アパート賃貸大手レオパレス21<8848>の大場富夫次期社長は31日、東京都中央区の東証で行った決算発表の席上、深山祐助社長が共済金の目的で入居者から集めた資金を不正に私的流用した問題で、全役員に対し報酬の10%を6月から3カ月減額する社内処分を検討していることを明らかにした。深山社長は同日付で引責辞任し、6月1日から新体制が発足する。

 同社は、鍵の交換や家具の修理などを補償するために集めた手数料からなる未設立の「入居者共済会」事業を、2001年1月から収益計上していなかった。創業者の深山社長は、積み立てられた資金のうち約48億6500万円を、不動産投資や知人の会社の運転資金として有利子で貸し付けるなど、独断で運用していた。社内調査での不正流用発覚を受け、同社は29日、01年3月期―05年3月期まで5期分の決算短信を修正。深山氏への退職慰労金については、6月に行われる株主総会での議案提出を見送る。

 大場次期社長は会見冒頭、深々と頭を下げ、株主や関係者に謝罪。「内部統制の欠如からこういう事態が発生して、ワンマン経営の実態が明るみに出た。今後は完全な内部体制固めをして、チェックをする」と語った。女優の藤原紀香さんを起用しているテレビCMは、今後も継続して放映する考えを示した。

 同日発表した06年3月期の連結決算によると、売上高は前年比2.3%減の4653億円、営業利益は同25.4%減の407億円、最終損益は165億円の赤字(前期は332億円の黒字)に転落した。3月に予定していたアパート物件の完成が4月以降にずれ込み、売上高550億円相当が今期に持ち越されたことや、国内アパート、グアムのリゾート物件などの減損損失654億円を特別損失に計上したことが響いた。

 07年3月期の連結業績予想は、売上高6245億円、営業利益766億円、最終損益が410億円の黒字と、増収増益を見込んでいる。【了】

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