連合が「高度プロフェッショナル制」を容認へ

年間104日の休日確保などが条件に

  • 磯山 友幸
  • 2017年07月14日
「勤務間インターバル制」が導入されると、深夜残業は難しくなる

対象となるのは年収1075万円以上

 国会で棚ざらしになっていた「高度プロフェッショナル制度」が創設に向けて動き出す見通しとなった。この制度は、金融機関などで働く専門職で、年収1075万円以上の人たちに限って、労働時間の規制や残業代の支払い対象から外す仕組み。労働基準法改正案として2015年4月に閣議決定され、国会に提出されたが、民進党や共産党などが、「残業代ゼロ法案」「過労死を増やす」として強く反発。2年以上もまともに審議されない異常事態になっていた。

 ここに来て、法案成立に動き出したのは、これまで反対姿勢を貫いていた連合の方針が変わったため。連合は制度導入にあたって、年間104日以上の休日確保を企業に義務付ける条文を盛り込むことなど、法案を修正するよう要望している。連合の神津里季生会長が7月13日に安倍晋三首相と会い、申し入れた。

 連合が求める修正は、年間104日の休日確保に加えて、退勤から出社までに一定の休息を設ける「勤務間インターバル制」や2週間連続の休暇、臨時の健康診断など複数の選択肢から、それぞれの企業の経営者と労働組合が合意したうえで「健康確保措置」を選ぶようにするというもの。政府も基本的に受け入れる方針だという。

 また、労働基準法改正案に盛り込まれている「裁量労働制の対象拡大」にも条件を付けた。裁量労働制は実労働ではなく、「みなし労働時間」に基づいて賃金を支払う制度で、弁護士や公認会計士などの専門職や、研究職、クリエイティブ職などに適用が認められている。これを法人向けのソリューション型営業と呼ばれる提案営業にまで適用拡大することが改正案に盛り込まれている。連合はこれが、商品販売など一般の営業職で使われることに警戒してきたが、今回の改正案の修正で、一般の営業職は対象外であることを明確にするとしている。

 なぜ、連合は一転して「高度プロフェッショナル制度」に合意する姿勢に転じたのか。

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