検索データから見るインバウンド旅行トレンド

2017年4月7日

2011 年から年率平均約 30% で増加する訪日外国人。2016 年度は前期比 22% 増の約 2,200 万人となりました。近年はリピーターも増え、特に東アジア諸国からの旅行者が多くを占めています。2020 年のオリンピックまでさらなる増加傾向が見込まれていますが、昨年は訪日旅行者による爆買いは一段落し、消費の落ち込みも指摘されました。訪日外国人は日本に何を求め、何を楽しみ、その情報をどのように収集しているのでしょうか。Google の検索データから見えてくるトレンドをご紹介します。

日本を目的地とした全世界の旅行関連検索は年率 26%*1で増加しています。今回は、その検索データを基に、インバウンド旅行者のトレンドについて以下のトピックを見ていきます。

  1. 大都市だけでなく東京近郊や地方都市へ
  2. 旅行の検索や予約はモバイルから
  3. 訪日旅行者の Micro-Moments - コト消費

大都市から東京近郊や地方観光都市へ

2016 年の地名別検索量を、英語、中国語(繁体字)、韓国語で調べてみたところ、各言語の検索では若干傾向が異なることがわかりました。中国語、韓国語では東京を抜いて大阪が最も検索量が多い地名となっています。リピーター率が高い台湾・香港や韓国からの旅行者は、日本への入り口としてより近い関西国際空港を利用するケースも多いと考えられます。

言語別に見てみると、英語の検索では広島、銀座、埼玉、横浜などがランクインしているのに対し、中国語や韓国語ではこれらの地名は上位 20 に入っていません。そのかわり、中国語では名古屋が、韓国語では札幌などの地方都市がランクインし、さらに清水寺や大阪城など観光スポットそのものが検索されていることもわかります。特に韓国はリピーター率が非常に高く、複数回日本に訪れる中で、より特定の地域に特化した旅行者が出てきているようです。なお中国語と韓国語では、トップ 10 にはランクインしなかったものの霧島や高松、登別などが成長率 200% を超えた地名としてあがったのも特筆に値します。

2016 年地名検索量ランキング Top 10 対前年比成長率

2016 年地名検索量ランキング Top 10 対前年比成長率

日本を訪れる旅行者が増えるにしたがい、国内の移動手段に関する検索も増えています。訪日観光客上位 20 か国からの検索を対象に、交通機関に関連する検索を見てみると、英語では JR Pass や新幹線等、日本全国を移動する交通チケットや交通手段の検索が伸びています。一方中国語では、JR東日本や大阪周遊券など地域に特化した移動手段や商品名の検索が増加し、さらに大阪や関西、東京等の大都市のみならず、箱根や富士箱根、高山北陸など観光地の周遊券も検索されています。

旅行の検索や予約はモバイルから

現在、全世界の旅行関連検索の平均約 40% 強がモバイルから行われており、アジア太平洋地域では、モバイル比率の平均値が約 55% にのぼっています。モバイルからの検索はここ数年特に増えており、これは旅行の計画や予約の段階から旅行中のサービス至るまで、あらゆる検索において見られる傾向です。

一例として、過去 4 か月に 3 回旅行したウィリアムさんのデジタル タッチポイントの追跡調査を見てみましょう。彼は、過去 4 か月間に 1 日平均約 60 回、合計 7,000 回のタッチポイントを持っており、検索した情報は、旅行全般から、目的とする旅行地の安全情報、見るべきもの、フライトや宿泊関連の情報、一番安い時期、オンライン旅行会社ブランド、クルーズやフェリーなどの旅行パッケージまで多岐にわたっています。

モバイルでの情報収集が広まるに従い、オンラインの旅行予約もまたモバイル経由で行われるようになってきました。Euromonitor の調査では、 2016 年のオンライン旅行市場の取引額に占めるモバイル比率は 25% を超えると推測されており、2020 年にはさらにその傾向が高まる見込みです。特にアジアではモバイルの割合が高く、例えば 2016 年の中国のモバイル比率は 53% に上ります。アジア諸国の旅行者が多い訪日旅行者に対しては、モバイルファーストの情報提供が極めて重要です。

訪日旅行者の Micro-Moments - コト消費

モバイルでの情報収集が主流になるにつれ、日本滞在中のアクティビティや食事など、いわゆる 「コト消費」に関する検索も増えてきています。日本国内における “Things to do in(日本の地名)” という検索は 2015 年から 2016 年にかけて 37% 増えており、特に “Things to do in Roppongi”、“Things to do in Odaiba”、“Things to do in Akihabara” など繁華街を特定した検索が顕著に伸びています。日本に到着後、目指す場所を訪れたときやその前日に、行うべき 「コト」を検索している旅行者の姿が見えてきます。

外国人旅行者 日本滞在中の “Things to Do in 地名” 検索の成長率 (2015 年~2016 年)

外国人旅行者 日本滞在中の「Things to Do in 地名」 検索の成長率 (2015 年~2016 年)

訪日目的のトップであり、訪日客の 7 割*2が期待している 「日本食」関連の検索も目立ちます。
検索語句トップ 10 を見ると、ラーメン、寿司、天ぷら、しゃぶしゃぶ、焼肉など代表的な日本食が検索されている一方、枝豆や餅、納豆、あんぱん、ちくわといった個別の食品も検索されており、日本食がすでに広く浸透し、関心が高まっていることがわかります。

食に関連する検索語句ランキング 上位 10 キーワード

食に関連する検索語句ランキング 上位 10 キーワード

食事の検索語句にも、モバイルならではの特徴が浮かび上がっています。旅行者が食事場所を探していると思われる、Near me(ここから近い)検索が増えており、例えば、Sushi Near me(近くの寿司)、Sushi places near me(近くの寿司屋)、All you can eat Sushi near me(近くの食べ放題の寿司)については、モバイルからの検索が PC の約 3 倍*3となっており、昨年度より 151% も増えています。

「今すぐお寿司を食べたい」といった、訪日旅行客の Micro-Moments(マイクロモーメント)をきちんと捉えた企業や事業サービスはまだあまりないのが実情です。特定繁華街でのアクティビティを検索するクエリー「Things to do in xxxx(xxx は繁華街名)」に広告が表示される割合は 10% 前後と、東京(Things to do in Tokyo)の 59% に比べて大幅に少ない数字です。Near me 検索に広告が表示される割合も非常に限定的で、例えば Sushi near me の検索量に対してわずか 6%*3 です。

しかし、確実に需要が見込めるこれらのニーズに応えることで、ビジネス機会を最大化できる可能性があるということも、いくつかの事例からわかっています。例えば京都で舞妓体験を提供する舞香は、翌日のアクティビティについてその前日にモバイル検索をする旅行者のマイクロモーメントを広告で捉えることでビジネス機会を増やすことに成功しました。

この舞香の事例はほんの一例です。ビジネス機会を最大化するためには、今後さらに増える訪日外国人旅行者のマイクロモーメントを確かに捉え、より細かなインサイトと検索ニーズを見極めつつ、確実に機会を活かしましょう。

出典
*1 グーグル社内データ。世界における、日本を目的地とした検索数(全言語、日本を除く)
*2 訪日外国人消費動向調査(観光庁)
*3 Google 社内データ。Sushi near me 関連キーワードで検索料が多い上位 5 つの検索ワードのモバイルにおける検索量の前年同期間 (1~10 月) 比較

※この記事は Think with Google で 2017 年 1 月に公開された記事の転載です。

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