日経平均が一時2万2000円回復、21年ぶり:識者はこうみる

日経平均が一時2万2000円回復、21年ぶり:識者はこうみる
 10月27日、東京株式市場で日経平均が一時1996年7月10日以来となる2万2000円を回復。都内で23日撮影(2017年 ロイター/Issei Kato)
[東京 27日 ロイター] - 東京株式市場では29日、後場に入り日経平均が一段高となり、1996年7月10日以来となる2万2000円を回復した。市場関係者のコメントは以下の通り。
●世界的リスクオン地合い、持たざるリスクが後押し
<大和証券 チーフ・グローバル・ストラテジスト 壁谷洋和氏>
日経平均が2万2000円を付けた。背景にあるのは、世界的なリスクオンの地合いだろう。前日の欧州中央銀行(ECB)理事会が資産買い入れを減額した一方、期間延長も決めたことで、ECBの利上げに対する市場の見通しも先伸ばしになった印象だ。低金利が継続するとの思惑でユーロも売られた。
これが世界のリスクオンムードにつながっている。米国も好決算が目立ち、きょう発表の7─9月国内総生産(GDP)も強い数字になりそうだ。来週にも米連邦準備理事会(FRB)議長の人事が出てくるとみられるが、市場が驚くような人選にはならないだろう。日本企業の決算も良好だ。目先の視界を遮るものが見当たらない。持たざるリスクへの警戒が、日本株を押し上げている。
目先は強い地合いが続きそうだ。来週は月初のため各国で重要な経済指標の発表がある。内容を見ながら市場の受け止めが揺れる場面があるかもしれないが、今のところ波乱要因は見えていない。中国PMIや米国の雇用統計、ISM指数、新車販売など、今まで強かった指標が弱含まないかには注意が必要だが、総じてポジティブに受け止めれるなら、引き続き強い相場が想定される。
●短期筋主導で上昇、需給要因も寄与
<ソシエテ・ジェネラル証券 ディレクター 杉原龍馬氏>
きょうに関して言えば、買い方が荒っぽく、海外の長期資金というよりも短期筋の売買に起因した株価上昇とみている。マクロ系ヘッジファンドのコール・オプションの買いも入っているが、海外のリアル・マネーが日本株に本格的に流入している感じではない。
日経平均で2万3000円までの上昇はあり得るとみていたが、上昇余地は狭まりつつある。こうした日本株が投資対象として魅力的なのかどうか、議論もあるだろう。米税制改革への期待などを背景に、米国株の上昇が続けば、日本株も堅調に推移するとみている。グローバルで株高が続いている。債券から株式への資金シフトの一環で日本株が上昇してきた面もある。
日本株のロングの主体は日銀と国内勢だが、国内勢の売りが手控えられている。株高のモメンタムが強い中、需給的にも上昇しやすい。一方、バリュエーションが大きく切り上がっている訳でもない。日本株の独歩高なら頭打ちになりやすいが、まだそういう雰囲気にはなっていない。北朝鮮情勢以外のリスク要因が見当たらず、慌てて売らなければならないような流れにはなりにくい。

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