東京の大動脈となるJR中央線で、「シカと衝突」と各駅の電光掲示板などに表示されたと、ツイッターなどで一時話題になった。

電車の遅延原因になったということだが、東京でもシカがどれだけいるものなのか。

青梅線で電車がシカをはね、中央線にも影響


ニホンジカ

JR東日本八王子支社の広報課にJタウンネットが聞いたところでは、東京都青梅市内のJR青梅線・軍畑(いくさばた)―沢井両駅間で2017年10月19日5時59分ごろに衝突事故は起きた。

青梅発奥多摩行き下り普通電車がシカをはね飛ばし、緊急停車した。この影響で、青梅線が一時ストップし、この電車が折り返しの東京行きだったため、中央線の快速電車にも遅延が出た。電車は、車両点検と周囲の安全確認を行ったうえで、6時9分に運転を再開した。なぜシカがいたのかなど、状況については分かっていないという。

通勤途中の乗客が多い中央線まで影響が及んだため、ツイッター上では、その遅延原因に驚きの声が上がった。

19日朝にツイッターでトレンド入りするほどだった。とはいえ、青梅市など多摩地区と見られる人からは、特に驚きはないとの声も出ている。青梅線などでは、シカなどとの衝突事故が多いためだ。

JR東日本八王子支社によると、17年度の4〜9月上半期は、シカを含めた衝突事故が管内で約70件も発生している。そのうち、シカとの事故は、約8割を占めるほど多い。

それも、管内で年々増加傾向にある。

シカは増加傾向で、年間の衝突事故は約100件にも

シカなどとの衝突事故は、2013年度は約60件だったが、15、16年度は約100件にも達した。

八王子支社ではこれまで、侵入防止のフェンスを約9キロにわたって設置したり、ライオンの尿由来の薬剤を踏切で散布したりする事故防止対策をしてきた。さらに、17年1月には、エサや水でおびき寄せる「囲いわな」によるシカやイノシシの捕獲を試行的に始めたと発表した。

山梨県甲府市内のJR中央線の線路近くで9月まで行い、今後については、その結果を見て検討することにしている。

東京都の計画課によると、奥多摩を中心にしたニホンジカの生息数は、推定で2008年は1800頭だったが、12〜15年は2500頭と増加傾向にある。要因としては、ハンターが高齢化で少なくなったのと、温暖化で雪が積もらなくなっていることがあるとみている。都では、適正な数を400頭としており、増えすぎているとして管理捕獲に乗り出している。

青梅市の農林課は10月19日、奥多摩の東側に当たる市内の御岳山(みたけさん)一帯にシカが分布していて、ドングリ不作などがあると山里に下りてくると取材に説明した。16年は不作の影響で農作物の食害などが酷く、17年も例年より被害がやや多いといい、年々出没するシカの数が増えているとしている。