マネロン・テロ資金対策で初の対日声明、早期の法整備求める=FATF

[東京 28日 ロイター] - マネーロンダリング(資金洗浄)やテロ資金対策を目的に設立された多国間枠組みであるFATF(金融活動作業部会)は27日、日本政府に対し、必要な法整備が遅れているとして早期の対応を求める声明を発表した。FATFが声明の形で日本の現状是正を促すのは初めて。
FATFは2008年10月に、日本での実態調査を踏まえた「第3次相互審査報告」を公表し、関連法制定などの勧告を行っている。しかし、日本側の対応は遅れており、勧告を受けてテロ協力者の摘発範囲を拡大した「テロ資金提供処罰法改正案」もようやく今通常国会で審議に入ったばかりだ。
声明でFATFは、日本が「多くの深刻な不備事項をこれまで改善してこなかったことを懸念している」と指摘。具体的な対応として、1)金融機関などの顧客管理の内容の充実、2)テロ行為への資金支援だけではなく、物質的支援(アジトの提供など)なども処罰の対象とする、3)国内にテロリストが居住していた場合、その資金の国内移動を防止するための措置を講じる、4)国際組織犯罪防止条約(パレルモ条約)の締結に必要な国内担保法の整備の4点において早急な改善が必要だとした。
日本の現状は、早期の法整備が求められているものの、FATFが「ハイリスク・非協力国リスト」に挙げている北朝鮮やイランなどの国々とは異なっている。財務省・金融庁では、日本が早急に法整備を進めれば追加措置が講じられることはなく、今回の声明による金融機関への影響はないと説明している。

和田崇彦

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