PS4の容量&速度問題はSSDで解決!860 QVO換装とT5外付け運用で検証

文●飯島範久 編集●ジサトライッペイ

2019年04月08日 11時00分

PS4の内蔵ストレージ容量って足らなくない?

 PS4は発売から5年、PS4 Proもすでに2年以上経っているが、まだまだビッグタイトルが目白押しだ。ゲーマーとしては嬉しい限りだが、近頃は内蔵ストレージ容量の枯渇という問題に直面しているはず。かつて家庭用ゲーム機はパッケージ提供が主流だったが、ここ数年はダウンロードするスタイルへ変化した。また、パッケージ版で購入したとしてもアップデートがかかるため、パッケージ版は単なる利用するための「鍵」でしかなく、結局は内蔵ストレージに保存されることになる。

 PS4の内蔵ストレージは発売当初、500GB HDDモデルしかなかったし、PS4 Proでも1TB HDDモデルしかなかった。現在はそれぞれ1TB HDDモデルや2TB HDDモデルが用意され、当初よりはほんのちょびっと余裕が生まれたが、最近のゲームは容量が肥大化傾向にある。大型タイトルとなると30~40GBは当たり前。80GBオーバーのタイトルもざらだ。さらに、アップデートや追加コンテンツでどんどんゲーム容量は増えていく。

 また、内蔵ストレージの容量を逼迫させる要素としては、録画機能も挙げられる。競技性の高いタイトルでは自分のプレイを常時保存している人が多いのではなかろうか。こうなってくると500GB HDDモデルはもちろん、1TB HDDモデルでもかなり厳しくなってくる。

 しかし、幸いなことにそういう事態を見越してか、PS4とPS4 Proにはストレージを換装できる仕組みが用意されている。2.5インチのドライブで厚さが9mm以下のストレージであれば装着でき、割と簡単に換装できるのだ。換装方法は以前ASCII.jpで紹介しているので、以下の記事を参考にしてほしい。

関連記事:PS4 Proを1TB SSDに換装!「860 EVO」で劇的に高速化した話

PS4もPS4 Proもストレージの換装は簡単にできる。

外付けストレージなら換装の手間すらない

 さらに、外付けストレージを装着することで、ゲームタイトルをそちらに移動できる機能も用意されている。ダウンロード購入したPS4のタイトルはPSストアからいつでもダウンロードできる。そのため、内蔵ストレージ容量が逼迫した状態で新たなタイトルを購入しようとしたとき、古いタイトルを削除するなどしてやりくりしている人も多い。取捨選択するのに悩む時間が無駄だし、いざまた遊びたいと思ったときに再ダウンロードするとなると、かなりの時間と手間暇がかかる。

 そんなとき、外付けストレージへ逃がせば再ダウンロードせずともいつでもプレイできる環境になる。さらに、その外付けストレージを友人宅のPS4へ接続し、ゲストでログインすればそのままゲームが遊べるのだ。友人が持っていないタイトルを手軽にプレイできるので非常に便利な手段と言える。

 また、内蔵ストレージ換装と違って、USBポートの数だけ追加できるため容量に限りがない。もしかすると外付けストレージの活用こそが、PS4を快適に運用する最も効率の良い方法かもしれない。とはいえ、内蔵ストレージ換装よりもストレージ価格が高くなるので、どちらの方法で対処するかは予算に応じてというところだろう。なお、外付けストレージで運用する方法も以前記事にしているので、以下を参照してほしい。

関連記事:激遅HDDからの解放!ポータブルSSD「T5」をPS4 Proの外付けストレージに使ってみた

外付けストレージはUSBに接続し、設定メニューから拡張ストレージとして設定するだけで利用できる。

容量も重要だがロード時間の短縮も切実

 さて、内蔵ストレージの換装や外付けストレージ運用時にチョイスしたいのがSSDだ。単純な容量単価を考えるとHDDを選びたいところだが、最近はSSDの価格もこなれてきており、2.5インチの内蔵SSDなら1TBモデルでも1万5000円前後で手に入る。そして、何よりもSSDを強く推したい理由が圧倒的な読み書き速度だ。

 ゲームをプレイするときに最もネックになるのがロード時間である。最近のゲームは解像度の向上やオープンワールド化されてきているので、読み込みファイルが多くなり、そのぶんロード時間が長くなる。1秒でも早くプレイしたいゲーマーにとって、このロード待ちの時間はストレスでしかない。

 そこで今回取り上げたのが、Samsungの2.5インチSSD「860 QVO」と外付けSSD「Portable SSD T5」(以下、T5)だ。860 QVOはQLC NANDフラッシュメモリーを採用したモデルで、同社製の「Samsung 4bit MLC V-NAND」が使われている。QLC NANDは1セルあたりのビット容量が4bitでTLCの2倍の容量が実現でき、大容量モデルの低価格化につながるメモリーとして注目されている。

 性能は既存モデルの「860 EVO」と大きく違わず、シーケンシャルリードは550MB/秒、シーケンシャルライトが520MB/秒。ただし、1セルあたりの容量が増えたぶん書き換え可能容量はグッと落ちてしまうため、製品保証が5年から3年へと短縮している。とはいえ、PCと比べてPS4で使う場合はそれほど書き換え頻度が高いわけでもないので、安く大容量なモデルが手に入るこのシリーズはお買い得感が高い選択だろう。

Samsung「860 QVO」は1TB、2TB、4TBの3モデルが用意されている。1万3000円前後でGB単価最安の1TBモデルがオススメだ。

 一方、T5はUSB 3.1 Gen2に対応した名刺サイズ程度の外付けSSDだ。アルミ筐体を採用し、高級感と耐久性を兼ね備える。PS4はUSB 3.0なため、T5の性能をフルに発揮できないものの、PCのUSB 3.0ポート接続でもCrystalDiskMarkで450MB/秒程度のシーケンシャルリード・ライト性能を実現する。容量は250GB、500GB、1TB、2TBの4種類がラインアップする。

SamsungのポータブルSSD「T5」。ボディーカラーは1TBと2TBはブラック、250GBと500GBはブルーだ。GB単価的や価格を考えると、1万3000円前後の500GBモデルがお手頃。

ゲームの起動&ロード時間が爆速になった!

 それでは、実際にゲームのロード時間がどれほど改善されるのか検証してみよう。PS4 Proを使い、標準内蔵HDDと換装した860 QVO(1TBモデル)、さらにT5(500GBモデル)を外付けストレージとして運用した場合を比較する。検証したゲームは2019年3月に発売したばかりの大型タイトル4本で行なった。なお、T5の測定は860 QVOを内蔵した状態で行なっている。

フロム・ソフトウェア「SEKIRO:SHADOWS DIE TWICE」

 「DARK SOULS」シリーズの「死にゲー」の流れを汲む完全新作アクション・アドベンチャーゲーム「SEKIRO:SHADOWS DIE TWICE」。戦国時代末期の日本を舞台に、孤独な忍びの戦いを描く本作は、「鉤縄」によるワイヤーアクションと隠密行動を駆使していかに戦うかがこのゲームの醍醐味だ。

 今回はバージョン1.02を使用し、ゲームの容量は16.82GB。ゲームを起動してメイン画面が表示されるまでの起動時間と、「CONTINUE」を押してセーブデータを選択してからゲーム開始までのゲームロード時間を計測した。なお、検証はストップウォッチを使った手動計測で行なっている。

「SEKIRO:SHADOWS DIE TWICE」の起動時間とゲームロード時間で比較。

 PS4 Pro内蔵の標準HDDに比べて、860 QVOはそれぞれ7秒から8秒速くなった。T5は860 QVOとほぼ同じで、外付けSSDでもロード時間の短縮にかなり有効なことがわかった。いわゆる「死にゲー」は何度も死ぬので、そのたびにイライラは溜まっていく。その極限のストレスをロード時間の短縮で減らせるとわかれば、SSDを導入しないという手はないだろう。

カプコン「Devil May Cry 5」

 Devil May Cryシリーズ約10年ぶりとなるナンバリングタイトル「Devil May Cry 5」。時系列でいくと前作の続編だが、前作を知らなくても安心してプレイできるよう配慮され、サクサクと技が出るオートアクション機能もあるのでストレスなく戦える。派手なアクションで悪魔をザクザクと倒していくのがこのゲームの醍醐味。ストーリーもしっかり作られているのでじっくり味わおう。

 計測したバージョンは1.05で、容量はSEKIROの倍以上ともなる35.09GB。起動から「PUSH START」が表示されるまでの起動時間と、ゲームコンティニューからゲームを開始するまでのゲームロード時間を計測した。

「Devil May Cry 5」の起動時間とゲームロード時間で比較。

 結果は起動時間が860 QVOで14秒、T5で12秒速くなり、ゲームロード時間はどちらも14秒高速化。860 QVOでは起動時間とゲームロード時間を合わせると28秒の短縮になり、かなり効果が高いことがわかった。ただし、ロード中にサーバーとのやり取りを行なっているので、通信環境次第で多少変わると思われる。

バンダイナムコエンターテインメント「ONE PIECE WORLD SEEKER」

 週刊少年ジャンプに連載中の国民的マンガ「ONE PIECE」の世界を冒険できるフリーフィールドアクションアドベンチャーゲーム。プレーヤーは主人公のモンキー・D・ルフィとなり、謎の島で起こる抗争に巻き込まれ、麦わらの一味と協力しながら、島に隠された秘密に迫るオリジナルストーリーだ。

 使用したバージョンは1.01で、ゲーム容量は14.32GBと小さめだが、オープンワールドなので最初の読み込み時間は長め。このロード時間がどこまで改善できるのか期待したい。起動時間は起動してからオープニングムービーが始まるまで。ゲームロード時間はゲームが開始されるまでの時間を計測。

「ONE PIECE WORLD SEEKER」の起動時間とゲームロード時間で比較。

 860 QVOは起動時間で13秒、ゲームロード時間はなんと33秒も短縮している。期待以上の高速化だ。プレイ開始までに30秒以上も短縮されるとなると、一度SSDでプレイしたらもう戻れないぐらいの感覚である。なお、T5も同等の結果。

ユービーアイソフト「THE DIVISION2」

 前作から7ヵ月後のワシントンDCを舞台に、人類の救済と復興のために立ち上がる「ディビジョン」エージェント達の活躍を描くアクションRPG。とにかく映像が秀逸で、そのクオリティーの高さだけでも惹き込まれてしまう。やはりオープンワールドなため、最初の読み込み時間がポイントになる。

 使用したバージョンは1.03で、容量はなんと89.94GBとかなり大きめ。起動時間はメイン画面が表示されるまで、ゲームロード時間は続きを選択したあと、ゲームが開始されるまでだ。なお、ゲーム開始時に再度ロード時間が発生することがあり、今回はその時間を含めたものになっている。

「THE DIVISION2」の起動時間とゲームロード時間で比較。

 サーバーへの接続が発生するため通信環境にも左右されるが、それを差っ引いたとしても標準の内蔵HDDとSSDとの差は歴然。860 QVOと内蔵HDDの差は起動時間で23秒、ゲームロード時間で50秒。もはやSSDじゃなきゃストレスたまりまくりなレベルである。このゲームをプレイするなら、SSDに換装あるいは外付けSSDにすることを強くオススメする。

まとめ:最新PS4タイトルでもSSD化の効果は抜群

 以上4本の最新タイトルで検証してみたが、どの作品も時間短縮効果は絶大だ。特にSSDでは外付けでも内蔵でも速度差がほとんどないことは驚きだ。なお、今回T5のテストは860 QVOに換装した状態で計測したが、後日標準内蔵HDDに戻しても結果に違いはなかった。ゆえに、多少GB単価は上がるが外付けSSDで運用するのが最も手間なく高速化できる手段に思える。

 もちろん、内蔵HDDをSSDへ換装すればOS自体の読み込みも速くなるというメリットもある。内蔵ストレージをSSDに換装した上で、外付けSSDも導入という流れが理想的ではある。

 今回のテストで最も痛感したのは、PS4 Pro標準の内蔵HDDを使っていると1年間でどれほど無駄な時間を過すことになるのか、である。考えただけでも恐ろしい……。快適なPS4ライフを過ごしたいゲーマーには、大容量SSDを導入して容量と速度の問題を一気に解決してほしい。

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