犯人は誰だ! 大相撲界でまたトラブルが発生した。春日野部屋の師匠、春日野親方(49、元関脇栃乃和歌)が、門限破りなどをした幕内の栃ノ心ら弟子3人にゴルフクラブや鉄拳で暴行したもので、相撲協会は「指導に行き過ぎがあった」として春日野親方を厳重注意処分した。気になるのは、この事件が表沙汰になったのが警察への匿名電話やマスコミに送りつけられたファックスによるものだったこと。果たして誰が、なんのために事件を暴きたてたのか−−。

 問題の暴行事件は、10月14日の夜に起こった。大相撲界には、外出するときは浴衣などの着物を着る、という決まりがあるが、今年5月の技量審査場所の千秋楽の夜にも、優勝した白鵬や豪風らが短パンにTシャツ姿で夜の街に繰り出したところを週刊誌に撮られ、放駒理事長(元大関魁傑)から大目玉を喰らっている。幕内の栃ノ心(24)、幕下の栃飛龍(24)と栃矢鋪(22)の3人も、このルールを破ってジャージ姿で外出した上、門限を破るという二重の違反を犯したため、師匠の春日野親方が怒って素手や、そばにあったアイアンのゴルフクラブのグリップ部分で3人の顔や腹、背中などを殴った。
 使用したクラブは大きく折れ曲がってしまったというから、かなり激しく殴ったことは確かなようだ。ただし、入院するような大ケガはしていない。

 「栃ノ心は再三、規則を破っている。(グルジア出身で)なかなか口で言っても聞かず、ある程度、力で抑えなければいけない部分もあるが、今回は少しやり過ぎた。反省している。本人たちにも謝り、わかってもらった」
 と春日野親方は話している。
 確かにゴルフクラブで殴ったのはよくないが、明らかに非は服装規定違反や門限破りを犯した弟子たちにあり、普通ならこれで一件落着、おしまいだ。

 ところが、事件発生から2日後の16日になって、所轄の本所警察に「タカセ」と名乗る人物から、 「部屋関係者は内密に済ますつもりでいるが、栃飛龍が親方に暴行されてケガをした。すぐ病院に連れていかないと大変なことになる」「このままでは死者が出るかもしれない。第二の時津風事件だ」というタレ込みの電話があり、慌てて本所署員が駈け付けて春日野親方や力士らから事情を聴く騒ぎとなったのだ。

 その結果、グリップが折れたゴルフクラブが見つかったものの、タレ込みのあったようなケガをしている力士は見当たらない。しかも3人の力士も自分たちの過ちが原因と非を認め被害届を出す意思がなかったことから、事件性はないと判断して聴取を打ち切った。翌17日、春日野親方は相撲協会にも事件のあらましを報告している。
 しかし18日、タレ込み電話と同じような内容のファックスが、今度はマスコミ数社に届いたため事件は一気に広まり、19日の理事会で春日野親方や問題の3人の弟子らが呼びつけられて事実関係を確認する騒ぎに発展。2日前には無罪放免された春日野親方は、改めて厳重注意処分を科されてしまった。
 「ことの経緯から、タレ込み電話をしたり、ファックスを送りつけて事件に油を注いだ人物は、明らかに春日野親方を快く思っていない人物でしょう。ファックスが送信されたのは(相撲部屋の多い)JR両国駅近くのコンビニ、ということもわかっています」(担当記者)