豪州の粉ミルク、中国人が“代理爆買い”で物議

中国製への不信消えず、国際的な不信招く悪循環

  • 北村 豊
  • 2017年11月10日
中国人の爆買いでオーストラリアの粉ミルクの在庫が逼迫したのは初めてではない(写真:ロイター/アフロ、2015年)

 英国のタブロイド紙「デイリー・メイル(Daily Mail)」は10月19日付でオーストラリアのスーパーマーケットで“baby milk formula(育児用粉ミルク)”(以下「粉ミルク」)を爆買いする中国人に関する記事を掲載した。それは10月18日にメルボルン(Melbourne)市内のリッチモンド(Richmond)にある大手のスーパーマーケット「コールス(Coles)」で買い物をしていたハンナ・ディクソン(Hannah Dixon)(以下「ハンナ」)という婦人が、中国人による粉ミルクの爆買いを目撃し、憤りを覚えてその様子をスマホの動画で撮影したことを報じたものだった。彼女が撮影した動画はコールスのFacebookにも転載され、中国人による粉ミルクの爆買いを憂慮する同社の姿勢を表明したのだった。

4缶買っては、駆け戻り

 当該動画は10月19日にデイリー・メイルのウェブサイト“Mail Online”に掲載されたので、その概要を示すと以下の通り。

【1】10月18日にリッチモンドのコールスで買い物をしていたハンナは人々の騒がしい話声を耳にした。その声は粉ミルク売場からのもので、そこには老若男女の中国人20人余が列を作って並んでいた。何だろうと不審に思ったハンナが近寄ってみると、それは缶入りの粉ミルクを買う列で、中国人たちは店員が商品棚に並べるために大型ワゴンで運んできた粉ミルクの缶を、店員の制止を無視してワゴンから勝手に取り出し、各人が手にする店舗の買い物かごの中へ投げ入れていた。

【2】粉ミルク売場には「BABY FORMULA FOR LIMITED 4 PER CUSTOMER(粉ミルク お一人様4缶まで)」という購入制限のプレートが貼られていて1回に購入できるのは4缶までなので、中国人たちは列の順番に従い4缶を買い物かごに入れるとすぐさま走ってレジへ向かい、レジで精算を終えると外で待つ仲間に購入した粉ミルク缶を手渡し、その後すぐに粉ミルク売場へ取って返して再び列に並ぶのだった。

【3】この状況をハンナがスマホで撮影していると、1人の若い中国人男性が「何で撮影するんだ。俺は撮影を許可していないぞ」と叫びながらハンナに詰め寄った。ハンナはひるむことなく撮影を続け、彼に「粉ミルクを4缶買うこと自体は問題ないが、あんたたちがやっていることはマナーに反する不正行為で間違っているわ」と反論した。すると、列に並んでいた中国人女性が「私たちは規則通り買い物をしているだけで何も問題はないはずよ。あんたこそ私たちの許可なく撮影しないでよ」とすごんでみせた。

【4】コールスの店員たちは中国人たちに他のお客様の迷惑になるから店内を走り回らないようにと何度も注意を促したが、中国人たちは全く意に介す素振りも見せず、我が物顔で粉ミルク売場とレジ間の往復を繰り返した。ハンナは中国人たちに「あんたたちが粉ミルクを買い占めたら、粉ミルクを必要とする母親たちが買えなくなるじゃないの」と言うと、彼らは知らぬ顔の半兵衛を決め込んだ。

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