2018年シーズンのJ1リーグ最終節(12月1日)は、全国各地で活況を呈した。

 もつれにもつれた「3位&16位」を巡る争いは熾烈なバトルが展開され、ともに劇的な幕切れ。全9試合14時の一斉キックオフ前には、元スペイン代表FWダビド・ビジャのヴィッセル神戸入団が“フライング発表”されるなど、話題に事欠かない一日となった。

 ビジャは昨年のルーカス・ポドルスキ(神戸)、今年のフェルナンド・トレース(鳥栖)、アンドレス・イニエスタ(神戸)と同様、移籍金ゼロ円でJリーグ参戦を果たした。つまりは前所属クラブとの契約がちょうど切れるタイミングでの移籍のため、獲得に際していわゆる違約金が一銭も発生しないケースだ。このルール制定に深く関与した選手の名を冠し、シーズンいっぱいで契約切れとなる選手を“ボスマン・プレーヤー”と呼ぶ場合もある。

 
 30代半ばとはいえ、そこはワールドクラスの大物たち。移籍金を支払うとなればそれなりの出費を覚悟しなければいけないが、それがゼロ円ですむ。つまりは強化資金を選手の報酬やボーナスのほうに思い切って奮発することができるわけで、1〜2年の短めの契約で成立する場合が少なくない。昨年には本田圭佑が“ボスマン”でACミランからメキシコへ渡ったが、1年契約で多額のサラリーを保証されていた。Jクラブ勢がベテランの大物を一本釣りで狙うなら、やはりそこは“ボスマン”ということになる。

 今回のビジャはMLS(メジャーリーグサッカー)のニューヨーク・シティFC所属で、現行契約が12月末で切れるがゆえの「移籍金ゼロ円」だった。アメリカは日本と同じ春秋制のシーズンで、ほかにも北欧や中国、韓国、中東など多くのアジア諸国がこの暦を採用している。とはいえ、このタイミングで契約満了となる大物となると、ビジャ以外にはなかなか見当たらない。MLSモントリオールの元フランス代表DFバカリ・サーニャ(36歳)、同じくMLSのLAギャラクシーの元イングランド代表DFアシュリー・コール(37歳)のふたりくらいだ。

 やはり神戸を筆頭としたJクラブの(そしてDAZNの)視線は欧州に注がれているだろう。来夏(2019年6月末)に“ボスマン”となる注目のビッグネームを見ていこう。
 
 2019年シーズンから外国籍選手の出場枠が「5」に拡大されるJリーグ。まだまだ今後の動向が気になるのが、三木谷浩史会長が「バルセロナ化」を推進する神戸だ。

 去就の行方を追っているとされるのが、チェルシーのスペイン代表MFセスク・ファブレガス(31歳)。このバルサ育ちの名手も来夏には“ボスマン”となるため、現在はミランや中国クラブが引き抜くのではと噂されており、神戸がリストアップしていても不思議はない。神戸の周辺ではそのほか、同じく“ボスマン”で元バルサ、元ブラジル代表の左SBアドリアーノ(34歳)にも強い関心を寄せているとの報道がある。

 この夏にも某Jクラブが獲得目前に迫ったと言われているのが、元オランダ代表FWのアリエン・ロッベン(34歳)。結局はバイエルン・ミュンヘンとの契約を1年延長したが、いよいよシーズン終了後の退団が現実的で、日本に針路をとってもおかしくないか。バイエルンで僚友の元フランス代表MFフランク・リベリ(35歳)も夏にフリートランスファーとなる。

 
 面白いところでは、イタリア代表FWマリオ・バロテッリ(28歳)にも日本行きの噂がある。圧倒的な存在感と破天荒なキャラクターの持ち主で、Jリーグ入りすれば特大の話題をさらいそうだが、はたして──。トッテナムのベルギー代表MFムサ・デンベレ(31歳)はイタリアだけでなく中国行きの可能性も低くなく、Jクラブ勢もチェックしておきたい重鎮だ。