2014年06月09日 11時26分59秒
史上初のチューリングテスト合格スパコンが登場、コンピュータの「知性」を認定
「コンピュータが『知的』と言えるかどうか?」を判定する方法として、イギリスの数学者アラン・チューリング博士が考案した「チューリングテスト」は、コンピュータに知性を与える人工知能の研究において大きな目標となり、人工知能の研究が発展してきたと言えます。チューリング博士の没後60周年に当たる2014年にイギリスのレディング大学が開催した「Turing Test 2014」において、ついにチューリングテストに合格するスーパーコンピュータ「Eugene(ユージーン)」が現れました。
Home Page of the Loebner Prize
http://www.loebner.net/Prizef/loebner-prize.html
Turing Test success marks milestone in computing history
http://www.reading.ac.uk/news-and-events/releases/PR583836.aspx
チューリングテストは、人間とコンピュータの両者に対して、判定者が文字入力による質問を行って、得られた回答からいずれの回答者がコンピュータであるかを判定するというテストで、判定者が人間とコンピュータを明確に区別できなければそのコンピュータは「知的である(知性を持つ)」と判定されます。
チューリングテストの考案者であるチューリング博士の没後60周年にあたる2014年6月8日にレディング大学で開催された「Turing Test 2014」において、合計5台のスーパーコンピュータがテストに参加したところ、ロシア人のウラジミール・ベセロフ氏とウクライナ人のユージーン・デムチェンコ氏が開発したスーパーコンピュータ「Eugene」が、史上初めてチューリングテストに合格するという快挙を達成しました。なお、Eugeneは「ウクライナ在住の13歳のユージーン・グーツマン少年」という設定だったとのこと。
なお、ユージーン君とは以下のページで会話できます。
EG Homepage
http://www.princetonai.com/bot/
テストに参加したコンピュータは、それぞれ5分間の会話(チャット)試験を人間の判定者と行い「知性」をテストされます。会話についてはあらかじめ設定された特定のテーマはなく、判定者は自由に質問することができるというコンピュータにとっては厳しい条件が課せられました。チューリングテストでは30%以上の判定者がコンピュータと人間を判別出来ない場合にテストに合格したとされるところ、Eugeneは判定者の33%から「人間かコンピュータかを判別出来ない」と評価され、見事試験に合格したとのこと。
レディング大学副学長のケビン・ワーウィック博士は、ついにチューリングテストをパスするコンピュータが出現したことについて、「『これまでにもチューリングテストに合格したコンピュータはあった』と主張する人がいるかもしれませんが、今回行われた試験は、テーマや質問に制限を加えていない非常に厳格なものであり、Eugeneこそが史上初のチューリングテスト合格者であると高らかに宣言します」と話し、Eugeneの快挙を「コンピュータサイエンスにおける歴史的な節目である」と述べています。
・つづき
史上初のチューリングテスト合格者「Eugene」はテストに合格していないと著名な専門家たちが指摘 - GIGAZINE