引き続き、中途採用の新しい動きについて 人材業界担当である藤澤 潤に話を聞きました。

*リクルートワークス研究所 中途採用実態調査(2015 年度実績)

デジタル活用で転職検討者に広くアプローチする

- 企業の中途採用で課題となっているのはどんなことでしょうか。

中途採用の場合、採用対象者が「転職を検討しているとき」のみが採用のタイミングになります。そのため、新卒採用と違って求める人材が「いつどこにいるのか」がわかりにくいことが課題のひとつです。

この課題に対応するために、中途採用市場では業種などで細分化された求人媒体や紹介サービス、転職エージェントなどが発達してきました。しかしその反面、利用者も同じく細分化されてしまい、企業が転職検討者に対して広くアプローチすることが難しい状況となっています。結果として、よりよい求職者に出会う機会は膨大に喪失されているはずです。「採用すべき人材がいたが、出会えなかった」という採用機会喪失は認識できないため、長年放置されてきた根源課題だと思います。

- 本当に求める人材に出会う機会を得るのが難しいということですね。

そうですね。求人サービスの枠を超えて、すべての転職検討者を囲い込んでいるプラットフォームで採用情報の提供ができるようになれば、この課題の解決に近づけるのではないでしょうか。その「採用情報の統合プラットフォーム」として注目されているのがGoogle Display Network ( GDN ) や YouTube です。今までは主に広告宣伝に利用されてきた広告プラットフォームですが、労働人口のほぼ全員を囲い込んでいること、またデータテクノロジーの応用で転職検討行動をしているユーザーに集中して情報提供ができるということから採用情報の提供の場としても大いに活用が可能ではと考えています。たとえば企業の業種や求める職種に近いカテゴリに興味・関心が高いユーザー層にリーチできるアフィニティ カテゴリや、転職検討者が多くアクセスしているサイトのユーザー層に近いユーザーにリーチできるカスタム アフィニティ機能などは、転職検討をしている可能性の高いユーザーに対して広範囲に配信できる機能なので、最初のステップとして転職の顕在層・潜在層に広くアプローチするのには有効です。

YouTube 動画広告で変わる "仕事との出会い" の機会

- その場合、どういったアプローチ手法が効果的なのでしょうか。

デジタル マーケティングのトレンド(中途採用編) 機器別インターネット利用時間の推移

新卒採用と同様、20~30 代の採用ではやはり動画での情報提供が有効と考えます。スマートフォンの普及率は、約 50% だった 2012 年から、2015 年には 72% まで伸びています*1。また、インターネットの利用時間はモバイルが PC を大きく上回っています(上図)。今やスマートフォンで情報を届けることで、リーチできる層は圧倒的に広がりました。それによって企業の業種や職種を問わず、人材採用へのデジタル活用がさらに有効になったと考えています。

モバイル ユーザーの 2 人に 1 人が週に 1 回以上、4 人に 1 人が毎日視聴しているのがオンライン動画*2 です。そして YouTube 利用者はオンライン動画閲覧者の 9 割にものぼります*3。動画で伝えることができる情報量は 1 分あたりウェブページ 3,600 ページ分に相当する*4 と言われており、短時間で直感的に情報が伝わる動画を人材採用に活用する取り組みは、すでに新卒採用分野で多くの実績が出ています。企業がどんな会社でどんな人材を求めているかを伝えるファースト ステップには YouTube 動画広告が最適とご説明している理由はここにあります。

*1 総務省 平成 28 年版 情報通信白書
*2 博報堂
*3 ビデオリサーチ J-READ推計、2015 年 10 月 オンラインサービス:デスクトップ/モバイル合計
*4 フォレスター・リサーチ

- YouTube 動画広告を活用すれば、企業が求める人材を採用することができるのでしょうか。

デジタル マーケティングのトレンド(中途採用編) 人材業界担当 藤澤 潤

YouTube 動画広告だけで確実に求める人材が採用できるというわけではありません。人材採用において、YouTube 動画広告は対象者との出会いの場です。中途採用で言うなら、いかに多くの転職検討者に企業が求める人材イメージを認知してもらえるかが目的になります。 YouTube で認知を獲得した新たな候補者をスムーズに採用へ導くためには転職検討者に広くアプローチした上で、採用の可能性があるターゲットに絞り込んでコミュニケーションしていくことをお勧めしています。

- ターゲットを絞り込むというのは、具体的にどのような方法があるのでしょうか。

YouTube 動画広告の配信により、採用候補者を興味度の高い見込み候補者だけにフィルタリングすることができます。YouTube 動画広告は最初の 5 秒を過ぎると残りを見ずにスキップすることもできるので、興味を持たなかったユーザーは動画を最後まで見ずにスキップしてしまいます。逆に最後まで見たユーザーは、企業に興味を持って動画を視聴したユーザー、すなわち見込み候補者ということになります。そこで GDN などを活用し、見込み候補者に限定して広告を掲出する(リマーケティング広告)ことで、応募獲得の効率を上げることが可能です。先にお話ししたような、転職検討者全体に広くアプローチして、その後見込み候補者に絞り込んでアプローチしていくといった流れにあたる、代表的な方法のひとつです。YouTube 動画広告の配信データ活用が、獲得を目的に実施する GDN や検索連動型広告の効果を押し上げる大きな力になることは間違いありません。

また、中途採用の場合、転職検討者はどんな企業でどんな仕事がしたい・できるのかや、自分自身にどんなスキルがあるのかが明確になっていることがほとんどです。そのため企業が求める人材像をしっかり伝えることができれば、転職者側で応募する・しないの判断がきちんとできるため、企業と人材のミスマッチも少なく、母集団の質の向上に伴う選考の効率化にもつながると考えています。

人材採用分野でも増えるデジタルの活用

- 今後、中途採用市場におけるデジタルの活用はどのように変化していくでしょうか。

はじめにもお伝えしたとおり、中途採用は転職者のタイミングを捉えていくことが重要です。そのためには広く情報を伝えてユーザーと接点を持った後、そのユーザーの行動に沿うアプローチをすることが効果的です。今後は転職者が求めるタイミングで求める情報を発信できるよう、マーケティング オートメーションの活用が広がっていくのではないでしょうか。既に GDN を活用した中途採用施策もある一定の効果は出ていますが、それらをさらに効率化することが求められると思います。

新卒採用では動画広告の活用が急速に進んでおり、多くの実績も出ています。今はまだ中途採用に関する私たちの実績はそれほど多くはありませんが、ご相談は増えており、これから中途採用に向けた最適な動画表現や配信方法、またそこから獲得につなげるための広告手法など、新卒採用の実績も活かしてご提案をさせていただきます。効果的な中途採用施策をご検討のご担当者様は、ぜひご相談ください。私たち専門スタッフが貴社に最適なプランをご提案させていただきます。

 

この記事のまとめ

  • いつどこにいるかわかりにくい転職希望者にアプローチするためには、広範にリーチできるデジタル広告プラット フォームの活用が有用。
  • 短時間に多くの情報をスマートフォンで伝えられる動画広告は効率のいいアプローチ。
  • 広範にリーチした後、広告プラット フォームの機能を活かして、採用の可能性のあるユーザーに絞り込んで訴求することも可能。

 

本記事の担当者

藤澤 潤 Jun Fujijsawa
藤澤 潤 Jun Fujijsawa
グーグル合同会社 人材業界担当

人のキャリア形成に関心を持ち、Google 初の人材業界担当者に。企業の人材採用活動のサポートを担当しながら、日本全国で採用に関するセミナーを実施し、来場者からの高い評価を得ている。書道師範の実力を持つ一面も。

 

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