マフェトン理論
持久力系スポーツのためにトレーニング理論です。カイロプラクターのマフェトン博士が提唱する方法で、トレーニング方法と食事面からなっています。

1.180公式
トレーニングの大部分の時間を目標心拍数で走ると、効果的である。目標心拍数は次式で得ます。


目標心拍数(71%HRR) = (180-年齢)


運動生理学の研究で、つぎの心拍数がトレーニングで最も効果的されています。これを、わかりやすく展開すると、マフェトンの180公式になります。

目標心拍数 = ((220-年齢)-安静時心拍数) x 運動強度(60~75%) + 安静時心拍数


2.心拍数を序々に上げていく
持久力系スポーツのトレーニングでは、トレーニング時間の大部分を目標心拍数で行います。
最初の12分~15分で徐々に目標心拍数まで上げていき、最後の12~15分は、徐々に心拍数を落としていきます。


3.インターバルトレーニング
有酸素運動の比重を時間ベースで有酸素運動85%以上、 無酸素運動15%以下を理想とする。
例:
20分Up + 20分Down + (80秒無酸素 + 2分40秒有酸素)×5のインターバルトレーニング
ただし、これは、エアロビックの基礎ができている人が対象で、エアロビックベースができていない人は、練習時間の100%を有酸素運動に割り当てるべきである。 エアロビックの基礎は、一般には3~4ヶ月かかる。


4.オーバートレーニングの目安
安静時心拍数が 普段よりも5~6以上高くなれば、オーバートレーニングである。

5.食事
炭水化物:蛋白質:脂肪を40:30:30に。
また植物油などの不飽和脂肪を積極的にとり、加熱した油やマーガリンなどの摂取は極力避ける。

6.ストレッチ
ストレッチは、アップの後、体が温まってから行うべきである。
マフェトンは、ストレッチにより可動範囲が広がり、故障が増えることを懸念している。


7.筋トレ
筋トレは不要である。



炭水化物不耐症
次の症状があるときは、炭水化物不耐症であるかもしれません。
・甘いものが好き
・食後に眠くなる
・食後1~2時間ですぐ空腹感を覚える
・疲れやすい
・下痢しやすく、腸内にガスが溜まりやすい
・気が滅入りやすく落ち込みやすい
・寝付きが悪く、目覚めも悪い
・嗜好品に依存しがち


炭水化物不耐症の原因
・新生児はラクターゼ活性が高く、牛乳を消化できるが、離乳後に活性が低下し、成人するとアジア人のほぼ100%が乳糖を消化できなくなる。

・インスリン過剰分泌の傾向をもつ人が欧米人には多く見られます。インスリンが過剰分泌すると、炭水化物を食べれば食べるほど血糖値が下がるので、脳のエネルギーが不足して眠くなったり、ますます食欲が増します。

・農耕民族のアジア人は、欧米人に比較するとインスリン分泌能が、逆に少ない傾向があります。インスリン分泌能が低い人が炭水化物を過剰に摂取すると、高血糖になり糖尿病になります。
下図は、アメリカ人と日本人のインスリン分泌能を比較したものです。日本人はアメリカ人よりも糖尿病になりやすいと考えられています。


ダイエット7


炭水化物不耐症2週間テスト
マフェトン理論の炭水化物不耐症はインスリン過剰分泌の傾向のある人に適切な食事バランスを見つけるために行うテストです。
炭水化物不耐症テストでは、炭水化物を徹底的に避けた食事を2週間つづけ、上記の症状が改善されれば、炭水化物不耐症と考えます。
その後、少しずつ炭水化物の摂取量を増やしていって、炭水化物の最適な摂取バランスを見つけます。


炭水化物不耐症2週間テストで食べていいもの

卵、チーズ類、肉類、(加工肉、ひき肉を除く)、魚、魚介類、海藻類、野菜類、豆腐、ナッツ類、野菜ジュース、オイル、酢、マヨネーズ、マスタード、海塩(岩塩は避ける)


食べてはいけないもの
穀類、餅、パン、麺類、シリアル、豆類、イモ類、かぼちゃ、コーン、果物、果物ジュース、ミルク、ヨーグルト、菓子類、甘いもの(砂糖が入っているものすべて)、酒類


炭水化物不耐症テスト食の欠点

マフェトン理論の炭水化物不耐症テストは、欧米人に多いインスリン過剰分泌の傾向のある人の適切な食事バランスを見つけるために行うテストです。
炭水化物不耐症食によく似た食事に、ドクター江部の糖質制限食があります。これは、日本人に多いインスリン分泌能が低い人や糖尿病患者のための食事バランスです。

インターネットで炭水化物不耐症の情報が氾濫していますが、乳糖不耐症、アメリカ人に多いインスリン過剰分泌、ドクター江部の糖質制限職の話が混同されているように見受けられます。
糖質制限食、炭水化物不耐症食には、次の欠点があります。


・大腸内叢が悪く、乳酸菌の繁殖が困難になり便秘する。
・脳のエネルギーが不足するので食べ物のことばかり考えるようになり集中力がなくなる。
・眠りが浅くなり、夢をよく見て夜中によく目が覚める。


インスリン分泌能の低い日本人にマフェトン理論の炭水化物不耐症のテストは不向きだと思います。

また、ついでにいうと、マフェトン理論の食事バランスはアメリカで言われるゾーンダイエット(4・3・3ダイエット)で、これは狩猟民族である欧米人に適した栄養バランスであり、農耕民族である日本人にとっても理想的であるとはいえないと思います。