10分でバニラアイスが作れる子ども向けの科学実験

文●五十嵐美樹 編集● ASCII

2020年01月27日 10時00分

 氷に塩をかけると、どんどん冷たくなっていくのを体感的にご存知の方も多いのではないでしょうか。冬に雪が降ったとき、雪に塩をかけるとはやく溶けたり、氷に塩を振ることで温度が下がり飲み物を冷やしたりすることができますが、これらは「凝固点降下(ぎょうこてんこうか)」を利用したものです。

 今回は、この凝固点降下が身近に応用されている例を取り上げながら、お家でも楽しく体感できる科学実験をご紹介します。

 凝固点降下を使えば、お家でアイスクリームをたった10分で作ることができるのです。実験後にはアイスクリームを実際に食べることができて、とても楽しい実験なので、ぜひお子様と一緒に試していただけるとうれしいです! それでは今日も、レッツサイエンス!

0度以下で凝固するのが凝固点降下

 純粋な水は(1気圧で)0度で凝固しますが、ほかの物質が溶けていると0度では凝固せず、より低い温度で凝固するようになります。凝固点が低くなることから、これを「凝固点降下」と言います。

 たとえば、雪に塩をかけると凝固点が低くなり、気温が0度以下になっても凝固しない状態となるため、雪がはやく溶けていくということになります。また、このように氷がはやく溶けるとまわりの熱をどんどん奪っていくため、温度が下がっていくのです。

自動車からBBQまで、幅広く活用できる

 たとえば、冬に自動車の冷却水が凍結することを防ぐために、冷却水にエチレングリコールという粘り気のあるアルコールの一種を混ぜておきます。こうすることで温度が下がっても冷却水が凝固しにくくなり、冷却システムの破損などを防ぐことが可能になるのです。

 また、氷に塩をかけて温度が下がっていくことを利用し、BBQなどのシーンで缶ジュースを素早く冷やすことなどができるようになります。氷だけで冷やすよりも、塩をかけることでより低い温度で冷却できるのです。

 このように凝固点降下は、水を凝固しにくくしたり、水の温度を下げていったりすることから身近なところでも使われているのです。

 凝固点降下を利用して、ここからはアイスクリームをたったの10分で手作りする方法をご紹介します。手軽にできますので、ぜひ実験してみてくださいね!

凝固点降下を利用したアイスクリーム作り

 今回は、バニラアイスクリームを作ります。アイスクリームの素(牛乳・砂糖・バニラエッセンス)をジュースなどに置き換えればほかの味のアイスクリームも作ることができますので、ぜひいろいろな味をチャレンジしてみてくださいね!

【用意するもの】
~アイスクリームの素~
・牛乳 150ml
・砂糖 大さじ1杯
・バニラエッセンス 4~5滴

~凝固点降下実験をするのに必要なもの~
・氷
・塩
・ジップロック 2枚

用意するもの

 まずは、アイスクリームの素を作っていきます。お皿の中で牛乳150ml、砂糖大さじ1杯、バニラエッセンス4~5滴を入れ、よく混ぜます。

お皿の中に牛乳を入れる

お皿の中に砂糖を入れてよく混ぜる

お皿の中にバニラエッセンスを入れてよく混ぜる

 これで、アイスクリームの素が完成です! ジップロック(1枚目)の中にアイスクリームの素を入れて、こぼれないようにチャックをしておきます。

ジップロック(1枚目)にアイスクリームの素を入れてチャックをする

 続いて、本題の凝固点降下の実験に入っていきます。ジップロック(2枚目)の中に氷を入れます。

ジップロック(2枚目)の中に氷を入れる

 このときの温度を測ると、マイナス0.2度でした。

氷だけ入れたときの温度は、マイナス0.2度

 それではここに塩をかけていきます。氷全体を覆うように、全体にかけてみてください。

氷全体に塩をかけていく

 氷に塩をかけた後の温度を測ると……なんと、マイナス13.5度! 塩をかけることで、どんどん温度が下がっていきます。

氷に塩をかけると、温度がどんどん下がっていく

 塩をかけた氷が入ったジップロック(2枚目)の中に、アイスクリームの素が入ったジップロック(1枚目)を入れます。

ジップロック(2枚目)の中にジップロック(1枚目)を入れる

 ジップロックの外側にタオルなどを巻いて持ち、約5分間振ったり揉んだりします。このとき、塩がアイスクリームの素に入り込まないようにしっかりとチャックを閉めてください(アイスがしょっぱくなってしまいます)。また、塩をかけた後の氷はとても冷たいので、直接手で持たないように気を付けてください。

約5分間振ったり揉んだりする

 5分後にジップロックから取り出してみると、なんと液体だったアイスクリームの素があっという間に凝固しました。

アイスクリームの素があっという間に凝固

 お皿に出してみてもしっかりと凝固していることがわかります! これでバニラアイスクリームの完成です! 材料を混ぜてから凝固するまでの全体の所要時間は、なんとたったの10分でした!

バニラアイスクリームの完成

 食べてみるととっても冷たくて美味しいです! 甘党の私にとっては砂糖をひとつまみ多めに入れた味が好みですが、お好みに合わせてバニラエッセンスや砂糖の量を調整してみてください。

凝固点降下の応用実験もおすすめ

 今回は、凝固点降下を活用して、お家でアイスクリームを作る方法をご紹介しました。氷に塩をかけるとみるみるうちに温度が下がることを体感しながら、最後には美味しいアイスクリームを食べることができるのでとても楽しいです!

 しかも、完成までの時間がたったの10分ということで、お家で手軽にお試しいただくことができるのもおすすめポイントです。

 凝固点降下は身近なところにも使われているので、本実験を機に子どもたちが関心を抱くきっかけになるとうれしいです。雪が降ったときに塩をかけたら本当に溶けてしまうのか実験したり、アイスクリーム作りのときに塩以外にも砂糖を氷にかけてみたら温度の変化はどうなるのか実験したりすることもおすすめです。

 ぜひみなさまもお家でお子様と試してみてください!

■注意事項
・小学生など低年齢の子どもが実験するときは、必ず保護者の指導のもとで実施してください。
・作りすぎ・食べ過ぎには注意してください。
・氷や塩をかけた氷はとても冷たいので、素手で触らないよう注意してください。

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