あごは、人に与える印象が強いところである。
あごが大きな男性は、豪快で意志が強そうに見えるし、あごが細い男性は貧相な印象を与える。女性でも、あごの大きい人はあねご肌で、細い人はおとなしく見えるものだ。
人相占いでも、「あごが細い人は神経質」といわれるが、その人の心理状態を見抜くには、その形以上に動きに注目するといい。
あごの動きは、その人が相手に対してどのような気持ちを抱いているかを見抜く、格好の目安になるのだ。
たとえば、あごを突き出すようなポーズは、相手に対して強気な態度でいると見ていい。「人をあごで使う」という言葉があるが、あごをしゃくるポーズは、他人が自分の思い通りに動くのが当然と思っていることのサインだ。
また、あごを突き出すと、顔が上を向き、人を見下すような視線になる。ここからも、あごをつ出す人は、相手を見下していることがわかる。いつもあごを突き出している人は、相当強烈な自己主張の持ち主といえる。
普段はそうでないのに、突然あごを前に出して話すようになると、興奮状態にあることのサインだ。
もともとあごを突き出すのは、攻撃欲求の表れであり、一見にこやかな表情をしていても、あごが前に出てきているようなら、その人は内心に怒りや屈辱感を秘めているなど、興奮状態にあると考えていい。
もっとも、日本人の場合は、怒るとあごを引く人もいる。
あごを引いて、攻撃欲求を隠そうとするのである。あごを引くと、その分顔が下に向く。視線は下から上に向け、じろっとにらむ格好になる。怒りをストレートに表せない日本人に、典型的に見られるポーズである。
ちなみに、普通の状態であごを引くのは、相手に対する恭順の表れである。直立不動の姿勢をしたとき、あごはやや引いた形になるが、これは相手に対して絶対服従を示すポーズといえる。
最近のスポーツ選手は、あごひげを生やす人が増えているが、あごにひげを生やす人は、あごをより強調しようとしているわけで、自己主張の表れといえる。
ただし、ひげの助けでも借りなければ、十分な自己主張ができないわけで、本当は個性に乏しい人といえなくもない。サッカーの中田やメジャーリーグのイチローも、本来の気弱さをひげで隠しているとも考えられるのである。
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