2016年12月22日 12時30分00秒
レジレススーパー「Amazon Go」は世界中の小売業を完全支配するAmazon帝国設立のための第一歩
Amazonがレジでの決済不要で棚から取り出した商品をそのまま持ち帰ることができるというコンセプトストア「Amazon Go」をYouTubeムービーで発表しました。このAmazon Goは、世界中の小売業を完全に支配下に置くというAmazon帝国設立のための重要な第一歩であると指摘するムービー「Amazon Go Is About Way More Than Groceries」をNerdwriter1が公開しています。
Amazon Go Is About Way More Than Groceries - YouTube
Amazon Goは3つのプロセスから成り立っています。その1は「ムービー戦略」。
レジがなく商品をそのまま店舗外に持ち出してOKという画期的な決済方法を採るAmazon Goは、YouTubeでコンセプトムービーという形で発表されました。
Amazonが提示したのは「ストレスのもととなるレジがない」という未来のお店のビジョンです。
このムービーはまるでビヨンセのサプライズアルバムのようなものでマーケティング戦略上極めて重要です。
Amazonはムービーへのコメントや質問は一切受け付けていません。
このような「期待」を抱かせる第1のプロセスは、第2のプロセスにも関連性があります。
2013年と2014年にAmazonが取得した2つの特許がAmazon Goに関係しています。
エリア内・エリア外に持ち運ばれる商品を追跡するシステムと……
これらがAmazon Goのシステムを支えているのは明らか。
当初はAmazonの倉庫を管理するための特許だと考えられていた2つの特許。
しかし、Amazonは「retail location(小売り現場)」という記述を忍び込ませており、長期的な視点でAmazon Goを想定していたと考えられます。
Amaonz GoはまずはAmazonのお膝元のシアトルで試験店舗がオープンする予定。
この試験店舗で得られたフィードバックは、その後、世界中で活用されることになりそうです。
Amazon Goの戦略は、AmazonのクラウドサービスAWSと同様のものになる可能性があります。
ネット小売業からクラウドサービスという異業種に乗り込むチャレンジだったAWSは、いまやAmazonでもっとも高い収益を誇る巨大事業に成長しました。
もともとは、Amazonのネット小売りサービスを支えるサーバー事業がAWSの始まり。
高品質なAmazonのサービスを支えるネットインフラを、他のサービスにも貸し出すという発想です。
自らのサービスを他のサービスに転用して、巨額を生み出すことに成功したというわけです。
ダントツのクラウドサービスとなったAWSは、2位から15位までのクラウドサービスをまとめたものの10倍の規模を誇る圧倒的なサービスとなっています。
このAWSのビジネスモデルを見れば、Amazon Goの将来が簡単に予想できます。
映画マイノリティリポートのような未来のサービスを世界中に展開するというもの。
Amazon Goのシステムは当然、既存のスーパーマーケットやコンビニ業に活用できます。
そして、Amazon Goシステムを導入する店舗から吸い上げる「データ」は、Amazon帝国をさらに強固なものにする可能性があります。
Amazonはアメリカだけでも25兆ドル(約3000兆円)という市場規模を持つ小売業全体にAmazon Goサービスをライセンスし、当然ながら全世界の小売業にもアプローチをかけるはず。
全世界の小売市場を完全制覇するというAmazonの究極の目的からすれば、Amazon Goはまだまだ始まったばかりなのです。