最初の昇任試験「主任級職選考A」に受かれば、給料月額は一気に約6万円アップ。最低でも月に約20万円の基本給料が保証される。

「以降、課長代理までは筆記試験なしで昇任することが可能で、最高給料月額は41万5000円になります。この課長代理級以上の職員割合は、じつに約4割。民間と比較すると、こんなにいい職場はありません」(ジャーナリストの若林亜紀氏)

 下記の表のように、35歳で年収650万円に比較的、容易に到達できるわけだ。

「営業ノルマもなく、有給休暇は初年度から年20日間。ほかに夏休みなどの特別休暇が。有給は民間のおよそ倍、40日まで繰り越せるのです。さらに、病気休暇でも給与が支払われます」(同前)

 約17万人の都職員(警視庁・東京消防庁などを含む)のうち、
2014年の病気休暇取得者および休職者は、6000人を超える。

「病気休暇中は、給与は満額支払われます。病気休暇が90日を超えると休職になりますが、それでも給与の8割の金額が支払われます。デリケートな問題なので、上司も管理が甘くなりがちです。

 また、都庁職員といえば、転勤や倒産のリスクが少なく、『与信枠』が高いんです。賃貸契約でも喜ばれ、ローン審査もすぐに下りますね」(同前)

「管理職選考」に合格すれば、給料もさらにアップ。課長以上に昇任でき、退職後にバラ色の将来が待っている。

「局長級まで上りつめれば、都庁での年収は約2000万円。その後、天下りで年収は1200万円〜1800万円。民間企業に行けば、2000万円超の年収がもらえるケースがあります。いくつもの企業・団体を『渡る』例も珍しくありません」(東京維新の会・柳ヶ瀬裕文都議)

 天下りのおもな受け皿が、都が大株主となっている「監理団体」と呼ばれる企業・団体だ。

「東京水道サービス」などのインフラ系から、「東京国際フォーラム」などのイベント系まで33団体があり、都が金銭的・人的に支援するだけでなく、指導監督もおこなっている。

「これぞ、都政の無駄の本丸。都庁が任意の団体と契約を結ぶ『特命随意契約』と呼ばれる契約のスタイルで、2015年にはこれらの団体に、決算ベースで1100億円を支払っています。天下りしても仕事はほぼなく、業務は下請けに丸投げ。天下りのポスト確保のために存在しているような団体なのです」(同前)

 かつて、国家公務員の天下り規制に関わった高橋洋一嘉悦大教授が解説する。

「正直、10年前の国家公務員を見ているようで、露骨すぎます。『再就職監視委員会』のようなチェック機構を設け、都によるあっせんがないか精査すべき。国家公務員の天下りは、再就職先の一覧を毎年、公表することで、相当減りました。同じような対策を都もとるべきです」

東京都職員の年収モデル】

●25歳(係員、扶養家族なし)
 年収358万1000円

●35歳(課長代理、配偶者・小学生1人)
 年収644万8000円

●45歳(課長、配偶者・中学生2人)
 年収1045万円

●50歳(部長、配偶者・中学生1人・高校生1人)
 年収1274万4000円

※東京都人事委員会HPを参考に作成、2016年4月1日適用の行政職給料表(一)適用者をモデルとする

(週刊FLASH 2016年10月25日号)