ホリエモン スナックのすごさを語る

文●ナベコ

2017年09月21日 20時00分

飲食事業者向けのカンファレンスイベント「FOODIT(フーディット) TOKYO 2017」が9月21日、東京・六本木で開催されました。

堀江貴文氏が飲食産業の今後について語る。

FOODITは「外食の未来が生まれる場所を作ろう」というテーマでスタートし、今年で3回目。堀江貴文氏や飲食業界の有識者が集まり、飲食産業の未来について講演やトークセッションを繰り広げました。

堀江貴文氏というとIT系の実業家というイメージが強いかもしれませんが、飲食店キュレーションサービス「TERIYAKI」のプロデュースを手掛けたり、飲食業界とも関わりが深いです。堀江貴文は、飲食業が行きつく先のひとつの形は「スナック」と語りました。どういうことでしょうか?

外食には30年間イノベーションが起こっていない

開会の挨拶では、飲食店予約台帳サービス「トレタ」代表取締役である中村仁氏が、80年代半ば以降の飲食業界の歩みを「失われた30年間」とし、飲食産業にイノベーションが必要な理由を語りました。

FOODIT TOKYO実行委員長も務めるトレタ代表取締役の中村仁氏。

中村仁氏:1970年代から1980年代半ばには、ファミリーレストラン ファストフード 大きな居酒屋などが続々と登場し、今では大企業といわれる大手の外食業が生まれました。一番イノベーションが大きかった時期。この時期、日本の外食が盛業から産業に変わりました。

1970年にポスレジが登場し、これによって日本の外食産業がガラリと変わりました。それまで存在しなかったチェーンオペレーション、大箱の経営が可能になり、ポスレジ革命だったと思うんですよね。

ところが残念ながら、80年代半ば以降、飲食業界の流れを一変させるようなイノベーションは起きていません。30年間も店舗の実態が変わらないまま来てしまっていて、それだと確かに厳しくなっていきますよね。

1970年にポスレジができてから、様々な外食業態が登場した。

ワタミはワタミということで価値がディスカウントされてしまう

基調講演には堀江貴文氏が登壇。「外食産業発展のための提言」として、現在の飲食産業が抱えている問題と、今後の可能性を語りました。

堀江貴文氏と中村仁氏。

堀江貴文氏:時代は移り変わっていて、昔は駅前の路面店がいちばん儲かっていたけど、今は路面店である必要はこれっぽちもないわけですよ。「食べログ」で検索して行けばいいんだから。裏路地になったほうが家賃も安いし、路地裏であることでおいしそうにも見える。

例えば、チェーン店のワタミとかの業績が下がっているという話がありますけど、昔は情報がなかったから、まあまあちゃんと食べられてそこそこの価格の居酒屋というカテゴリーでたぶん選ばれてた。ですけど今は、検索すればいくらでもおいしい個人店とか出てくるので、ワタミにはいかない。ワタミってことでかえってディスカウントされちゃう。

テクノロジー化において消費者の行動は変わってきているけど、それに飲食が合わせきれていないだけの話だと思いますよ。

究極的は人と人とのコミュニケーション

遠出をした時に必ずスナックに立ち寄るという堀江氏。

堀江氏:飲食業は完全に二極化すると思います。飲食の究極の形ってなんだと思いますか? 僕がたどり着いた結論は「スナック」なんですよ。キングコングの西野君とか、SHOWROOM社長の前田さんとか、時代の最先端をよみながらアウトプットしている人間が共通してスナックにたどり着いています。

僕は地方に行ったときに必ずスナックに行っています。どんな地方の田舎に行ってもスナックはあるんですよ。映画『君の名は。』のワンシーンで「オシャレなカフェはないけれどスナックは2軒もある」みたいなやりとりが出てきたと思いますけど、どんな田舎でもスナックって成立しているんですよ。

飲食の究極の形ってコミュニケーションだと思うんですよ。スナックに色恋を求めていく人はいないじゃないですか。恋愛感情があってママが好きというのじゃなくて、人間として好きなんですよね。あるいは雰囲気が好きとか、常連がいるとか、仲間がいるとか。人に癒される場がスナックなんですよ。

無人スナックは成立しないです。よく、AIに仕事を奪われるという人がいますけど、最後まで残るのは人と人とのコミュニケーション。僕はドラえもんみたいな人形型ロボットには懐疑的です。なぜなら、コミュニケーションロボットとしてなら、人は余っているから、そっちのほうが安いよ、という話。

どんな田舎町に行ってもスナックが成立しているのは、コミュニケーションという本質的なところ以外の余計なところを完全にそぎ落としているから。スナックに行くとだいたい乾き物とか簡単なおつまみしか出てこないし、ラーメンを食べたかったら隣のラーメン店から出前を取ってとか、アウトソーシングしているわけなんです。

食事をつくることって、実は飲食店の本質ではない。言ってしまえば、セブン‐イレブンの冷凍食品を買ってきてレンチンするほうが平均的な飲食店よりおいしいものができますよね。

コンビニ独り勝ちになるはず

堀江氏:僕は激安業態の飲食業態には懐疑的です。なぜなら、コンビニが強いからです。実際にAmazonが「Amazon Go」という無人コンビニシステムを発表しました。まだ、一般ユーザー向けにオープンはしていませんけど。中国はすでに無人コンビニができています。

今、セブン‐イレブンの冷凍食品のレベルがめちゃくちゃ上がっているんです。コンビニのイートインスペースで、自分でレンチンして、缶ビールもってきて、そこで、無人居酒屋ができるよねっていう。そういう話を僕は2年くらい前に書いていたのですが、大炎上して、「そんなことないだろ」って言われたんですけど、今やコンビニのイートインスペースの拡大がすごいじゃないですか。

安い業態は成立しなくなります。コンビニが独り勝ちするようになると思います。ますます商品開発力が強くなって、ほとんどの商品はコンビニで売られるようになります。

飲食業には最終的に人と人のコミュニケーションが必要で、料理をつくる部分は人に任せてもいいくらい。コンビニ飲みの話をしましたが、スーパー飲みもあると思うんですよ。スーパーのお惣菜を出す居酒屋がスーパーの隣にあってもいい。それは別に無人でもいいわけですよね。

最近、デパートで儲かっているのはデパ地下だけだといいますけど、デパ地下もイートインが今すごく普及しています。

飲食業界の人はもっと遊んでいい

公演の最後に堀江貴文氏は、飲食に携わる人はもっと気を抜いてもいいのでは、と語りました。「飲食業に関わる人はもっと遊んでいろいろな人とコミュニケーションをとって、最先端の情報をどんどん取り入れていっていいんじゃないかと思います。一所懸命にがんばりすぎず、楽しみながら、飲食店やりながら儲けるってことも可能だと思っています」

※本記事は「FOODIT」講演を一部抜粋しています。

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ナベコ

寅年生まれ、肉食女子。特技は酒癖が悪いことで、のび太君同様どこでも寝られる。30歳になったので写経を体験したい。Facebookやってます!

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