国土交通省の民泊禁止の規約例では防げない? | 廣田信子のブログ

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こんにちは! 廣田信子です。

 

1111日に国交省から民泊に関する通知があり、

管理組合が待っていた

「民泊禁止の規約例」が示されたかと思ったら…

 

えっ、これどういうことなの?

という質問が後を絶ちません。

 

これは、国土交通省住宅局から

関係団体、都道府県担当部局に対する

 

「特区民泊の円滑な普及に向けた

マンション管理組合等への情報提供について」

という表題の通知です。

 

特区民泊(大田区、大阪府等ごく少数の自治体が条例制定)

に関して、

 

認定申請前に周辺住民に説明することが

義務づけられたので、

 

それに対処できるよう、事前に、

管理組合として認めるか、禁止するかを

規約に規定することが望ましいとされ、

 

認める場合の規約例と禁止する場合の規約例が

示されたものです。

 

標準管理規約の第12条1項の定めに、2項を追加しています。

 

……………………

<国土交通省の特区禁止する場合の規約例>

 

第○条 区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として

使用するものとし、他の用途に供してはならない。

 

 区分所有者は、その専有部分を国家戦略特別区域法

第13条第1項の特定認定を受けて行う

国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に使用してはならない。 

……………………

 

これを見た人の戸惑いは、

 

何で特区民泊だけが対象なの? 

殆どのケースが当てはまらないじゃない?

 

というものです。

 

民泊の種類については過去記事に書きましたが、

→「「儲けるだけ民泊」からマンションを守り切った先に未来が…

 

このうちの、

旅館業法簡易宿泊所と位置付けられた民泊については、

 

「住宅」ではなく、「ホテル・旅館」という位置づけなので、

そもそも住居専用のマンションでは不可なので、

それにはふれない。

 

そうすると、現段階で認められている民泊は、

特区民泊(「住宅」として扱うとされる)だけなので、

 

それについてのみ、

可とする場合の規約例と不可とする場合の規約例を

示したということなのだと思います。

 

すでに、かなり浸透している民泊は

ほぼすべてヤミ民泊なので、

 

そもそも法律で認めていないものについて

可否の規約例を示しようがないというのが、

国土交通省の考え方なのでしょう。

 

しかし、多くの管理組合が防ぎたいのは、

そのヤミ民泊なのです。

 

それは、この国土交通省の規約例では防げません。

 

で、規約例を待っていた管理組合を

混乱させているのです。

 

来年、民泊新法ができたら、

また、その法律の定義の民泊を

認めるか、認めないかを規約に定めることが望ましいとして

規約例が出るのでしょうが、

 

法律に基づいた民泊を禁止するだけでなく

法律違反の民泊も管理組合は防がなくてはなりません。

 

今回の国土交通省の通知で、

はっきりしたことは、

 

「専ら住宅として使用するものとし、

他の用途に供してはならない。」

 

という多くのマンションが定めている規定だけでは、

「民泊」実態を防げないということです。

 

しかも、国家戦略特区諮問会議は、

認める場合の規約例を示すことに難色を示したといいます。

 

つまり、禁止する場合のみ規約改正が必要で、

改正していないものは民泊を認めているという

含みを残したかったのです。

 

さすがに、国交省がそういう訳にはいかないと

ここは譲らなかったため両方が示されましたが、

 

そもそも、通知の表題が、

「特区民泊の円滑な普及に向けた…」

ですから、

どちらを向いた通知かは明らかです。

 

まだ民泊禁止の規約改正をしていない管理組合は

至急検討をしてくださいね。

 

で、どう定めたらいいのかについては、

いろいろな事例がありますが、

 

日本マンション学会の改良版標準管理規約の

規約例を紹介しておきます。

 

第2項で、民泊だけでなく、

シェアハウス、ウィークリーマンションも

いっしょに規定しています。

 

ただし、

二の「不特定者」のところは、

原本は「不特定多数」のところを変えています。

1人の場合もあることを考慮しました。

 

……………………

2 以下の用途は前項に定める住宅としての使用には

あたらないものとする。

ただし、理事会の議決を経て理事長が承認する場合は

この限りではない。

 

一.1つの専有部分を別個の契約により

多人数(○人以上)に賃貸すること(いわゆる脱法ハウス)。

なお、1つの賃貸借契約であっても

居住者間で家賃の収受を行う場合は別個の契約とみなす

 

二.専有部分を不特定者の宿泊に供すること(いわゆる民泊)

 

三.専有部分を1ケ月未満の契約により賃貸すること

(いわゆるウィークリーマンション)

……………………

 

親戚は、知人は、留学生は…と

例外として認める場合を

もれなく示すのは難しいので、

 

「理事会の決議で理事長が承認する場合は

この限りではない」

とするのは、現実的だと思います。

 

また、「営利を目的とする宿泊」「有償の宿泊」を

禁止の条件に入れている規約も見受けますが、

 

「営利目的ではない」「無償だ」として

抜け道に使われる心配がありますから、

あえて書かない方がいいと私は思います。

 

居住用マンションは、とりあえず

二.専有部分を不特定者の宿泊に供すること(いわゆる民泊)

だけでも、できるだけ早く禁止にしましょう。

 

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