「ARROWS ケータイ F-05G」を格安SIMで使用してみた!

文●正田拓也

2015年07月09日 12時00分

「ARROWS ケータイ F-05G」

格安SIMはスマートフォンのためだけのものと思ってはいないだろうか。実はそんなことはなくフィーチャーフォン(いわゆるガラケー)でも有効だ。

音声通話対応の格安SIMも一般的になった今、短いところでは6ヵ月の最低契約期間しかなく、しかもスマートフォンで使っても十分なパケット通信容量が付属しており、フィーチャーフォンでもうまく使えばたいへん便利に活用できそうだ。

以前からガラケーに格安SIMを入れて通話やSMSに活用している人はいたと思うが、その場合、接続先設定、つまりAPNなどを自由に設定することができず、インターネットへの接続などは不可能だった。

ところが6月にドコモからAndroidをOSに使ったフィーチャーフォンが発売され、APN設定などができるようになっているのだ。

そこで早速、AndroidをOSとしたフィーチャーフォン「ARROWS ケータイ F-05G」(以下、F-05G)を入手し、格安SIMと組み合わせてみた。

Androidガラケーを格安SIMで使う!

充電はmicroUSBとなった。充電ケーブルがひとつで済むのでこれだけでもAndroidフィーチャーフォンにしたくなる

SIMはもっとも小さいサイズのnanoSIM

AndroidフィーチャーフォンはドコモではF-05Gのほかに「AQUOS ケータイ SH-06G」がある。Androidの搭載はスマートフォンのような操作を実現するためではなく、単に携帯電話に使える新しい世代のOSがなくなったため、AndroidをOSとして搭載したという。

メニュー画面。iモードのiすらない

そのため、Androidではあるが、Googleアカウントの利用やストアアプリの利用は不可能となっている。

そして通信はLTEではなく3Gのみ。もちろんWi-Fi(無線LAN)機能もないので、3G通信以外でウェブサイトを見たりすることはできない。そして、残念なことは格安SIMではspモードに対応していないので、iモードメールとiメニューのようなサービスは一切使えない。

できることは、ウェブブラウズを含む一部のネット機能のみ。今回、Androidフィーチャーフォンの目玉機能のひとつ、LINEアプリをプリインストールされているが、これも格安SIMで使える。

ウェブブラウザはAPN設定の変更で使える

格安SIMでF-05Gを使う方法はまず、F-05GのSIMサイズであるnanoSIMで格安SIMをゲットすることからはじまる。

F-05GはFOMA(3G)の機種なので、3G機種で通信ができることを明確に表明している格安SIMを選ぶことも重要だ。そこで、今回は3G機種用のAPNを別途用意している「OCN モバイル ONE」と組み合わせて試してみた。

通常の音声通話とSMSはSIMを携帯電話に挿して電源を入れるだけで使用可能になる。ただし、データ通信でインターネットに接続するための設定は必要だ。

APNの設定は[メニュー]→[設定]→[通信・機内モード]→[モバイルネットワーク設定]→[アクセスポイント名]で、デフォルトではspモードしか設定されていないが、サブメニューから「新しいAPN」を選んで作成し、選択すると利用可能になる。

格安SIMを使うため、APNの設定はここから

アクセスポイントの設定

OCN モバイル ONEのAPNを入力したところ

OCN モバイル ONEでは、APN、ユーザー名、パスワードの設定をすることで通信を開始できた。

メニューから地球マークの[Web]を選ぶとウェブブラウザーが起動する。携帯電話の画面でのウェブブラウズは少し苦しいが、各ウェブサイトの閲覧が可能になる。

アクセスポイントは複数設定でき、簡単に切り替えられる

ウェブブラウザーでascii.jpのトップページを表示。通常のAndroidのブラウザーのようにPC向けページに切り替える機能はない

ブラウザーはタブでページを切替可能

(次ページへ続く、「LINEには非常に有効な格安SIM」)

LINEには非常に有効な格安SIM

携帯電話の小さい画面のウェブブラウズだけではあまり活用方法はないかもしれないが、ひとまず格安SIMのデータ通信がフィーチャーフォンでも利用できることはわかった。

そこで、次にAndroidフィーチャーフォンの目玉機能でもある、LINEを使ってみたい。LINEは[メニュー]→[ツール]→[LINE]で起動するが、メニューキーの後で数字の9を2回押しても起動する。

LINEのアプリはプリインストールされる

おなじみのLINEの登録画面。中央にカーソルが見えるが、これを上下左右のキーで動かして操作する

ログインした後のLINEの画面

通話機能付の格安SIMであれば、SMS付きなので、登録時の認証もこの端末だけで完了する。キャリアの年齢確認機能が使えないというハンデはあるが、LINEではチャット機能だけでなく、画像、動画、無料通話も問題なくできた。

ふるふるで登録できる

チャット画面。スタンプも送信可能

動画や無料通話も可能だった

本来のドコモと契約したSIMであれば、動画転送や無料通話は高額なパケットパックに入るか通信料を気にしながら使わなければならないが、格安SIMであれば最初からまとまった量のデータ通信料がセットになっているほか、超過しても低速通信でそのまま使えるため、料金の心配がない。しかもチャット程度では低速通信でもまず気にならない。

LINEの利用に使うプリインストールのLINEアプリだが、見た限りでは通常のAndroidスマートフォン向けに提供されているものと大きな違いは感じられない。

その代わり、操作は上下左右のキーで画面上のカーソルを動かしながら操作する。この操作が慣れを要する。なお、手持ちのOTGアダプターを使ってF-05GにUSBマウスを接続してみたが、操作はできなかった。

格安SIMでガラケーという選択はアリ?

10分ほどLINEでいろいろやってみた直後のデータ使用量。Androidの通常のデータ使用の画面で確認できる

最後に、格安SIMでガラケーという選択肢はアリかナシか考えてみたい。OCN モバイル ONEで1日あたり110MBの高速通信付きのプランは、ユニバーサルサービス料、消費税込で月額1730円。

キャリアメールは使えず、無料通話もついていないが、フィーチャーフォン向けプランよりも圧倒的に割安なデータ通信料金で、例に挙げたOCNでは最低契約期間が6ヵ月で以後はいつ解約しても違約金がないことなどを考慮すれば、気楽に使える音声通話端末として有効だ。

素直にスマートフォンを使ってしまう手もあるが、フィーチャーフォンの圧倒的な通話しやすさ、ボタン操作の確実さを考えると、LINEとウェブブラウザーが使えるAndroidフィーチャーフォンも悪くないような気がするのである。

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