空胞の原因とその対策 | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療専門医の立場から不妊治療、体外受精、腹腔鏡手術について説明します。また最新の生殖医療の話題や情報を、文献を元に提供します。銀座のレストランやハワイ情報も書いてます。

空胞が続く理由はなんでしょうか?
どの様な対策方法がありますか?

この様なご質問がありましたのでお答えします。

空胞とは採卵しても卵子が無かった場合に医師から言われることです。
実際には卵子はあって、単にとれなかった場合に空胞と言われます。そのため、空胞とは正しくない表現であり、正確には卵子はあったけれど回収出来ませんでした、と言うべきかと思います。
採血をしてホルモン値を確認して採卵をおこなっているため、空胞でしたでは矛盾しています。

空胞の理由ですが、とれにくい体質の方がいる事は事実ですが、体質だけが理由ではありません。エコーで卵胞は見えますが、卵胞内の卵子はエコーでは見えていません。そのため取り残しをする事が起きてきます。
また年齢が上がるととれにくくなる事も事実です。

取り残しの原因は卵子が卵胞壁から剥がれない場合や、卵胞液が一部残り上手く吸引出来ていないケースが理由と考えられます。

改善策としては、採卵の際に卵胞液を全て吸引する事が第一となります。これは採卵において基本的な事ですが、技術が未熟な場合や急いで採卵をしたりすると起きうることです。

トリガーの方法をスプレキュアのスプレーからhCG注射に変えることも効果的です。
両者を併用する事もお勧めです。
トリガーの時間を早める事も有効です。

それでもとれない場合には卵胞洗浄と言って、吸引した後卵胞内を培養液で洗い、再度吸引して、ということを繰り返して水圧で卵胞壁から卵子を剥がれやすくする方法もあります。絶対に取れるわけではありませんが、卵胞洗浄により取れる可能性はかなり高くなります。

色々対策をたてることで改善する事は十分可能になります。