弱点少なめの万能モデル 「Xperia 5 II」は「iPhone 12 mini」の好敵手になる!?

文●村元正剛(ゴーズ) 編集●ASCII

2020年10月20日 12時00分

 10月17日にauとソフトバンクから発売された「Xperia 5 II」を、発売前にお借りして1週間ほど使うことができました。Xperia 5 IIは、発売中の「Xperia 1 II」と並ぶ、ソニーモバイルコミュニケーションズ製のフラッグシップモデル。約6.1型の縦長ディスプレーを搭載し、ボディー幅が約68mmで、片手でも操作しやすいことが特徴。5Gにも対応していますが、筆者が借りた端末はデモ機のため、SIMを挿しての検証はできませんでした。気になっている人は、実際に使った印象やカメラの画質などを参考にしてください。先に言っておくと、ものすごく満足度の高い端末でした。

新たに追加されたボタンは必要なのか?

 Xperia 5 IIの最大の魅力は、サイズ感だと思います。横幅が約68mmで、重さが約163g。少し前までならフツーのサイズですが、手にした瞬間に「細い」「軽い」と感じました。5Gスマホは内部に搭載しなければならないものが多く、大きく、重くなる傾向がありますが、片手での操作性を重視する人には、Xperia 5 IIはもってこいでしょう。

サイズは約68×158×8.0mmで、重さは約163g。片手でしっかりと握れる大きさだ

 約8mmと薄く、ツルッとした質感なので、うっかり落としてしまいそうな危険も感じました。スマホケースに入れて使ったほうがいいでしょう。

背面は光沢仕上げで、非常に美しい

 右側面には4つのボタンが搭載されています。上から音量ボタン、電源ボタン、Googleアシスタントキー、カメラボタンです。新たに追加されたGoogleアシスタントキーは、文字通り「Googleアシスタント」をワンタッチで起動するボタンです。このボタンに、ほかの機能を割り当てることはできません。Googleアシスタントをそんなに使わない人は「なくてもいい」と思うでしょう。

右側面には4つのボタンが並ぶ。正直なところ、多すぎる

新たに追加されたのはGoogleアシスタントキー。このボタンは必要なのかどうか……

 電源ボタンには指紋センサーが搭載されています。画面オフの状態から触れるだけでロックが解除されるわけではなく、カチッと押して画面を点灯させて、さらに指を当て続けるという感じ。スマホを右手で持つ人には使いやすいのですが、左手で持つ人にはそうでもなく、個人的には、顔認証も搭載してほしいと思いました。

底部にはUSB Type-Cポート。スピーカーはここにはなく、ディスプレーの上下に搭載されている

上部には3.5mm穴のヘッドフォンジャックを搭載

120Hz駆動はウェブやSNSの閲覧にも効果的

 ディスプレーは縦横比が21:9の「シネマワイドディスプレイ」で、解像度は2520×1080ドット。有機ELで、HDRに対応しています。上位モデルのXperia 1 IIは約6.5型の4Kディスプレーを搭載していますが、Xperia 5 IIは画面がひと回り小さいので、フルHD+です。しかし、Xperia 1 IIのディスプレーのリフレッシュレートが最大90Hzなのに対し、Xperia 5 IIは最大120Hzの高リフレッシュレートに対応しています。

ディスプレーの画質は良好。画面を分割して2つのアプリを同時に利用できる「マルチウィンドウ」も効率的に利用可能

「マルチウィンドウ」の切り替えは、従来モデルよりもスムーズにできるように進化している

画面の設定で「底残像設定の使用」をオンにすると120Hzで利用可能。ただし、消費電力が増える

ゲームは「Game enhancer」から起動できるようになっていて、「Game enhancer」の設定画面でリフレッシュレートを選択可能。1秒間に120回更新する画面の間に黒い画面を挿入し、実質240Hz相当に設定できる

 高リフレッシュレートは、一般的にゲームをしたり、動画コンテンツを観るときに有効だと思われがちですが、ウェブやSNS画面をスクロールする際にも残像が減って、気持ちよく閲覧できるように感じました。

 なお、非常に高精細なディスプレーなので、小さな文字もクッキリ表示されるのですが、視力によってはデフォルトでは見づらく感じるかもしれません。表示サイズを5段階から選べますが、デフォルトよりも1段階大きい「大」にしてもいいかもしれません。しかし、大にすると、ホーム画面の表示は少し崩れてしまうのが残念でした。

表示サイズを「大」に切り替えも、野暮ったい感じにはならない

ただし、表示サイズを「大」にすると、ホーム画面に表示できるアイコン数が変わり、中央に設置できないウイジェットもあるなど、若干我慢しなければならないことも生じる

超広角カメラは「画質優先」「歪み補正優先」を選べる

 背面のトリプルカメラは超広角(約1220万画素/F2.2/16mm)+標準(約1220万画素/F1.7/24mm)+望遠(約1220万画素/F2.4/70mm)。前モデルのXperia 5も超広角+標準+望遠でしたが、Xperia 5 IIの望遠カメラは光学2倍から光学3倍になっています。また、世界的な光学機器の老舗メーカー「ZEISS(ツァイス)」ブランドとコラボしたことも、大きな変更点と言えるでしょう。

上から超広角、望遠、標準の順に並ぶ

 まずは、「カメラ」アプリのデフォルトの設定で、いろいろな被写体を撮ってみましたが、それだけで十分に満足できる画質で撮れました。実際の色に忠実というよりも、実際よりも若干鮮やかに写る印象でした。

風景を撮った作例。空の青や樹木の緑は強めに出る印象

夜景はバランスのよい明るさで撮れる

あえて逆光を撮影したみたが、それなりの見栄えで写った

メインの被写体に近づいて場合、後方がナチュラルにぼける

ピントが合いにくい場合などにガイドが表示されるのも便利

 この機種に限らず、Xperiaは超広角での撮影を「画質優先」「歪み補正優先」を選択できます。初期設定は「歪み補正優先」になっていましたが、「画質優先」にして、ウルトラワイドレンズならでの歪みを楽しむのもアリでしょう。

超広角レンズによる歪みのある・なしを選択できる

「画質優先」で撮影した作例

「歪み補正優先」で撮影した作例

 Xperia 5 IIには、デジカメ(しかも、ちょっといい機種)と同じように、自分好みの撮影設定ができる「Photography Pro」機能があります。撮影モードやISO感度、シャッタースピードなどを設定でき、RAWデータの記録も可能。横向きで使う仕様で、側面のカメラボタンをシャッターにできます。

本格的なデジカメのような撮影設定ができる「Photography Pro」。人やペットの瞳にピントを合わせる「瞳AF」は犬の置き物にも対応した

 もうひとつ、前モデルのXperia 5から進化した「Cinematography Pro」も楽しめます。これは、ソニーの映画撮影用カメラの開発チームが監修した機能で、中高年世代には昔の映画のようで「懐かしい」、若い人には「エモい」と言われそうなビデオを撮れます。

「Cinematography Pro」は、これまで難しく感じることが多かったのだが、画角とLook(フィルター)を選んで撮影するだけでも雰囲気のあるビデオになり、使い込めばハマると思った

「Photography Pro」「Cinematography Pro」ともに、使わなくても困らないけど、使ってみると長期的に楽しめそうな印象です。使いこなしが難しそう。取扱説明書があれば……と思っていたら、ホーム画面に「Xperiaガイド」があり、そこから詳しい使い方を説明したページにアクセスできました。

ウェブ版の取扱説明書とも言える「Xperia使いこなしガイド」に、 「Photography Pro」と「Cinematography Pro」の詳しい使い方が掲載されている。ビジュアル主体でわかりやすかった

片手で操作しやすいので
もはや「サイドセンス」は要らないかも?

 OSはAndroid 10で、CPUはSnapdragon 865。メモリーが8GB、内蔵ストレージが128GBという、現行モデルではトップクラスの仕様。サクサクと操作できたことはもちろん、ベンチマークテストでも高スコアをマークしました。

ベンチマークは「GeekBench 5」で測定したが、Snapdragon 865搭載モデルとして順当なスコアだった

 リフレッシュレートが最大120Hzになったこともあり、ゲームとの相性も向上しました。カーレースやテニスゲームを試してみましたが、長時間プレイしても手が疲れにくいのはいいなぁと。ただし、背面がやや熱くなるので、やはりスマホケースに入れて使ったほうがいいでしょう。

インストールしたゲームは「Game enhancer」から起動できる

「Game enhancer」の設定メニュー

 動画視聴時などに音楽に合わせて振動する「ダイナミックバイブレーション」は、思った以上にズンズンと響くので、ミュージックビデオを見る際にオンにしていました。低音の迫力が増す気がするんですよね。

「ダイナミックバイブレーション」が有効な場合は、音量ボタンを押すと表示され、スライダーをなぞって強弱を設定できる

 画面の端をタップして起動する「サイドセンス」は、従来モデルよりも使いにくくなった印象。前モデルでは、側面をタップする感覚で起動できたのですが、Xperia 5 IIでは、しっかりと画面に触れないと起動してくれませんでした。ただし、片手でもスムーズに操作できる端末なので、「サイドセンス」は使わなくてもいいように思いました。

「サイドセンス」はオフにすることも可能

「サイドセンス」を使う場合は、自分が使いやすいようにカスタマイズすることも

【まとめ】専門性に特化したXperia 5 II
Pixel 5やiPhone 12と真っ向勝負!

 Xperia 5 IIは、片手で操作できるハイエンド5Gスマホ。同時に、デジタルカメラであり、ゲーム機であり、という専門性も強化したモデルです。内蔵スピーカーの音も向上し、より前方に響くようになったので、AVプレーヤーとしても重宝しそうです。10月15日に発売された「Google Pixel 5」や、11月13日発売予定の「iPhone 12 mini」のライバル的な存在になりそうですよ。

au「Xperia 5 II」の主なスペック
メーカー ソニーモバイル
ディスプレー 6.1型有機EL(21:9)
画面解像度 1080×2520
サイズ 約68×158×8.0mm(最厚部9.1mm)
重量 約163g
CPU Snapdragon 865
2.8GHz+2.4GHz+1.8GHz
(オクタコア)
内蔵メモリー 8GB
内蔵ストレージ 128GB
外部ストレージ microSDXC(最大1TB)
OS Android 10
5G対応周波数 サブ6
無線LAN Wi-Fi 6
カメラ アウト:約1220万画素(標準、F1.7)
+約1220万画素(超広角、F2.2)
+約1220万画素(望遠、F2.4)
/イン:約800万画素
バッテリー容量 4000mAh
FeliCa/NFC ○/○
ワンセグ/フルセグ ×/×
防水/防塵 ○/○(IPX5,8/IP6X)
生体認証 ○(指紋)
USB端子 Type-C
Qi ×
カラバリ ブラック、グレー、ブルー、ピンク
 

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