400mリレー左太もも裏故障…レース前に寒すぎる招集場で40分待機、ボルト「これはクレイジーだ」

 陸上の世界選手権(ロンドン)は12日(日本時間13日)、男子400メートルリレー決勝が行われ、今大会を最後に現役引退を表明しているウサイン・ボルトがジャマイカのアンカーを務めたが、レース中に左太もも裏を痛め、まさかの途中棄権。エースの悲劇で5連覇を絶たれたジャマイカのチームメートはレース前、寒い招集所で選手を40分間待機させた主催者側に激怒している。地元紙「ガーディアン」が報じた。

 誰も想像できない結末だった。ジャマイカの最終走者となったボルトはバトンを受けると、力強いストライドでコーナーを回り、直線に差し掛かった瞬間、異変が起きた。足を引きずりながら失速。苦悶の表情を浮かべると、コースに倒れ込んだ。無念の途中棄権で、ボルトのラストランは終わった。

 王国ジャマイカの5連覇の夢は潰えた。コース上でうずくまるボルトに同僚が歩み寄った。記事によるとレース後、ボルトに栄光のバトンを渡したはずだった第3走ヨハン・ブレイクはレース後に怒りを明かしたという。

「彼らはあまりに長く僕らを招集所で待たせ続けた。ウサインは本当に冷え切っていた。実際に僕にこう言ったんだ。『ヨハン、これはクレイジーだと思うよ。40分間も待たされて、(その間に)自分たちの出番の前に2回のメダル授与式が行われているなんて』とね」

同僚もショック隠せず「ウサインには金メダルとともに引退して欲しかった」

 リレーの決勝直前、選手たちは大会の運営上、40分間も体が冷える空間で待機を余儀なくされ、ボルト自身もレース前から主催者側の段取りに疑問の声を上げていたと告白。そして、これがボルトの故障を巻き起こしたと指摘している。

「我々はウォーミングアップをし続けて、待たされ続けたんだ。ウォーミングアップと待機。そして、我々は本物のレジェンド、真実のチャンピオンがレースを走り、あんな困難に直面することになったんだ」

 第1走者のオマール・マクロードは「完全に失望している。僕は死力を尽くした。ウサインには金メダルとともに引退して欲しかったんだ。どんなメダルでも良かった。本当に心が折れた。信じられない。ショックで完全に受け止められないよ」と悲しみを吐露したという。

 そして、「これはバカげている。我々は屋外で45分間も待たされ続けた。レース前に3つのメダル授与式を行われたと思う。体を温める続けるのに必死だったんだ。これはバカげている。本当に待たされ続けたんだ」と話したといい、マクロードも憤りが収まらなかったようだ。

 レジェンドの花道を飾れなかったジャマイカチームは、やり場のない思いをぶつけていた。