先日、ヴィレッジヴァンガードで販売された『ドルヲタ手帳』。これは「男性アイドルグループファンのための手帳」、平たく言えば、ジャニーズのタレントのファン、つまりジャニヲタのための手帳だ。

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テレビの出演や雑誌掲載情報、さらにコンサートのチケット発売日やその遠征のために必要な情報まで、すべてを網羅できるよう作られており、関ジャニ∞でジャニーズにハマった私も即購入。

その愛ある仕事ぶりは感動モノ!

そこで、製作者の「飼い猫」さんに取材を敢行。普段、ヴィジュアル系バンドを追いかけるバンギャルの飼い猫さんがドルヲタ手帳を作ったきっかけとは? 製作にまつわる話、そしてバンギャルから見たジャニヲタについて聞いてみた。

はじまりはスマホ要らずの『バンギャル手帳』

――最初は『バンギャル手帳』から始まったそうですね。作ったきっかけは何だったんですか?

飼い猫「香川にライブを見に行ったとき、スマホが急に充電されなくなったんです。帰りの飛行機の時間とライブ会場、友達や会社の連絡先がすべてスマホの中に入っていました。

iPodを持っていたので、完全に壊れる前、ギリで写メをとっていたので何とか助かりましたが、その日は一人で香川に行っていたし、全部スマホで管理するのは怖いと思ったんです。でも市販の手帳だと管理しにくいので、自分用にフォーマットを作りました」

――手帳はいつから作り始めたんですか?

飼い猫「2014年からです。そのときは販売目的ではなく、自分と友達用で何十冊かでした。

2015年版は作り忘れたのですが、2016年版としてもう一度作って。作業を始めたとき、内容を整理してバンギャル手帳のTwitterアカウントでツイートしました。そしたら3000弱ぐらいRTされて、意外と需要があるんだなと思いました」

――それが商品化につながるわけですか?

飼い猫「ええ。2016年版と2017年版合わせて約3000部作りました」

『ドルヲタ手帳』はTwitterを活用して情報収集

――そして今年、ドルヲタ手帳が販売されたわけですが、きっかけは何ですか。

飼い猫「バンギャル手帳を買った人の中に、『バンギャルじゃないけど買いました』という人がいて、そのほとんどがジャニヲタさんだったんです。

その方々からTwitter経由で『ジャニヲタ版を作ってほしい』という要望があり、じゃあ作ろうかとノリで言ってしまったんですが、私はヴィジュアル系にしか興味のない人生を送ってきたので、ジャニーズのことが分からない。

それで、バンギャル手帳のアカウントにリプやDMを送ってくれていたジャニヲタさんたちに、チケットの取り方やファンクラブ年会費のことなど情報を細かく聞き、必要な項目を確認してもらいました。

そしてたたき台ができた後、今度はTwitterにドルヲタ手帳アカウントを立ち上げ、製作過程を見てもらいながら、必要なところはアンケートを取って進めました」

――直接ジャニヲタの人に話を聞くことはなかったんですか?

飼い猫「周りにそういう人が全然いなかったので、Twitterとバンギャルの友達を介して、その友達や同僚のジャニヲタさんに取材しました」

――なるほど。『ドルヲタ手帳』は「現場(コンサートや舞台)が多いグループ向け」のAタイプ、「メディア出演が多いグループ向け」のBタイプの2種類がありますね。

飼い猫「最初は2種類作るつもりはありませんでした。ジャニーズのグループはチケットが取れないこともあると聞いていたので、ライブに行く回数は少ないと思っていたんです。

ところが、デビュー前のジュニアのファンの人たちは、彼らがバックにつくコンサートも行くし、本人たちのライブも行く、舞台も昼夜見に行く…と会場に足を運ぶことが多いことが分かりました。それで2種類にしたんです」

――売れ行きは好調だったようですね。

飼い猫「1月はじまりと4月はじまりのものを作ったんですが、先日、完売しました」

情報収集してみて感じた「ジャニヲタ像」と「時代の変化」

――反響はいかがですか?

飼い猫「Aタイプ、Bタイプと分けても、やっぱりこのページが足りない、こっちのページは少なくていいという話も聞きます。

特にアドレス帳のページを増やしてほしいという要望が多くて。チケットを取ったり、グッズを代わりに買ったりということでつながっている友達の数が予想していたよりはるかに多いようです」

――今回、『ドルヲタ手帳』を作るうえで、ジャニヲタという存在と初めて向き合うことになったわけですが、いかがでしたか?

飼い猫「実は今回、ジャニヲタの人のアカウントを結構見せてもらいました。キャリアの長いグループのファンを中心に、だいたいの年代別で分けて、どの範囲までコレクター的なことをしているのかと思って調べたんです。それによってページ数やチェックリストの比率を考えようと思ったんです。

雑誌は担当が載っているものなら全部買うのか、選りすぐって買うのかとか、担当以外のメンバーのものも買うのかとか。

あとはテレビ番組に出演するときには、録画するのは自分の担当だけなのか、他のメンバーのも見るのかとか。それをExcelで集計しました」

――うわー、血のにじむような努力ですね。

飼い猫「構成をどうしたらいいか、本当にわからなかったので。会社の行き帰りの電車の中で、ありとあらゆるワードで検索してました(笑)」

――そうやって、おおまかなジャニヲタ像を把握していったわけですね。他に調べてわかったことはありましたか?

飼い猫「ジャニヲタとバンギャルを兼任している人が結構いました。そういえば、『去年はバンギャル手帳を買い、今年はドルヲタ手帳を買った』という、明らかにバンギャルカウントの人もいたんです。

以前だと、ヴィジュアル系が好きな人はほかのジャンルに一切興味がないのが当たり前でした。しかも本命のバンドのみおっかけるのが美徳で、あれもこれも好き、と言うと、ミーハーと思われていました。

今はヴィジュアル系もジャニーズも、とプロフィールに書いている人も多く、時代が変わったと思いましたね。

――兼任している人がいたことも、ドルヲタ手帳誕生につながったんでしょうか?

飼い猫「最初の段階でバンギャルだけどジャニーズも好きという人が興味を持ってくれたので、そこからドルヲタ手帳が生まれたというのはありますね」

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――飼い猫さん自身がこれから掘り下げてみたいジャンルはありますか?

飼い猫「手帳を通して、いろんなジャンルのヲタの人の話を聞くと、行ったら行ったで楽しいんだろうなとは思います。でも、自分の本命のライブもあるので、これ以上趣味を増やすのは無理ですね」

――今後、また別のヲタ手帳を作る予定はありますか?

飼い猫「要望はもらっていますが、情報収集に時間がかかりそうなので、増やさないつもりです。不備があって失礼になってもいけないので。実はドルヲタ手帳についても、『私、バンギャルですけど、ドルヲタ手帳作って大丈夫ですか?』という気持ちなんです」

――そうですか。でもこの手帳があってありがたいと思っている人は多いんじゃないですかね。

飼い猫「だといいんですが…」

――ドルヲタ手帳は来年も発売予定ですか。

飼い猫「はい。そろそろ来年用の準備を始めようと思っていて、より細かい要望をすくい上げるために、今回買った人にアンケートを取ろうと思っています」

――もう作り始めるんですか!?

飼い猫「手帳のおかげで秋と年度末はライブにいけないという事態が発生してるんです。だから、そんなに切羽詰まらないようにするため、早く準備を始めようと思って。
ジャニヲタさんでドルヲタ手帳を買った人にも、使い勝手の感想をぜひ教えてほしいですね」


手帳のデザインだけでなく、紙選び、印刷の発注など、製作に関するすべてを手掛ける飼い猫さん。その真摯な仕事ぶりはTwitterからも伝わってくる。

完全家内制手工業で、利益も顧みず、使いやすさが追及された『ドルヲタ手帳』。購入した人には、「ジャニヲタさんに仲間意識を感じてました」という飼い猫さんの愛情もぜひ感じつつ、感想や意見を送ってみよう。