続・Perfume LIVE @東京ドームのマニアックな話題をお一つどうぞ⑦ | 音楽三昧 ・・・ Perfumeとcapsuleの世界

続・Perfume LIVE @東京ドームのマニアックな話題をお一つどうぞ⑦

前回はPAシステムにおける、コンピューターの仮想空間上でスピーカーの配置と取り付け角度をシュミレーションについて触れた。



今回はこれまでの流れから一旦外れた話を書きたいと思う。



『Perfume 東京ドームLive密着SP(G-NHK)』によって、三人のマイク取替えが界隈の話題となっている。特にブログ仲間であるmassasueさんが詳細に "マイク取替え" について触れておられたので・・・・・ オレもその話題に便乗するとして・・・・・(笑)。 



今日はマイクの話を少し書きたいと思う。



"マイクロフォン" の代名詞といえば、アメリカ老舗のブランド・・・・・・ そう『SHURE』だ。特に1990年代には"ワイヤレス・マイクロフォン"市場を席捲し、そのシェアの多くを握ったメーカーである。

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*SHURE社製 『SM58 wireless』

マイク・ヘッドが球状で、ボディーは図太くずん胴。アンテナ部も太くずん胴のいかにも "アメリカン" な形状・・・・・・・ 音響に興味が無くても、一度はLive会場やTVの音楽番組で目にした方は多いと思う。

特に『SM58 wireless』は定評が高く、業界内では「ワイヤレスなのに、"ワイヤレス"と感じさせない音色、ワイヤード(ケーブル付き)にかなり近い音色」、「おおらかで "コシ" があり、濃密な空気感を表現できる」という評判だ。特に『DREAMS COME TRUE』の吉田美和氏はこの『SM58』をかなり信頼しており、Live活動時においては多く導入している。






それでPerfumeの方はというと、三人が各個人専用マイクを持ち始めたのが、おそらく "Perfume First Tour『 GAME 』(2008年)"の前後からで(ちなみに『ファン・サーヴィス[bitter](2006年のLive映像)』では、まだ三人は各個人専用マイクを使っていない) 、それはLive・DVDによって確認できる。

また使用しているマイクは、2008年から現在まで、おそらく同じタイプのものを使用している。


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* "Perfume First Tour 『 GAME 』"の横浜BLITZ公演(2008年6月1日)の模様


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* "Perfume LIVE @東京ドーム 「1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11」" 公演(2010年11月3日)の模様


画像を見れば一目瞭然だとは思うが、実は使用しているマイクはSHURE社製のものではない。





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白くペイントされていることでメーカーのロゴが消されてはいるが、円柱状のマイク・ヘッド、ワイヤレスにしては細身のボディー、"シャークフィン" と呼ばれるアンテナ部の独特の形状から音響好きならすぐにお分かりだろう。



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このマイクはドイツ老舗の音響機器メーカー "Sennheiser" 製のフラグシップ・モデル『SKM 5200』だ。


"Sennheiser" といえば、民生用のヘッドフォンが一般には有名であるが、プロ用の機器としては実はマイクロフォンにも定評があり、近年は特にワイヤレス・マイクロフォンに力を入れているメーカーである。


Sennheiser製のマイクの全体的な特色としては、「色付けの無い、正確・誠実な音色」、「正確だが色気の少ない音色」といわれることが多く、いわゆるドイツ伝統の "クラフトマン魂" を感じさせる製品だ。




『SKM 5200』で言えば、SHURE社製と比較するとボディーが細身なので、手の小さい女性はハンドリングしやすく、その割には激しいパフォーマンスにも耐える強靭な構造だそうである。

さらに "シャークフィン・アンテナ" の構造も強靭であるため、非常に耐久性が高い。またこのアンテナの性能は高く、Live中にステージ上を縦横無尽に動き回るアーティストの音声を的確に伝えてくれるという代物だ。



ちなみに『SKM 5200』は標準価格595,800円(税込)で、ほぼ受注生産である。




しかし・・・・「正確だが色気の少ない音色」という傾向のメーカーを選ぶところが、PAスタッフはPerfumeとその音楽の特徴をよく把握しているなぁー(苦笑)。




また、このマイク一つを取り上げてみても、Perfumeに携わるPAスタッフの愛情を感じる。



女性で手が小さく、Liveパフォーマンスも激しいから "持ちやすく" 、"ハンドリングしやすく"、"耐久性の高い" マイクを選択している・・・・  ということだろう。





○追記1

ファンの皆さんなら当然、ご存じだとは思うが、三人が使用している『SKM 5200』は各個人専用で、シャークフィン・アンテナ部にメンバーそれぞれのイニシャルが表記してある(あ~ちゃん:A 、のっち: N、かしゆか:K)。

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 *「エスキモー pino presents BUDOUKaaaaaaaaaaN!!!!!」の最終日(2008年11月7日)の様子


また『SKM 5200』は本体部にゲイン(感度)調整機能と、ローカットフィルターが搭載されているため、メンバー個々の声量と声質に合わせた調整がされているはずである。


したがって、『Perfume 東京ドームLive密着SP』に放送されたような "マイク取替え" が必要になってくる。





○追記2

余談だが、Perfumeと同じ事務所(アミューズ)の福山雅治氏も、自身のLiveでは『SKM 5200』を頻繁に使用している。ちなみにカラーはブラックである。